第10話 魅惑する香水(チャームコロン)
ドラ●もん的な話でございます。
side 『ないとめあ』
潤と九重優は部活動を終えて、九重家に帰宅し、潤は自分の部屋に入って鍵を閉めて、どこでも行けるくんにて、『ノア』の会議室へとワープした。
『ないとめあ』のメンバーは、帰還した潤の姿を見て、無邪気な笑みを浮かべ、目をランランと輝かせている。もちろん、恋を知りたいからだ・・・
「おかえりーっ、ザドキエルーっ」
「どうだったー?」
見た目が八歳か九歳の幼女も居れば、二十代の麗しい女性もいるこの組織は、皆心は子供なのだ。興味があるものは何が何でも知りたいと思っているらしい。
「あ、あのね・・・」
潤は今日一日の出来事を細かく説明した。クラスに馴染めた事も、部活動に入った事も、そして・・・それらの体験が出来たのは九重優のおかげだという事もだ。
「なるほどね・・・」
『ないとめあ』のボスは潤の報告に何か案があるそうです。
「それじゃあ、新アイテムを授けるわ。名付けて、『魅惑する香水』!」
ボスは懐から、ピンク色の香水を潤の目の前に差し出す。
「な、なにそれ・・・?」
潤は、魅惑する香水を見るのが初めてなので、首を傾げて、ボスにアイテムの使い方を教えて欲しいとお願いし、ボスは可愛い部下の為に簡単に説明する事にしたのだ。
「自分の身体や服に少量かけると、その匂いを嗅いだ人からとても素敵な人だって思われるアイテムなの。ただし、ニンゲンしか通用しないようにしたから、他の動物には効かないから注意してね」
ボスは新アイテムを潤に手渡しし、潤はそれを『取り寄せポーチ』に入れて、いつでも出し入れが出来る状態にしたのだ。
「あ、でも、それなら優・・・いえ、ターゲット以外の人物と接触してしまう恐れがあるけど・・・いいの?」
潤は今後の計画の事について心配しているようだ。しかし、他の人物と接触しても恋を研究する事は可能だという事をボスから説得された潤・・・
「それに・・・ターゲットが魅惑する香水を使ったザドキエルにどう反応するかも気になるしっ。それじゃ、次の報告を楽しみにしているわ~」
ボスは潤のオデコに軽くキスして、キスされた潤は顔を真っ赤にして
「い、い、い、行ってきますっ」
照れながら「どこでも行けるくん」にて、九重宅にワープしたのであった。
「うふふ・・・可愛い子だわ・・・あっ、皆も可愛いけどねっ」
ボスは妖艶な笑顔をメンバーに見せ、メンバー達は真っ赤な顔をフードで隠し、照れ隠し。小さい子供でも、女の子は女の子。乙女なのだから・・・
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side 九重 優
ピヨピヨ・・・ピィー、ピィー、ピヨ・・・
早朝、小鳥達の囀りに目を覚ましたオレ。何故か寒気がするが、辺り一面を見ると、布団がオレのベッドから一メートルは離れていた。どうやら、寝相の悪さで布団を蹴り飛ばしていて、服も脱ぎかけになっていた。
そのせいなのか、オレの鼻から鼻水がタラリと垂れる。
「ズルっ・・・ち、鼻水が出てるな・・・」
何故か風邪気味っぽいオレ。熱はないみたいでひとまず一安心。とりあえず、ティッシュで鼻をかむと、鼻が詰まっている感覚がある。
どうやら、鼻づまりのようだ。少しだけ鼻声になってしまうが、だからといって学校をサボる訳にもいかんな。
オレは、一階フロアにある洗面所の入り口へと行き、誰かいるかを確認すると・・・
洗面所の扉をガラガラと開けて、ビンのような物を手にしている潤を見たオレ・・・
「あっ、あっ、こ、こ、これ、ただの香水だから気にしないでねっ」
潤は言い訳するかのように反論して、洗面所から立ち去ってしまった・・・オレ、何か悪い事でもしたんだろうか?
「やれやれ・・・」
考えても仕方ないので、洗面所へと入り、顔を洗い、鼻づまり以外サッパリしたオレは、リビングへと足を運ぶと・・・
「やーん、潤お姉様ーっ!」
有希の甘えた声が家中に響きわたる・・・な、何なんだ?!何か危険なような気がする!
オレは有希の声がした方・・・リビングへと向かったその先には、ソファーに座っている潤に、有希がウットリした表情で頬擦りしているという、いちゃついた行動を発見してしまったのだ・・・
「にゃーん、ごろにゃーんっ・・・あっ」
猫化した有希はオレの存在に気づき、数秒間オレと有希は見つめ合った・・・そして、女の子同士の時間を邪魔したのを気に病んだオレは
「・・・邪魔したな・・・」
リビングから姿を消そうとした。
「ま、ま、待ってーっ!ち、違うのーっ」
涙声で誤解だとオレに言ってくるのだが、さっき潤お姉様だとか何とか言っているのを聞いたばっかりだぞ・・・
「・・・何が違うんだ?ただのスキンシップか?」
「そそそ、そうなの~っ!少しでも仲良くなりたいって思って!」
有希は両手をブンブンと左右に振り、誤解を解こうと必死に講義するのだが、その度に潤をチラチラ見ているのは、気のせいなのか?
