89/101
散文詩 89 「カラス」
日々、心に残ったことを文字にしてみた
「カラス」
オランダのカラスは小さい。ちっとも怖くない。
ヨーロッパの他の国でも日本みたいに
でっかくて真っ黒のカラスを見たことがない。
日本のカラスは何か考えている。企んでいるように見える。
両手、いや両翼を広げると2メートルくらいあるんじゃないか
と思うくらい大きい。
野兎の目を遊びで突っついて潰してしまうと聞いたことがある。
遊びなのだ。暇つぶしなのだ。恐ろしい。
黒いから余計に恐ろしい。虹色だったら少し違ったかもしれない。
それはそれで恐ろしい気もする。
ベランダに毎日やって来るカラスに
母が「かぁ君」という、いかにもな名前を付けて呼び始めた。
人間を手懐けるほどカラスは賢い。
カラスに手懐けられる母も心配だ。
ごみ箱を漁るカラスを撃退するために
私は両手を広げて飛び掛かる振りをする。
私が本気で襲いに来るはずはないと、逃げないカラスもいる。
私は迫真の演技を要求される。
野良猫野良犬のいなくなった昨今、
私と野生動物との関わりはカラスだけとなった。
もう少し関わっていてもいいかも、と思った。




