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Episode 397 いろいろ準備を進める


「おはようございます。どこの学校ですか?」


 トレーニングルームの入り口に長机が置かれ、そこでどこの学校が来たのか点呼を取っているみたいだった。

 優乃ちゃんが緊張交じりに「扇原商業です」と答えると、受け付けの人は、「扇商ね~。ミーティング始まる前までに目を通しておいてください」と1枚の紙を渡してくれた。

 中をパッと見た感じ、去年までと同じことが書かれていて、毎年のことか。なんて思いつつも、もしかしたら変更事項があるのかも。なんて思ったりしているところがある。


 そこからしばらくして、出場する全部の学校が揃ったようで、説明会みたいなミーティングが始まった。


「「はい、それでは時間になりましたので、大会前ミーティングを始めます。一つ目は毎年言っていることにはなりますが、競技はプログラムに記載されている時間よりも相当速く進みます。招集に遅れないように、各チームの選手に入っておいてください。2点目、階上は普通の學校を借りています。そして、選手の控室は通常の教室を借りて控え室にしています。今日は日曜日で、明日月曜日です。つまり、通常の授業がありますので、ゴミは各チームで持ち帰るようにして、教室にゴミが残らないように、掃除要らずで机などを戻せるようにご協力をお願いします。それから、教室などにある備品は勝手に障らないようにお願いします。壊されたりすると、明日からの授業で使えなくなることもあります。そのあたりを考えて行動してもらうようお願いします」


 そこからは当たり前のことばかり言われるから、カットさせてもらって、10分もしないうちに解散になった。

 解散になったあとも、優乃ちゃんはしばらく考え込んで、自分なりにどう伝えるのか考えているようだった。


「そんなに深く考えんでええで。紙に書いてあることをそのまま読んだらええだけやねんから」

「そ、そうですよね。難しく考えすぎてました」


 そういうと、優乃ちゃんは立ち上がって、控え室の方に向かって歩き出した。

 もちろん、私もその後ろをついて行くけど、途中で向きを変えて、プールの方に向かう。

 まだ遊菜と離せていないって言うのもあるし、調子もスタートも見ておきたいって言うのが本音。

 まぁ、見なくても、遊菜は調子を万全に仕上げてきていると思うけど。

 とりあえず、プールの方に来て、遊菜の姿を探す。

 たぶん、直哉と同じピンクのスイムキャップに水色のスイムウェアという恰好をしているはず。

 ただ、プール内も、開会式の時間が近づいてきていることもあってか、人はまばら、さすがの遊菜のリレーに備えているか。なんて思いながら、プールから出て、控え室に戻る。

 控え室では、すでに大半の選手がノンび路とくつろいでいて、ストレッチをしたり、膝の上で課題をしていたりと、思い思いの時間を過ごしている。

 その中で直哉もゆっくりとしていて、毎年ながら競泳のカタログに目を通していた。

 そして、遊菜は、堂々と真ん中でストレッチをしていた。

 なんていうか、これを見ると、ものすごく安心するのはなんでだろうか。

 とはいえ、これからレースが始まる。そんな雰囲気が直哉と遊菜以外からにじみ出ているのも事実。

 これだけ見れば、温度差はすごくあるように感じるけど、むしろ、直哉と遊菜がこんな感じで助かってると思っている節もある。

 変に緊張していたら、この緊張がほかの選手に移ることもあるから。


「遊菜、あんた、調子はどうなん?」

「うん?あっ、咲ちゃんやん!調子?ばちぐ~。ただ、いつも通りって感じで、自己記録よりは制限記録って感じやね」

「まぁ、それくらいが打倒に倣いそうやね。それに、まだ泳ぎだして1カ月半やからな。まだ足らんところはあるやるね。徐々に照準向けていったらええって思ってるし。ゆっくりとインターハイに合わせな」

「お~ら~い」


 まるで練習に来たかのようにラフな遊菜。この緩さが部の雰囲気を落ち着かせてくれている。そんな気もする。

 それがありがたいところもあるし、遊菜に関しては、今はこの緩さだけど、レースになると、一気に真剣な表情になる。そこでどこまで引き締められるかってところにはなってくると思うけど、今年の女子は今まで以上に強い。

 リレーに関しては、普段、遊菜と一緒にふざけたりしている愛那も、フリーリレー、メドレーリレーの両方に名を連ねているけど、愛那でさえも、まじめにレースを泳ぐ。

 正直、直哉がある程度雰囲気を締めているけど、遊菜がいるだけで、レースのときの部の雰囲気はより一気に締まる。

 それがなければ、女子のレースは壊滅的になっているんだろうな。とか思ってしまう。


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