散文詩 88 「お墓」
日々、心に残ったことを文字にしてみた
「お墓」
年老いた両親はお墓を持っていない。
毎年、公営の墓に応募しているが当選しないそうだ。
父は長男ではないから、本家の墓には入れてもらえないらしい。
母は嫁いだから、実家の墓には入れない。
墓のルールは寂しいもんだ。
従姉は墓参りに行こうと誘ってくる。
行きたくない。
私は死んだ人がお墓でじっとしているとはどうしても想像できない。
♪私のお墓の前で泣かないでください♪
♪そこに私はいません、眠ってなんかいません♪が流れてくる。
宗教の信者でもないので、死んだら人は自然に帰るんじゃないか
と、なんとなくそう思う。
両親が死んで慌てないように葬儀の方法などをネットで調べた。
父が死んだら強火で焼いてもらって、粉にして散骨しようと決めた。
私も死んだらそうしてほしい。お墓はいらない。
父は東京に70年も暮らしたが、九州の人だから九州が大好きだ。
死んだら粉にして九州の海に帰してやろうと思う。
しかし今、ボケ始めている父に墓の話はできない。
私の独断で決行する。
勝手な娘を持ったと、あの世で嘆いてもらうしかない。
母にこの話をしたら、自分もお墓はいらない、散骨してほしいと言う。
生前に希望が聞けてよかった。
でもどこに散骨してほしいかわからない、葛飾なんか嫌だと言う。
どこにするかは死ぬまでの宿題になった。
残された者の心が穏やかになるように、死の後始末をすればいいと思う。
お墓があろうとなかろうと、父も母もずっと私の心の中には居続けるのだから。
Burn my body 私を燃やして
Let the ash blow 灰を吹き飛ばせ
I'm free 私は自由だ
(Peaky Blinders)




