デパートと大和撫子
これ完全に入ってないよね。
委員長と恋人になってから数日、家にあった食料が減ってきたので近くのコンビニへ調達しに行くことにした。
光の加護を付与している俺たちにゾンビは近づいてこないので、道の邪魔をしている奴の頭だけをレーザーで撃ち抜いて進んでいく。
「人、全然いないね」
「まあ、ここが震源地みたいなものだからね……消える時ってこんな感じかぁ」
ゾンビは全身を焼くか頭を念入りに潰さないと死なないらしいが、光の力を使えば付けた傷は再生しないし頭を撃ち抜けば一撃で殺すことが出来る。
そして、死んだゾンビは服を残して肉体だけが消滅する。俺たちも実際に見るのはこれが初めてだった……。
そんなこんなでコンビニへ到着したので二手に分かれて漁っていると、綺麗な女性店員のゾンビがいたので光の剣を生み出して素人丸出しの動きで手足を切り落とす。
能力のおかげで感染しないのでゾンビとしても何ら問題は無いし、委員長からも仕方ないから他の女としてもいいよって許可をもらっている。
服を剝ぎ取り、溜まった欲望を吐き出そうとしていたら委員長に見つかった。
「あー! わたしがいるのにー!」
「可愛かったからつい」
「むぅ~、ちゃんとわたしに出す分も残しといてよ~?」
「うん」
お姉さんゾンビは委員長とはまた違う良さがあって最高だった。
ゾンビ発生から数ヶ月、俺と委員長は一緒にご飯を食べてお風呂に入ってベッドで寝るだけの退廃的な生活を続けていたが、遂に限界がきた。
「そろそろ食料ヤバいかも」
「だね~。でも、近所のコンビニとかスーパーはもう回収し尽くしちゃったよ?」
「遠出するしかないかな」
「光くんの能力があればどこでも拠点に出来るんだから、そろそろ引っ越してもいいと思うけど」
「確かに。一々戻ってくるのも面倒くさいし……引っ越すか~」
「どこに行く?」
「やっぱりデパートかな、物資多そうだし」
「じゃあ、あそこだね」
「うん。委員長、自転車乗れる?」
「乗れ……ないから、後ろに乗せてほしいな」
「オッケー」
という訳で、委員長を後ろに乗せて近所で一番でかい四階建てのデパートへ向かい、その中を一階から順にゾンビをレーザーで撃ち殺しながら探索していたのだが……。
「思ったより少ない」
「普通の人でも食べれるのは、軒並み全滅しちゃってるね」
「まあ、浄化すれば食べれるし」
「本当に便利だよね~、その能力」
「まあね」
保存の効く食料は何も残っていなかったが、肉や野菜や魚といった食材は残っていたので問題は無し。光の力で浄化すれば、腐っていようが感染していようが新鮮な状態に戻せるからだ。
適当なお店から持ってきたリュックに食料を詰め込み、夜に向けて服売り場でコスプレ用の服を物色していると
「そこで何をしているのですか?」
「ひゃあああ!?」
突然背後から知らない女に話しかけられ、驚いた委員長に抱きつかれた。
振り返ると、そこに立っていたのは薙刀を持った黒髪ショートの慎ましい大和撫子……学校のマドンナとして有名な美玲先輩だった。先輩はただただ不思議そうに俺たちを見る。
「可愛い服、ないかなって」
「可愛い……服?」
「うん。ほら、スク水とかメイド服とか」
「……何を、言っているのですか?」
この非常時に……心底理解できない。とでも言いたげな顔をされるが……数秒で気を取り直し、真面目な顔で話を続ける。
まあ、普通の人からしたらそうだよね。でも、俺たちにとっては重要なことだから……一応。
「あなた方は先程、到底食べられないような食材を回収していましたね? それに、あなたが放っているそのレーザー……一体何ですか?」
「説明が面倒くさい、そーゆー力があるってことで」
「なるほど。では、私たちを助けていただくことは可能でしょうか。もちろん、お礼はいたしますよ」
「いい~……よ」
「ありがとうございます」
少し迷ったが、学校のマドンナは見逃せないので提案を受け入れる。問題は人数だが、最悪結界だけ張っておけば自分たちで何とかするだろう。
ジト目を向けてくる委員長と共に、彼女の案内に従って階段を上り三階へと向かう。どうやら、三階から上は全て彼女達の拠点らしい。
見張りの女の子に驚いた顔で見られながら、バリケードを抜けて拠点へ入る。中の女の子たちにも様々な視線を向けられながら、リーダーである彼女の個室へと移動した。
「初めに、光さんに聞いておきたいことがあります……あなたは自分と他人、どちらを優先する人間ですか?」
「自分」
「お早い返答ですね。では、私も本音で話しましょう」
そう言った直後、彼女は床に手を着いてとても美しい土下座を披露した。
「何でもするので、私だけは守ってください」
「いいよ。取り敢えず服を脱いでくれる?」
「はい、光様」
「……むっす~」
ーーーー
伝統ある家の人間である私は、それは厳しく育てられた。容姿端麗文武両道は前提であり、家柄も見た目も性格も完璧な女性として今まで生きてきた。
そんなある日、ゾンビという存在が現れ全てをぶち壊してくれた。おかげで私は自由になった。使い慣れた薙刀を振るい、ゾンビを退けながら拠点に出来そうな場所を探す。
戦いの中で、ゾンビは不死身だが一定以上のダメージを与えれば再生を優先して動きが鈍くなったり、足を斬れば再生が終わるまで機動力を奪うことが出来ると分かったのでそうやって対処した。
その過程で人を拾ったり武器を持たせて戦わせたり犠牲にしたり警官ゾンビから拳銃を奪ったり……色々あって、二十を超える人数になっていた私たちは近所で一番巨大なデパートを占拠し拠点にすることに成功した。
あとは救助に動いているらしい軍が迎えに来るまで籠城するのみ、そう思っていた。……数日後、神を見るまでは。
周囲に浮かぶ光の玉から放たれるレーザーはゾンビを一撃で殺し、手から発せられる光は浴びた食材を新鮮な状態へと回帰させる。
私は利己的な人間だ、自分さえ助かるのであれば他がどうなろうと知ったことではない。彼女達をお世話しているのも、いざという時囮にするため。
だからこそ、何としてでも彼の懐に潜り込みたかった。そうすれば、死の恐怖に怯えなくてもよくなるから。
「ひかりさまぁ……すきぃ……だいすきぃ……」
「俺も好きだよ。美玲先輩」
「うれしいです……ひかりさまぁ……」
「光くん光くん! 次はわたしだからね!?」
「分かってるよ、委員長」
「そんなに、けいかいされなくともぉ……わたし、はぁ……なんばんでもっ……かまいませんのでぇ……」
「そうなの? ならいいけど……」
(……チョロすぎて、心配になるレベルですね)
こうして私は光様に初めてを捧げ、安全で幸福な未来を得たのです。
美少女 華麗
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美玲 (みれい)
学校一の人気者であり大和撫子。
しかしその本性は酷く利己的であり他者の命を平気で踏みにじる。主人公のことは嫌いではないがあくまで利用しているだけ。




