第5楽章 魔術師と疑い
世界の隠れた仕組みが見える者は、見えぬ人々の目には、魔術師と映る。
領主ネイピアの評判は、年を追って奇妙な色を帯びていった。
彼は夜ごと窓に灯りを点し、何やら多くの数字を相手に、明け方まで何かを企てている。
黒い雄鶏を飼い、話しかけている。
箱の中に黒い蜘蛛を飼い、占いに使うともいう。
彼が歩けば作物がよく実り、彼が睨めば井戸が涸れる。――村人たちは、領主を「メルキストンの魔術師」と呼んで、畏れ、遠ざかった。
ある年、城で銀の器がいくつも消えた。盗んだのは使用人の誰かに違いなかったが、誰か分からない。だがネイピアは騒ぎ立てなかった。ただ一羽の黒い雄鶏を連れてこさせ、その羽に厨房のかまどから取った煤を、たっぷりと塗り込めた。そして使用人たちを暗い納屋に集めて言った。
「この雄鶏は、嘘を見抜く。一人ずつ中へ入り、闇の中でこの鶏の背を撫でて出てこい。やましい者が触れれば、鶏は鳴く。潔白の者が触れても、鶏は黙っている」
一人ずつ、納屋へ入っては出てきた。鶏は一度も鳴かなかった。使用人たちは顔を見合わせ、誰も咎められぬのかと訝った。だがネイピアは「手を見せよ」と全員の手を検分した。
ほとんどの者の手は、煤で黒く汚れていた。ただ一人、汚れていなかった。盗人だけが、鶏が鳴くのを恐れて、暗闇の中で、その背に手を触れなかったからだ。
村人はこれを魔術と噂した。だが、もちろんそれは魔術ではなかった。人の心の動きを読んだだけのことだ。やましい者は、罰を恐れて行動を変える――その必然を、彼は煤と闇の中に仕掛けた。世界には隠れた仕組みがあり、正しく仕掛ければ、隠れた真実は必ず姿を現す。彼にとって雄鶏も、聖書の数も、星の動きも、同じ一つの理のもとにあった。
けれど、その明晰さは、彼を孤独にした。
世界の隠れた設計図が見える者は、設計図の見えぬ人々の目には、ただの魔術師にしか映らない。彼が「これは理だ」と言っても、人は「魔だ」と聞いた。妻も子も彼を愛してはいたが、どこか理解を超えた人間だと感じてもいた。彼の頭の中で鳴っている、二つの数の列の歌を聴ける者も、一人もいなかった。
夜、彼はしばしば北の窓辺に立った。眼下にエディンバラの灯。その向こうに、鉛色の海。海の上を、いつものように帆が一つ、ゆっくりと滑っていく。
あの船は、どこかの港で、誰かの帰りを待たせている。世界は広く、時は短い。少年の日に骨で覚えたその感覚は、今や、止まった二つの拍子の重みを加えて、いっそう深く彼の中に沈んでいた。
彼は知らなかった。自分の生涯の本当の務めが、まだ始まってさえいないことを。
続く




