散文詩 113 「ナツコ姉ちゃん」
日々、心に残ったことを文字にしてみた
「ナツコ姉ちゃん」
私の母の兄の娘であるチー姉ちゃんとナツコ姉ちゃんは
姉妹であり、私の従姉である。
私は5、6歳くらいの頃にチー姉ちゃんの家に泊まりに行った。
伯父さんの家は近所なので、よく遊びに行っていた。
チー姉ちゃんは9歳年上だからもう中学3年くらいで、
ナツコ姉ちゃんは中学1年くらいだったろう。
チー姉ちゃんはいつも冷静沈着で、私には何を考えているのかわからず
影の薄い面白味のないお姉ちゃんだった。
ナツコ姉ちゃんは感情的で、
男の子と取っ組み合いの喧嘩をするような激しい女子だった。
昼間は楽しく遊んでいた私も、夜一人で泊まるとなると
ホームシックで眠れずシクシク泣き出した。
するとナツコ姉ちゃんは本を持ってきて、私が眠るまで隣でずっと読んでくれた。
ナツコ姉ちゃんは優しかった。
何十年ぶりかでチー姉ちゃんと会ってランチをした。
チー姉ちゃんはナツコ姉ちゃんと連絡を取っていないらしい。
チー姉ちゃんは結婚40周年、真面目でいいお嫁さんだった。
ナツコ姉ちゃんはできちゃった婚で娘が一人、今はシングルらしい。
姉妹の間で何があったのか事実は知らないが、
ナツコ姉ちゃんのことはどうしようもなくひどい話ばかり出て来る。
どうしてそんな人になってしまったんだろう。
ナツコ姉ちゃんは私には優しかった。
激しい気性だけれど優しいことだけ覚えている。
姉妹の仲が悪くなるのは悲しい。
私は兄弟姉妹がいないから、兄弟間の心の機微はわからない。
きっと二人の間だけに何かがあるのだろう。想像もできないが。
ナツコ姉ちゃんは私に見せてくれた優しい面だけを
チー姉ちゃんに見せることはできなかったのだろうか。
人間はいいところだけを見せて生きることはできないのだろうか。




