【第一章】第三話・止まぬ雨
ひいい~長く書けない~
読んでくださる方...もういらっしゃらないかもしれないけど...申し訳ない程の短さです...。
誰もいない山小屋。会話のない二人の呼吸。沈黙と闇に包まれながら、角南氏と松沢氏はパラパラと降る雨の音に耳を傾けていた。そして二人を見つめるカメラが一つ...か。角南氏の話が、ようやく怪奇に向かっていく気がする。私は失敬して、トマトジュースの代わりに出された麦茶を少し飲んだ。
「カメラの話は後にして、山小屋の話が続くんだけど...大丈夫かな?」
角南氏が上目を遣って聞く。
「ご心配なく。怪奇を伝達するのが私の役目ですので。」
私が世に言う『ドヤ顔』でキメると、角南氏は微笑みながら話を再開する。
「いや、長くなるから疲れないかと思ってね。仕事熱心で感心しますよ。それでえーっと、そうだ、山小屋で雨宿りをしてた。外が見えないから、時間の経過は感じられなかった。松沢とは話す話題を見つけられなくって黙ってた。松沢も同じだったと思うよ。暗くて表情は見えなかったけど、頭抱えてるみたいだったなぁ。何分ぐらい無言だったかわからないんだけど、松沢はいきなり話を始めたんだ。彼の親の話だった...かなぁ。申し訳ないけど、内容までは思い出せないんだ。雨の音がどんどん激しくなってたのは覚えてるんだけど...。そして、松沢が話し終わった時、突然おおっーーきな音がして、小屋がぐわぁぁんって、揺れたんだ。たぶん雷だったんだと僕は思うんだけど、窓がないから光ったのかどうか分からなくてね。ちょっとしたパニックになっちゃって、ほらこの写真。びっくりした松沢が間違えてシャッターボタン押しちゃったんだ。」
当時の状況を思い出したからか、ニヤニヤが抑えきれていない角南氏が指差した写真は全体的に黒く、写真の中央にハケで雑に塗られたペンキのような白い影が映っていた。おそらく角南氏なのだろう。雷に驚いたり、いちいち擬音が入ったりして...角南氏と松沢氏にはどこか可愛らしいところがあるな...。
「それでね、しばらく二人でその写真を見ながら笑ってた。何にも無い空間だと、ほんのちょっとしたどうでもいいことでもツボに入っちゃうんだよね。それで僕らが笑い疲れた時、また大きな音がして、今度は部屋が光に満たされた。雷が当たって穴でもあいたんじゃないかと思って光のもとを見ようとした時、僕らは凍りつく。さっき部屋を包んだ光が、細い一筋を残していったんだよ。その光は僕らの足元から、入って来たドアまで伸びていた。いや正確に言うなら、開いたドアの隙間からの光が僕らまで届いた、かな。突然のことに頭の処理が追いつかない僕らは光の先を見つめることしかできなかった。光の先、つまりドアの隙間だね。そこに僕らは何を見たと思う?」
角南氏は微笑みを浮かべて聞いてくる。
「ここで怪奇が登場ですか?何でしょう...山姥とか?」
角南氏は、ふふ、と笑って頷く。
「うんうん、やっぱりそう答えるよね。山小屋だもの、山姥が突然現れてもいいんじゃないかってね。実は僕と松沢も同じ考えだったんだ。答えを言うと、見つめた先にあったのはね、
顔だよ。女性のね。」




