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癒やしの力を奪われたモブ少女、死に戻りで復讐を誓う  作者: にのまえ


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11/12

11話

 地下室へ戻るなり私はギギに手伝ってもらって、ドレスを脱いだ。ようやく窮屈な装いから解放され、いつもの服に着替えて、ベッドへ身を投げ出し腕を見た。


 まさか、治したのは小さな傷だったのに気づくなんて、アーシャルの観察眼はちょっと厄介かも。それに可愛い見た目と口のうまさ。彼女の生まれつきのものなのかは、小説にも書いてなかったからわからないけど。


 とにかく、彼女はは人の心をつかむのが上手い。

 だから前回、彼女は聖女となり、サーランマ殿下の婚約者の座を手に入れた。今回は上手く立ち回らないと。


 だって苦しむのも、死にたくないから。

 こっそり殿下と出会い治療して恩を売って、味方になってもらえたら最高なんだけど。地下室にいる私に、第一王子のサーランマ殿下と出会う手段もないかな。


(あ、魔法は? 前回とは違い、今回はたのもしい使い魔のギギもいる)

 

 私はベッドに寝転びながら、側にいるギギに聞いた。


「ねぇ、いまからする話は無理な話かもしれないけど」


〈はい、なんですか?〉


「……誰にも見つからず王城に忍べ込めないかな?」


〈誰にも見つからず、王城に忍び込むのですか? でしたら、転移の魔法陣を利用すればいいのではないでしょうか〉


「え? 転移の魔法陣? そんなものがあるの?」


 私はベッドの上で身を起こし、小さな前足でせっせと顔を洗うギギを見つめた。私の視線に気づいたのかその動きを止めて、琥珀色の瞳をこちらへ向ける。


〈えぇ、ありますよ〉


「でも、私の能力じゃ無理じゃない」


 癒やしの魔法こそ使えるものの、それ以外の魔法はまだ訓練もしていない。


〈この部屋のどこでもいいです。転移の魔法陣さえ描いていただければ、ぼくが繋げられます〉


「どこかに、転移の魔法陣を描く?」


〈はい〉


 こくこく頷くギギ。

 描けと言われても描けないよね」


「無理よ。私、魔法陣なんて見たこともないもの」


〈魔法陣を見たことがない? あ、そうでした。旦那様から何かあったときの役に立つかもしれないと、預かっている魔導書がありました〉


「魔導書?」


 そうですと。ギギは収納から一冊の古びた本を取り出して、私の前に置いた。私はそれを手に取り読もうとしたが、その魔法陣の本がめくれない。


「うううっ、ギギ、本が開かないけど?」


 いくら開こうとしても、開かない。


〈えぇ簡単には開きません。ミサノお嬢様、この魔導書はストーリア男爵家に代々伝わる貴重書。本の表紙に血を垂らし、男爵家の血筋だと分かれば本が開きます〉


 さぁ、今すぐここに血を垂らしてくださいと、ギギは表紙をパンと叩いた。

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