「~っっ!ダメっ、もうガマン出来ないっ」
有希は、顔を真っ赤にさせて、ソファーに腰をかけている潤の胸に顔をうずくませ、顔を左右に動かしている有希。
「ちょっ、有希ちゃんっ、だ、ダメっ」
潤は顔を赤らませて照れるが、どこか楽しげな笑顔も浮かべていた・・・やはり、有希はアレ何だろうか?とにかく、有希に言いたい事がある。
「・・・優しくしてやれよ?有希・・・」
言える事はこれだけだ。
「もごもごもごぉ~っ(だから違うって~っ)!」
有希の声は潤の大きな胸に阻まれ、くぐもった声になり、何かを伝えたかったのか、分からなかったのだが・・・そっとしておいたのだった・・・
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朝食も終えて、制服へと着替え、鞄やギターケースを持ち、潤と有希とで学校へと向かうのだが・・・
有希は満面の笑みを浮かべて潤の手をしっかりと握り、上機嫌なご様子・・・やはり、そっちが好きなのか?いや、違うな。お姉さんが出来たからなのか?うむ、後者の方がしっくりくる。というか、後者でなければオレは困る。
「あ、私、こっちだから・・・じゃあね、お姉さ・・・じゃなくて、潤っ」
有希は顔を火照らせて、オレ達に別れを告げ、中学校へと向かっていったのだが・・・今さっき、潤の事をお姉様と呼びかけたよな?有希の将来が不安になったのだが、誰か有希の暴走は止められないのか?いるとするならば、オレしかいないな・・・はぁ・・・
「ね、ねぇ、優・・・?どうしたの?」
潤はオレの心中を見抜いたのか、のぞき込むようにオレの顔を見つめて心配してくれるようだ。身長差があるので、自然に上目遣いになる潤に、少しときめいた事は内緒にしておこう。
「いいや、お前が人気者になって良かったと思ってだな・・・」
当たり障りのない返事を交わしつつ、潤はニッコリと笑い、オレを少しずつ信頼してくれ、壁を感じられない潤にひとまず安心だ。
少しばかり距離感を縮めたオレ達は、学校へと向かうと・・・
「おーい!我が親友の九重やーい!待ってよー!」
・・・百歩譲ってオレの友達の桐島聡が満面の笑みを浮かべながら、右手を大きく振り、近づいてきたのだ・・・あの野郎、いつからオレと友達になったと錯覚しているのか?
「あっ!あ、あ、あなたは、天使ですか?!」
桐島は潤を見た瞬間、潤の両手をとって急に告白してしまう。
「えっ?えっ?わ、私、宇宙人なの・・・」
潤は急に告白されたからなのか、所構わず自らを宇宙人だと豪語するのだが・・・言い訳としては、使い道が無さそうだ・・・
「~っっ!やっぱり!地球上では、あなた様のような可憐で美しくて、どことなく妖艶な女性なんて産まれてこないですよねっ!」
桐島は潤の発言を完全に信じきったのだ。しかも、ベラベラと潤を自慢している桐島にイラついたオレは・・・
「桐島・・・やめろ」
殺意と怒りと憎しみを込めた目で桐島に睨みつけたのだ。そうすると、どうだろう?桐島は、オレに恐れをなしたのか、腰が抜けたらしく、ヘナヘナと地面に座り込んだのだ。
「ひぃぃ~っ、ご、ご勘弁を~っ!」
鳴きそうな声で謝罪してくる桐島を放っておき、潤と共に学校へと向かっていったのであった・・・
「こ、九重ーっ!た、助けてーっ!立てないぞー!」
後ろからオレ達の登校に何も起こらないようにと桐島の励ましの応援を聞きながら、な。
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学校に着いて、一年一組の教室に入ったオレと潤は自分の席へと向かったのだが・・・
「「「キャーッ!」」」
「「「うおおおおっー!」」」
クラス全員が潤の周りに集まり、潤の姿をオレから隠すように囲み、女子は黄色い声をあげて潤に愛の告白を。男子は野太い声をあげて潤に愛の告白をしていたのだが・・・何なんだ?この状況・・・新手のドッキリなのか?
「・・・?!あわあわっ(何で?あのアイテムの効果は皆に効いているはずなのに?優は効かないの?)」
潤は、あわあわ言ってクラスの変わりように驚いている。ってか、初めて見るぞ・・・あわあわ言って慌てているの・・・まぁ、仕方ないと思うが・・・
「み、皆っ、落ち着いてっ!(ここで、封印風鈴を私自身に使って、私についている香水の効果を無くしてしまえばっ!)」
潤はクラスに落ち着いてくれと懇願すると、それを何の反論もなく、クラス全員は自分の席へと戻っていった・・・やはり何かおかしいぞ・・・オレに対するドッキリにしては、あまりにも雑すぎる・・・ネタばらしするまでもないと考えたのか?
「は、はぁ・・・なんだったんだろうね?(良かった・・・アイテムを出すところを見られてない!)」
潤はクラスの変わりように苦笑いを浮かべて、オレの顔を見上げるように見つめる。オレは、相も変わらず真顔で接した。
「ほれ、とっとと席に座るぞ。」
オレは潤をエスコートするように、潤と共に席へと向かい、途中で濱田利香さんの姿をチラッと見てしまったのだが、やはり告白の件でギクシャクしていたのだ・・・ちくしょう、やっぱり気まずいな・・・何とか仲直り出来ないものなのだろうか?
そう悩みつつ、自分の席に着席し、一時間目の授業を受けたのであった・・・途中で、桐島が遅刻して教室へと入り、何故かオレを睨んだのだが、何もしていないのに睨まれる事にムカついて、そっぽを向いてやったのだったーー。




