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散文詩 91 「タガが外れる」
日々、心に残ったことを文字にしてみた
「タガが外れる」
父に要介護2の認定が下りたので、援助を頼める体制になった。
私の見立てでは認知症が始まって前頭葉も縮小し、
感情の抑制ができなくなっているようだ。
母に飯が不味いだの、母の実家はろくなもんじゃない
などと暴言を吐くようになった。
母は料理が下手だし、母の実家はろくなもんじゃないけど、
それを母に言ってはいけない。
俺のことが嫌いなんだから出ていけばいいとか、
俺が死ねばいいと思っているんだろう、と別人のようになって怒り出す。
父と母は昔から仲が悪いが、父は家では口数が少なく
母に暴言を吐くことはなかった。
しかし今、父は以前から思っていたが口には出さなかったことを
一気に吐き出している。
すっかり頭のタガが外れてしまった。
タガは漢字では箍と書く。桶の周りにはめる丸い輪っかの枠のことだそうだ。
桶は幾枚もの板を丸く並べてタガで止めてある。
タガが外れると桶はバラバラになって壊れてしまう。
父の頭のタガは外れてボロボロに壊れてしまった。
これまで桶の中に溜め込んでいたものが多かったから、
タガが外れて壊れる勢いが大きいような気がする。
そう考えると我慢していた父が可哀そうに思える。
好きなだけ弾けさせてやりたいとも思う。




