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アストラル・レコード  作者: 藍沢義也
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11/21

変化

2ヶ月が経過して、はたしてこんなに毎日幽体離脱を続けていて肉体に悪影響があるのではないか、という疑問がある。


結論から言うと、今のところそれは全くなかった。

が、変化はあった。


まず、感覚が拡大したこと。これを説明するのは難しい。

例えば、視力や聴力検査で数値として測れる類いのものではないから。


視力自体は変わっていないけれど、色彩が鮮やかに感じられるようになった。


心地よい音や香りに脚を止めるようになった。

これまでなら気付きもしなかったようなものに。


だれかを見ていると、何も話さなくてもその人がどんな気分でいるのかはっきりと伝わるようになった。


柔らかな毛布の手触りや水の冷たさ、風が顔に当たる感じ、日光のぬくもり。そういったものに幸せな心持ちになる事が増えた。


一番の変化は勘の冴えだと思う。


例えば電話がなると、ディスプレイの表示を見なくても相手が大体分かる。

場合によったら、電話がかかってくる前からそろそろあの人が連絡をよこしそうだなと分かったりする。


こういったことって誰しもあるものだろうと思うほど、その頻度が増え、精度がましているように思える。


こんな事もあった。


仕事帰りに、ふと散歩がてら遠回りしたくなった。そして翌日、いつもの帰り道で交通事故が起こっていたことを知ったのだ。


もちろんその事故に僕が巻き込まれていたのかを確める術はないけれど、いわゆる虫の知らせと言われるものなんだろうと思う。


"ふと"や"なんとなく"に注意していると、無用のトラブルを回避できるという経験を何度もした。


こういった変化の他にも、肉体でいることも楽しめるようになったし、体に対して感謝の念が湧くこともあった。


幽体での経験は本当にすごい。

けれど、肉体にも幽体には出来ない体験があるから。


そう考えると、不思議だなぁと思う。


肉体は何のためにあるのだろう?

幽体は何のためにあるのだろう?


意識が肉体を離れても、体は呼吸をし、心臓を動かし、汗をかき、生きている。


それなのに、意識がなければ目を開けて動くことが出来ない。

それなら、意識って何なのだろう?


考え始めたところで、どこにも行き着きはしないのだけど。


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