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散文詩  作者: 今日乃けふ
93/101

散文詩 93 「内と外」

日々、心に残ったことを文字にしてみた

「内と外」


おじいさん俳優:「結婚したほうがいいよ。」

若い女タレント:「嫌ですよ。結婚なんてしたくないですよ。」


このやり取りが何度か繰り返しトークの中で行われ、

両者は楽しそうに話している。

おじいさん俳優は可愛い娘か孫を相手に心配するように結婚しろと言う。

若い女タレントはお父さんうるさいのよ、ほっといてよ、という感じの返答だ。


そのまま収録が終り、楽しい時間を過ごしたとタレントは思ったが、

いや、今のご時世、もしかしたら俳優がハラスメントで責められるのではないか

と危惧し始めた、という話を聞いた。


おそらく俳優とタレントの間には、絆とまではいかなくとも

何等かの関係性が確立していて繋がりがあったのだと想像する。

だとしたら、おじいさんが若い娘に結婚しなさいと助言するのは

ハラスメントでも何でもないと思う。


もしおじいさんが何の関係性もない若い娘に結婚しなさいと言ったなら、

今の世の中では、ハラスメントと言われても仕方ないかもしれない。

もしくはおじさん政治家が、不特定多数に向けて

「女は結婚したほうがいい」などと(のたま)うのは問題があると思う。


正しく敬語が使われなくなっていることを気持ち悪く見聞きしているが、

敬語を使う前提として身内とよそ様の区別が必要となる。

身内とよそ様を区別できなければ正しく敬語が使えない。


正しく敬語が使われないのはハラスメントが発生する原因と同じように見える。

身内に対して言っていいことでも、よそ様に言ってはいけないことがある。


自分の娘に対して父親が結婚したほうがいいというのはハラスメントではない。

心底娘を心配している父親が、自分の考えを娘に伝えただけだ。

娘は父親を信頼している。

だから結婚したほうがいいという助言が問題にならない。

娘も嫌なら反論すればいいし、自分の価値観で生きればいい。


お互いの信頼関係が根底に存在するから、

身内では自分の意見を率直にぶつけることができる。

しかしそれは関係性の薄いよそ様に対してはできない。


正しく敬語が使われない現代。

ハラスメントの種類がどんどん増える現代。

内と外の感覚が希薄になっているから、

人と人との繋がりも薄くなってきているから、ではないかと推測する。






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