第六十三話 当日ですわ!
王都にきてからはや5日、本日『黒薔薇の最後』がここ王都を攻めてくる。
組織が攻めてくると知った日から、数日しか経っていないのに、遂に当日が来たかと言った意気込みだ。
「お前ら、準備は出来ているな」
「あー。しっかりと作戦通り動けそうだよ」
「ここまで準備を整えて、奴らが来なかったら笑えるがな」
今は朝の10時、お城の玉座の間にて、皆作戦の確認を行なっている。
「聞いているのかリア?」
「あっ‥うん聞いてるで‥」
「何だいリア君?随分とげっそりしているね」
昨日、皆と意気揚々と拳を交わしたのにも関わらず、私は緊張から寝付けず、結局殆ど寝ないでここにいる。
「おいモンスターしっかりしてくれないか」
「大丈夫大丈夫ですわ」
王様に言い返す気力はない。
残された集中力や活力は、戦闘が始まる時まで残さなければ。
「作戦はしっかりと覚えているのか?一度口にしてみろ」
今の私を見て不安に思ったのか、にゃあ吉が私に問いかけてくる。
「えーとですわ。確か王様はここに残って、にゃあ吉は王様に近づく人たちを倒していく、でしたよね?ですわ」
「その通りだ。こいつのところに向かうやつを、なるべく片付け」
「キャットが逃した奴らを僕様が倒す。こうして分担するわけだ。しっかり覚えているじゃないか」
恥ずかしくて言えないが、昨日寝付けなかった夜に作戦を何度も復習していたのだ。
作戦は全て覚えている。
「肝心の自分のことは覚えているかい?リア君」
「ノットさんとずっと離れず一緒にいて、用意された5箇所のエリア何処かに隠れる‥ですわ」
「まぁそんな感じだね。一応はずっと一ヶ所に止まるつもりだけど、バレそうになったら第2のエリア、続いて第3と場所を移っていく感じかな」
隠れる場所は全て王様が用意してくれた。
まだ訪れたことがない場所ばかりだが、何とか迷わないようにしないと。
「よし。確認も終わったのならそれぞれ持ち場につけ」
「組織が来る時間帯までは、大雑把にしかわかっていないからな。今のうちにそうした方が無難だろ」
私とノットさんは用意された場所に移るため、玉座の間を離れようとする。
けれど最後に2人に言い残すことがあり、立ち止まった。
「それじゃあえっと‥王様、くれぐれも命取られないように、‥それから」
私はそう言ってにゃあ吉の元まで走り、頬にキスをした。
「にゃあ吉!絶対死んだらかあんで!!」
私は後退りして大きく手を振った後、ノットさんのところに戻った。
「流石ラブラブだな」
愛も変わらず、王はその様に茶々を入れてきたが、構わず無視をして、用意された場所を目指した。
(これはあくまでも、にゃあ吉の力を解放するための行為やから!)
けれどもし、真っ赤になった耳を見られていたら、照れていたことがバレてしまっていたかもしれない。
それから私はノットさんと2人で王宮地下にある隠し部屋まで向かった。
隠し部屋は、王宮の地下2階の一番奥にある書庫の本を順序通り動かすと開くらしい。
私たちはひとまず迷わずに、地下の書庫まで辿り着く。
早速中に入り、ノットさんが本を動かしていく。
中は本が乱雑に積み上げられていたり、複数の本棚がずらっと並べられている。
「えーと、わからないな。リア君メモ貸してくれないかい?」
私は王様からあらかじめ持たされていたメモ用紙を、ノットさんに渡す。
ノットさんはそのメモを読みながら本を出したり入れたり、はたまたスライドさせたりして動かしていく。
すると部屋の一番右奥にあった本棚が動き出し、扉のように開いた。
「えっ!すごいですわー!!」
私はこんな時にも関わらず大きくテンションが上がってしまう。
(こう言ったものは昔から大好きですわ!‥いや今はそんなこと言ってる場合じゃないな)
私はなんとか冷静を取り戻す。
「それじゃあ早速入ろうか」
「はい。ですわ」
私たちはそこの中に入る。
中に入ると同時に本棚は閉まり、その空間は何も見えない真っ暗闇と化した。
けれどすぐにそれは解消される。
眩しいほどの光がついたのだ。
壁に取り付けられたランタンのようなものが、左右合わせて6つ、それで部屋の中は昼間と変わらないほどの明るさとなった。
明るくなったことで、部屋の全貌が見えるようになる。
決して広くはないが、2人で隠れるには十分なスペースだ。
大きなソファと、机が一つ置かれている。
当然だが、窓はなく一切誰かが入って来れそうにはない。
ここなら組織の人たちも決して気付けはしないだろう。
「ってあれ?これもしバレたら逃げ場なくない?ですわ」
そう考えると、この密閉空間が安心よりも、不安をより強く感じされる場になってしまう。
「それなら安心したまえ、私はこの日のために転移アイテムを10個ほど用意してある。何があっても、これで他の隠し場所まで一っ飛びだよ」
なるほどそれなら安心だと思い、私は肩を撫で下ろした。
「まぁでもここが一番安全な隠し場所だから、ここがバレたら他の場所もバレるだろうけどね」
私は再び不安になった。




