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パーティーの喧騒を離れ、静かな回廊を抜けた先にある貴賓用のプライベートサロン。
その誰の目も届かない完全な静寂と贅沢な空間の中で、先ほどまで大広間で優雅に笑みを振りまいていた母(伯爵夫人)が、静かに二人を待ち受けていた。王家をも凌ぐほどの確かな血筋を引く彼女は、今なお圧倒的な気高さで社交界の頂点に君臨し、優雅にソファに腰掛けながら完璧な笑みを浮かべる。
「お疲れ様でした、あなた。エレオノーラも、今宵の皆様へのご挨拶、本当によく頑張りましたね」
温厚で物分かりのいい伯爵は、愛する妻へ穏やかに微笑みかけながら、しかしその瞳の奥には冷徹な光を宿してうなずいた。
「ああ、ご苦労だったね、妻よ。我が愛娘の誇りを泥で汚すあの愚行、見事に周囲の者たちの目に焼き付いたようだ。来週の断罪において、あの者どもに弁明の余地など一切残されまいよ」
(ああ、我が愛娘を前にしながら恥知らずにも浮かれ狂うあの姿。来週の朝、全財産を没収され我が家の足元で這いつくばる時が、今から楽しみでなりませんね)
「お母様、お心遣いありがとうございますわ。あの方々が今宵の夜会にすっかり酔いしれていらっしゃるご様子でしたので、私どもも静かに見守らせていただきましたの」
母から受け継いだ気高き血を引くエレオノーラは、完璧な淑女の微笑みを湛えたまま、絹糸のような美しい声音でそう応じた。その胸の内で、鋭利な毒を冷やかに煮ぎたがらせながら。
(自分で掘った墓穴の底で、さぞ心地よく眠っていらっしゃることでしょう。――ええ、来週の断罪の朝を迎えるまではね)
三人は外面の優雅な紳士淑女の仮面の下で、静かで鋭利な冷徹さを完全に一致させ、美しく微笑み合った。
「さあ、帰りましょうか」




