【第一章】第二話・怖がりな僕
長く書くのって疲れるけど楽しいですね!
話し自体はじわーじわ進んでいきます。
角南氏が指し示したある小屋の写真は、ひどくブレていた。全体的にぼんやりとしていて、小屋だと言えば小屋に見えるような灰色の塊が写っていた。
「ブレッブレだよね、コレ。」
角南氏は私の心を読むかのようにして呟く。
「松沢さんも、慌てていらしたんでしょう。よく撮ろうと思われましたね。」
私の言葉に角南氏は少し微笑みながら、
「マイペースな奴だったからね。シャッターを切る直前に転んだんじゃなかったかな。」
と、楽しそうに答えた。...本当にこの人は怪奇的な体験をしたのだろうか。私はこれまでに何度も怪奇的経験者の取材を経験してきたが、角南氏には他の経験者とは違うあたたかい雰囲気がある。私はただのおいぼれの話相手をしに来たわけではないのだが...。私のモヤモヤを感知したのか、角南氏はアルバムを机の上に置いてまた口を開く。
「ごめんごめん、話が逸れちゃったね。えーっと、小屋に入った所まで話したね。小屋の中は真っ暗だった。明りが入る隙間がなかったみたい。ドアの近くだけ外の明りで照らされてる感じだった。松沢は平気だったんだけど、僕が怖がっちゃってね。僕はドアから離れられなくって、松沢に携帯のライトで周りを照らして部屋の全貌を見るよう頼んだ。松沢が大股で十歩も行かないうちに奥の壁についたらしくて、電気のスイッチを押してくれた。押したのはいいんだけど、電球が切れてたのかな、暗闇のままだった。残念だったけど、ドアの近くにいると雨が降りこんでくるからしかたなく松沢のところまで進んだ。怖かったなあ。松沢のところまでいって、これからどうするか話し合った。僕は雨がやんだらすぐ帰りたかったんだけど、松沢はサバイバル生活を体験してみたいとかで小屋で一晩過ごすって宣言した。一人残していくわけにもいかないからね...僕も一緒に小屋に残ることにした。」
「残るって...旅館に迎えを頼まれたりとかはされなかったのですか。」
「あっ、その手があったか!君頭いいね!!」
「はぁ...恐縮です。」
角南氏と松沢氏の行動にイライラするのは私だけだろうか。角南氏は感心した、という顔で私を見つめるが、普通そうするだろう。
「僕たちって馬鹿だったんだなぁ。でもサバイバルもなかなか楽しかったよ。」
「いくつか質問をしても?」
「どうぞ!」
私は質問攻めにした方が早いと仮定して話しをすることにした。角南氏に任せっぱなしではピクニック体験を聞くだけになってしまう。
「サバイバルとのことですが、食料は。」
「なかったね。お昼ご飯とおやつぐらいしかなかったな。」
「トイレなどは。」
「それもなかった。まぁ周りは山だったから..」
「あ、結構です。」
なんだか申し訳ない。山の木々たちに対して。
「電気は、その壊れた電球のみでしたか。」
「いや、あと一つ、カメラがあった。松沢のじゃなくて、監視カメラみたいなやつ。そっちは機能してた。」
「監視カメラですか...ん?モニターなどはなかったんですよね。なぜ機能しているとおわかりになったんですか。」
角南氏は少し悩んだようだったが、
「その映像を見てた人がいたから、かな。」
と答えた。




