第六十二話 誓いですわ!
「なんか‥準備する事とかないん??!」
「準備といってもな‥」
「心の準備くらい?」
慌てる私がおかしいかの様に、2人は冷静のままだ。
「強いてやるべきことをあげれば、作戦の伝達などだが、それも私とノットは既に完了している。後はナギアにもその作戦を伝えるくらいだ」
「‥戦う前ってそんなもんやねんなですわ。私こんなん経験した事ないから初めて知ったわ‥ですわ」
私はもっとてきぱきと、武器の用意や作戦会議などを忙しくしているイメージがあった。
「まぁみんながこんなやり方かはわからないけどね。少なくとも私たちは、戦いの前日は体力を残しておこうって考えなんだよ」
それは確かにと、思わざるを得なかった。
前日に動きすぎて、当日に全力を出せなかったら意味はない。
私はある程度2人の意見に納得をした。
「えっとじゃあどうするですわ?‥もう解散?ですわ?」
「いや、もう少しいいかな?多分もうじきくるころだと思うから」
私とにゃあ吉は何のことか理解できずに、首を傾げた。
そのすぐ後に、扉を叩く音が聞こえた。
早速ノットさんが、呼んだ人が来たのかと思い、私は誰が来たかを予想しながら扉を開けた。
そしてそこには予想外の人物が立っていた。
「はーいですわ。どなたです‥ってえ?!」
私は相手の顔を見るなり大声をあげる。
そこにいたのは王様だった。
「何でここにいるん‥ですわ」
「暇なのか?」
「僕様は呼ばれた立場だ。何でそんな言われ方をしなければいけないんだ」
私とにゃあ吉の発言に王様は怒りを見せた。
「あーごめんごめん。呼んだのは私だ。さっき伝書鳩を飛ばしてね。ここに来るようお願いしてたんだ」
「あー君が差出人か」
王様は部屋へと入ってきて、ノットさんと顔を合わせる。
「初めましてナギア王。今回協力を申し出た。クレア・ノットです。以後、お見知り置きを」
「そんな丁寧な挨拶をしても、ここまで王に歩いて来るよう命じた無礼は帳消しにしないぞ」
「はは!それはいいじゃないですかナギア王。今回は守られる立場なんですから生意気言わないでください」
「そうやそうやですわ!」
生意気な態度に腹を立て、私もノットさんの意見に乗っかる。
「一体何なんだ今回の協力者たちは‥何故ここまで王に無礼なことが出来るんだ」
「お前に威厳がないからだ」
「そうやそうやですわ!」
「‥もうわかったから。黙ってくれ」
散々言われた王様は、少しずつ偉そうな態度を自重していった。
ただ「モンスターだけは許さん」と小声で言っていた。
「それで、何用でここまで私をこさせたんだ?」
「ちょっとみんなでこの街を散歩したいなと思ってね」
「散歩?ですわ」
私は不思議そうに聞き返す。
「そうだよ散歩。早速でようか」
「「「え?」」」
私たちはノットさんに言われるがまま宿屋をでる。
「意味がわからないな。何故散歩なぞしないかんのだ」
「僕様は王様なんだけどな。散歩する時間があるならやるべきことがあるわけで」
口々に文句をいう2人に「うるさい」とだけいいノットさんは話し始めた。
「明日の戦いの前に、守るべき街を知っておかないといけないだろ?守る街を実際に見てやっと、明日の士気が上がるってもんだよ」
「僕様はこの街の王だぞ。この街のことは全て知っている」
「うるさいよ」
王は露骨にしょんぼりする。
「別に私はこいつを守るだけで、この街を守るわけではないのだがな」
次はにゃあ吉が口を開いた。
「何を言ってるんだい。王を守る事は、この国を守ることと直結してるだろ?」
にゃあ吉の発言に対して、ノットさんはそう言葉を返す。
「僕様は僕様、この国はこの国だ。僕様がいなくてもこの街はやっていけるよ」
次はノットさんの言葉に王様がそう言った。
けれど、ノットさんは王様の顔をしっかりと見て、返事をする。
「元は廃れた街をここまで発展させたのは貴方だろ?ナギア王。貴方無くしてこの街はここまでの彩りを見せなかった。この国と王はイコールの関係で繋がっているよ」
「まぁ考え方はそれぞれだ。好きに言ってるがいいよ」
満更でもない顔を見せて、王様はそう言った。
「よしついた」
ある場所の前でノットさんがそう言った。
目的地があったこと自体知らなかったのだが、私はひとまずその場を見てみることにした。
そこは先日も来たことがある場所、時計台だった。
「ここの上なら街を一望できるだろ?我ながらナイスアイデアだよ」
「確かにその通りだが、ここは立ち入り禁止だ。王として、しっかりルールは守らなければ」
「よし!それじゃあ登ろうか」
「リア私につかまれ」
「これほんまに登れるん?高いなー」
皆王を無視して、上へと登る。
にゃあ吉は私を抱えて、時計台の溝を利用しながらジャンプする形で上まで登る。
ノットさんは浮遊しながら登っている。
「よしついたね」
「ありがとうにゃあ吉」
一瞬にして、私たちは時計台の頂上についた。
当然席などはなく、三角の屋根になっているので、足場は斜めで安定しないが、座れば何とかなる。
「本当に僕様を置いていくとは、考えられないな」
ぶつぶつと文句を言いながら王様が隣にやってくる。
「はい。これで、王様もルール違反の問題児やなですわ」
「うるさいぞ踏みつけモンスター。僕様は王様だからな。今回は特別に許可されたこととする」
「大人気ない僕様やろう」
「もう一度言ってみろ悪口モンスター」
新たな名をつけられた。
「もう2人ともせっかくの景色しっかり味合わないかい」
私は前の景色をみる。
すると街の景色が目に飛び込んできた。
私の視界全てに街の景色が映り込む。
「綺麗な街ですわ」
「そう!そうだよ!その考え方が大事なんだ!明日私たちはこの街を守るんだ!」
「単なる建物の羅列だろ」
「そこ!そう言ったこといわない!」
そのような会話をしている中、私はふと思ったことがあり、それが口から溢れた。
「まぁでも私はただ隠れてるだけやからですわ。みんなみたいに街を守る立場ではないですわ」
私の発言を不思議そうな顔をしながら3人は見ていた。
「何だ、そのように思っていたんだね」
「君はモンスターかつバカなのかい?」
「え?ですわ」
私は意外な周りの反応を見て、動揺してしまう。
「あまり脅かすようで言いたくなかったが、リアはこの戦闘に置いてかなり重要な役割にいるんだぞ?」
「え?でも私はただ守られる立場‥よな?」
「それは勘違いだ。リア君がいなければ、そもそもにゃあ吉君は戦場に立つ事はできないからね」
「そうなったら僕様とノットの2人だけだ。勝敗はわからないが、多くの犠牲がでる」
「つまるところ。リア君とにゃあ吉君は一心同体。にゃあ吉君が戦うと言う事は、いわば君も戦場にいるのと同義!守られる立場?まさかだよ。君もこの街を守る立場だ」
私は3人のその強い言葉によって、心が熱くなる。
「そんなん‥責任重大やん‥ですわ。でも、俄然やる気が湧いてきたで!ですわ!」
私は立ち上がり、こぶしをかかげた。
そしてそのまま話を続ける。
「何としてでも明日は勝利をおさめよ!誰1人として犠牲は出さずに!都合の良すぎるハッピーエンドを目指そう!ですわ!」
すると3人も、少し恥ずかしそうにしている人が2人いたが、拳を同じく掲げてくれた。




