#31 驚きの出来事
皆さん、こんにちは!アオです!
それでは「静かな恋愛~朝にしか会えない君と~ 」をどうぞ!
琴音「それこっちに持ってきて!そこの色は黒色にして!」
夕日が窓から差し込む放課後、ガヤガヤとうるさい教室の一部を
まとめていたのは琴音だった。人ってやる気だけでここまで
変えることができるんだと心から思った。
俺「はい、さっき頼まれたやつと先生が琴音に渡してって言われた物」
俺は両手に持っていた物を琴音に渡しながらそういう。
琴音「ありがとう、凌がいると助かる」
そう言ってとびきりの笑顔で笑うのだからこちらまで微笑むことができる。
すぐに他の女子から"どうやるの~"だったり"ちょっと来て!"なんて
いわれているものだから琴音は常に動いてる様子だった。
そして一時間後、やっぱりこうやって楽しい時間はあっという間に
過ぎていくんだと実感できるほど時間の流れが早かった。
片付けをした俺たちは順番に教室を出ていく。
俺「お疲れ様、なんだかんだで文化祭準備は琴音が一番頑張ってるな」
琴音「えっ……あっ、ありがとう……でもみんながちゃんと
やってくれるからわ、私も指示しやすいし」
さっきまでの威勢のよさはどこへ行ってしまったのかという
くらいもじもじしながらそういう琴音。
俺「みんながちゃんと動いてくれるのもそれをまとめるリーダーが
しっかりとしてくれるからじゃないか」
琴音「そっ、そう言ってくれると……うれしい……ありがとう」
そして何十秒だろう、長い沈黙があり琴音が口を開く。
琴音「やっ、やっぱりそういうところ……好き……」
俺「えっ、ああ……ありがとう」
いきなりの発言に戸惑いながら俺はそう返事をする。
帰りの電車に揺られながらさっきの言葉を思い出す。
あんなに積極的になるなんてな、恋の力ってやっぱりすげぇわ。
なんて振った側が言えるはずのないことを思いながら
俺は好きな曲を聴き始める。
もし大野宮さんと同じクラスだったら文化祭の準備がもっと
楽しくなっていたのだろうか。ひょっとしたら友達が恋の手助けで
買い出しを一緒に行かせてくれたのかもしれない。
なんて絶対にそうなるはずのない妄想を膨らませながら
電車に揺られているといつの間にか眠りについてしまった……
大野宮「おはよう、凌君!」
ニコニコと手を振りながらあいさつをしてきたのはまさかの大野宮さんだった。
俺「えっ!?おっ、大野宮さんなんですか!?」
あまりの出来事に漠然とする俺。
だって目の前にいる大野宮さんは紙ではなく"口"で会話しているのだから。
大野宮「実は少し前からしゃべれるようになる手術をしてたんだけど
それが無事に成功して話せるようになったの!」
大野宮さんがいきいきと話す姿を見るとめちゃくちゃうれしい。
俺「っ、そうなんですね!!」
大野宮「うん、これでやっと会話のスピードが上がるからうれしいな。
でも生まれたときからずっと紙に書いて会話していたから
ちょっと違和感っていうか、そっちもよかったんだけどね」
俺「大野宮さんとこうやって会話ができているなんて感動です」
大野宮「大げさだって。でも私も凌君と会話できてうれしい」
それから俺たちは時間が過ぎるのすら忘れてずっと話していた。
好きな曲についてはもちろん、こうやって話すことは長年の大野宮さんの
夢だったようでずっと大野宮さんの話を聞いていた。
楽しそうに話す大野宮さんはまさに見えていなかったものが
全て見えるようになったかのような感じだった。
とにかくすごく生き生きとして楽しそうだった。
その姿が見ることができて俺は大満足だった。
それからどれくらい時間が経ったのだろうか。
あれだけ話していた大野宮さんが話すのを止めた。
俺「大野宮さん?」
大野宮「あっ、ごめんね……その、ずっと凌君に伝えようと思っていたんだけど」
大野宮さんが頬や耳を赤くしながら俺の目を見つめて
大野宮「じっ……実は、そのあっ、会ったときからずっと……」
?「次は~、次は~」
目を開けると夕日がかなり傾いていた。
俺「ん?ここは?」
さっき隣にいたはずの大野宮さんがいなくあたりを見回すと
疲れている学生やサラリーマンが多かった。
時間を見てみるとすでに家についている時間だった。
あれ……もしかして俺はさっきまで寝ていたのか……
ということはさっきの出来事は全部夢の中のことなのか。
少し、いやかなり残念だった。確かに今紙で会話をしているのも
充分に楽しいが、大野宮さんのあんな笑顔で話しているのを
見てしまったらそれが頭から離れなくなるに決まっている。
それに一番最後に大野宮さんが言おうとしていたことはなんだ。
まさか告白!?……さすがにそんなことないよな。
いくら何でも俺の想像に過ぎない。俺自身が作り出した
夢の世界なのだから現実とは違うんだ……そう思うと
だんだんと落ち着きを取り戻すことができた。
そんなことよりさっき言っていた駅、家の最寄り駅から
二つ離れたところだった。それに普段は通らないはずのところだ。
えっ……もしかして俺、乗り過ごしてしまったのか!?
テンパりながらも次の駅で俺は降りた。
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それでは次回お会いしましょう!アオでした~!




