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岡っ引きの源さんは、今日も朝帰り  作者: ねこまんまときみどりのことり


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20/21

友情の形

 青葉(あおば)は男物の装束を来て菅笠を被ると、女性にしては背が高いせいか違和感なく男性の姿に見える。目元がキリリと涼しいので、麗しの美形の部類に入るだろう。

 本人は不本意と言うけれど、知らない街へ行くには心強い。


 逆に葛樹(くずき)は背も低く幼く見える為、かなり年下に見えた。彼女の家は商売を行っている為、平民達との距離が近い。元々商人の家系であるも、数代前の流行り病で薬が不足していた際、在庫の薬を無償で幕府に寄付したことで、後に石高が引き上げられた。その時葛樹と神楽の曾祖父は、共に街を走り回り町人を救ったと言う。


 ただ武士なのに戦ではなく、商売をして石高が上がったことで、同じ武士からは訝しげに見られていた。その為、肩身が狭くなるような武士との結婚は、無理にしなくて良いと言われて育つ。

 話の合う異性はいたのだが、家門的に葛樹を受け入れられないと反対され破局した過去がある。神楽の家とは曾祖父からの付き合いがあり、葛樹と神楽も友人であった。


 雨咲(うさき)は幼い時から大人びた性格であり、生意気だと遠巻きにされていた時期がある。実際に上の兄や姉と年が離れていた為、彼らと過ごしたくて自己研鑽を積んで知識を深めたことで、同世代が子供に見えてしまったせいもある。

 孤立していた彼女に声をかけたのが青葉であり、彼女とつるんでいた葛樹と神楽も付いてきた形だ。みんな嫌みがなく、友人を諦めていた雨咲も次第に心を開いていったのだ。


 手紙により神楽が将勝の子を宿したことを知った時は驚いたが、案外と似合いに見えたことで応援していた。身分が不足ならば、池田家の養女として入っても良いとまで考えていた。雨咲の父親は彼女に甘い為、十分に可能であった。



 3人とも家族の縁が薄い神楽の力になりたかったのに、力になれなかったことを後悔していた。神楽は絹江に知らないうちに宿下がりして、ひっそりと一人で育てるつもりだった。けれどいつの間にか絹江に露呈して殺されてしまったらしい。


 将勝も神楽の思いを受け、生家に戻ることを許し印籠と金貨を渡していた。それがなくても神楽は市井で働き、子を育てながら生きていこうと思っていたのだ。

 時々秘密裏に隠密へ安否を確認させていたが、絹江が放った暗殺者はそれを把握しており、一人になった時に狙いを定めた。神楽は必死で逃げたが、結局殺されてしまった。源と出会い、お菊を託せたのは奇跡である。



 そんな3人だから、公明正大な理由ができた今、お菊には将勝と共に幸せに暮らして欲しいと考えていた。実の父親と共に。

 今までは絹江の生家の力が強く、自分達の家の負担になると思い3人も表だって動けなかった(池田家の養女になるのなら、雨咲は手助けをするつもりであった)。



 雨咲は腹黒いと言われていることを知っている。姿は両親の血を継ぐ誰もが振り返る美女であり、日本舞踊(歌舞伎踊りが起源)と吟剣詩舞(ぎんけんしぶ)を修め、その型から隙を突いて敵を抹殺できる胆力を持つ武家公家の流派である。政治経済の知識も叩き込まれており、雨咲が男なら家を継がせたと言わしめる程であった。



 そんな3人は旅をしながら行商の仕方を学んだり、歩くことで筋肉痛になって喚いたり、美味しい物を食べながら江戸に向かっていた。










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