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人生100年時代だっていっただろうが! 〜母という異世界生物観察記録〜  作者: 目立拓奶


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第11話 決心の朝

母が珍しく焼酎のロックを飲み、つまらなさそうにバラエティ番組を眺めていた翌朝。


私は子どもを連れて、自宅へ帰ろうとしていた。


「お母さん、私たち、そろそろ帰るね」


昨夜ぐっすり眠った子どもは、朝から元気に庭先を走り回っている。


「あっそう」


母は椅子からすっと立ち上がり、真っ直ぐこちらへ歩いてきた。


そして私の目を見て言った。


「まぁ、なんとかなると思うわ」


たった一言だった。


だが、その表情は昨日までとはまるで違っていた。


魂が抜けたような、心ここにあらずという顔ではない。


何かを決めた人の顔だった。


私はたぶん、一瞬狼狽えた。


母の立場になったことがない私には、その言葉をどう受け止めればいいのか分からなかったからだ。


本当に大丈夫なのか。


無理をしているだけではないのか。


色々な考えが頭をよぎった。


それでも、目の前にいる母を見ていると、不思議と心配は薄れていった。


この人は大丈夫だろう。


そう思えた。


「だと思うよ」


私はそれだけ返した。


母はすぐに子どもの方へ向かった。


「また遊びにくるんだよー」


そう言いながら駆け寄り、お腹をくすぐる。


子どもは嬉しそうに声を上げて笑った。


庭には、いつもと変わらない明るい笑い声が響いていた。


この子のためにも、この人には長生きしてほしい。


いや、長生きしなければならない。


どのタイミングだったのかは分からない。


昨夜ひとりで酒を飲みながらだったのか。


眠れない時間の中だったのか。


あるいは私たちの知らないところで、もっと前から少しずつ覚悟を決めていたのか。


それでもきっと、母は「前向きに戦う」ことを選んだのだと思う。


そして私は、その決心に安心していた。

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