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きらびやかなシャンデリアの下、社交界の華やかな喧騒に包まれた会場を、伯爵とエレオノーラの父娘は並んで優雅に歩いていた。
周囲の貴族たちから向けられる羨望の視線を受け流しながら、二人は完璧な微笑みを上品に湛え、すれ違う人々に気品ある会釈を返していく。
視線の先に、ターゲットであるドレイク侯爵夫妻の姿を見つけ、伯爵はふっと柔らかな笑みを深めた。
「おや、あちらにいらっしゃるのはドレイク侯爵閣下ご夫妻だね。……せっかくだ、挨拶がてら、我が家の愛しい娘を温かく迎えてくださるご両親にご機嫌をうかがいに行こうか」
「まあ、お父様。ドレイク侯爵家のご両親と、そして愛しいトーマス様のご実家にご挨拶を申し上げるのは、婚約者として当然の務めでございますわね」
エレオノーラは絹糸のように滑らかな声で優美に微笑みながら、扇の陰で父親にささやいた。
(あのご両親も、来週の清算の朝にはすっかりお召し物すら失い、慎ましい生活をお始めになられる運命だというのに。よくあのように、満開の薔薇のようにお誇りになれること……その健気なまでの無知ぶりには、思わず感嘆のため息が漏れてしまいますわね)
その完璧に伏せられた長き睫毛の奥には、凍てつくような冷徹さと、気高い知性がほのかに煌めいている。
父娘は一切の隙も見せない優雅な足取りでドレイク侯爵夫妻のもとへと歩み寄り、周囲の貴族たちが自然と聞き耳を立てたくなる絶妙なトーンで、慎ましやかに頭を下げた。
「これはドレイク侯爵閣下、奥様。今宵の麗しい賑わいは、ひとえに皆様のご繁栄ゆえでございますね」
「おお、伯爵閣下にエレオノーラ嬢か。我が息子の婚約者殿、いつも息子がお世話になっておるな」
ドレイク侯爵夫妻は我が世の春と言わばかりの満面の笑みで温かく迎えてくれる。伯爵はさらに包容力のある柔和な笑みを浮かべ、あえて周囲の耳に届くよう、洗練された響きの言葉をスマートに重ねた。




