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不滅のダンジョンマスター  作者: やみあるい
聖女邂逅の章

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145.探索準備の進行状況

あらすじ


『感覚共有』を使用し、送り出したゴジュウが人間の監視を始める。すると以前と比べ、人間の周囲にいる魔物たちの数が減っていた。後ほどサンジュウイチが報告してきた内容によれば、魔物たちはある時、唐突に殺し合いを始めたという。争いの原因は不明。幾つか思いついたことはあるが、確証がある訳ではない。私は人間の監視を副思考に委ねると、次に『感覚共有』についての考察と検証を始めた。

私はダンジョンに戻ってきたサンジュウイチの協力の下で、『感覚共有』で繋がっていることを配下に感じ取らせる方法を考える。




 サンジュウイチ以外にも名付きの魔鼠たちをダンジョンへ呼び寄せ、『感覚共有』の断絶時の検証を繰り返していたら、ダンジョン探索に必要なスキルの習得を目指していた配下たちから、進展があったという報告がきた。報告してきたのは、ゴブリンシューターというCランクのゴブリンだ。なんと、ゴブリンシューターはもう『罠感知』と『地形把握』の二つを習得したらしい。

『罠感知』に関しては、同族であるゴブリンたちから習っているだけに、早く習得出来たとしてもそこまで驚くことは無いが、この短期間で魔鹿たちから教えを乞うていた『地形把握』まで習得が出来るとは、色々と骨を折って、クリスタルホーンディアーに頼み込んだ甲斐があったというものだ。しかし、相手はあの高難易度ダンジョン。覚えたばかりの低レベルのスキルでは、通用しない可能性は十分にある。

 前回の探索では、自身がダンジョンコアであったこと、そして、第一階層をちょっと調べる程度ならという私の過信が、黒餡という配下の死に繋がってしまった。黒餡の時のような事は二度と起こさないように、今回は慎重に事を進めていきたい。

 そこでゴブリンシューターには、このまま習得したスキルを磨いてもらうことにした。まずはスキルレベル三を目安の鍛えていくが、安全を考えるのであれば、最低でも五は欲しい。本格的にダンジョンへ向かわせるのは、それからだ。


 ところで、他の配下たちの習得状況はどうなっているのだろうか? 確認してみると、他でも既に一つだけであれば、スキルの習得に至った配下たちが数体はいるようだ。とはいえ、中にはまだまだスキル習得に向かう手応えすら感じていない配下たちもいる。

 そろそろ、次の段階へ進めていく頃合いか。

 このスキルは配下たちを件のダンジョンへ向かわせる上で、最も重要なスキルではあるけれど、私は元より全ての配下たちにこのスキルを習得してもらおうとは思っていない。何故なら、スキルの習得速度は種族や個体差によっても、大きく違ってくるからだ。

 実際、この段階でスキルの習得に向いているものや、スキルに興味を持っていたものたちは、既にスキルを習得している。ならば、配下たちのスキルの習得に向けた取り組みは一旦、この辺りで止め、未だ未収得の配下たちには、そろそろ、元の作業に戻ってもらうことにしよう。



 病魔の森内でのレベル上げが頭打ちとなっている現状、ダンジョン探索は配下たちのレベルを上げ、次の進化段階へ至ってもらうために、必須の遠征と言ってよいだろう。なのになぜ、私は探索に必須と言えるスキルの習得を、一部の配下たちが覚えた段階で、満足しているのか。それは私が二度目のダンジョン探索に、複数名の配下たちで送り出そうと考えているからだ。数としては、五、六体辺りだろうか。その発想の起点となったのは、人間の冒険者や、エルロンドの探索者たちだ。

 最近はずっと、単独での生存能力を高めていた為に、私は最初、ダンジョンの探索も一体で行かせようとしていた。しかし、当たり前なことではあるが、数が増えれば単純に戦力は高まるだろうし、持ち歩けるアイテムの数も増えていく。そうなれば、当然、出来ることも増えていき、結果として配下たちの帰還率も高まっていくはずだ。

 やはり、先達の作り上げてきた形というのは馬鹿に出来ない。あれらはダンジョンそのものである私よりも、ダンジョン探索というものをずっとよく理解している。

 まあ、考えてみれば、当たり前のことではあるのだけれど。


 丁度良い機会だ。この辺りで大まかなパーティー構成も考えてみようか。今までは単独での戦力増強を期待して、個々での戦闘技能を磨かせていたが、ダンジョンの探索にはパーティー単位で向かわせることになる。ならば、探索に向かわせる候補は早いうちから決めておき、集団での戦闘を想定しての鍛錬を始めた方が良い。そうすれば、それは配下たちがこれから己を鍛えていくうえで、目指す指針になるだろう。



 今までダンジョンにやってきた人間の冒険者や、魔物の探索者を参考にすると、ダンジョン探索を行うパーティーに必要な役割は、まず、『罠探知』や『地形把握』といったスキルを持つ斥候役が一体。戦闘は前衛役が二体、後衛役が一体くらいか。それに回復用のアイテムを持つ荷物持ち役もいるといいだろう。これで五体。あとは出来上がったパーティーの具合を確かめつつ、そこから多少、増減していこう。


 続いては、探索に向かわせるパーティーの数だ。送り込むパーティーの数を増やしていけば、それだけ全滅の可能性は減っていく。パーティーの数が増えれば、それだけ持っていける回復アイテムの数も増えるし、何処かのパーティーが危険に陥っても、他のパーティーが助けに入ることが出来るからだ。

 だが、私の配下たちには、ダンジョンを守るという役割もある。四天王候補であるCランクの配下たちは今も少しずつ増えてはいるが、それでも戦力が余っている訳では無い。そもそも、鍛えているとはいえ、未だ四天王候補たちの中でCランクを越えた個体はいないのだ。ならば、もし、ダンジョンに危険が迫った時、ダンジョンを守る配下の数は多ければ多い程良い。

 現状、遠征任務中の黒たちを除くと、四天王候補の魔物たちは十二体。あちこちに散らばる不安要素を考えると、配下たちには早めに強くなってもらいたいところではあるが、急いだ結果として、全てを台無しにする危険性だってある。なにせ、全ては私が生き延びるための策なのだから。ここはやはり、慎重に慎重を重ねて、動くべきだ。

 その辺りの事情を加味すると、心苦しくはあるが、送り出すパーティーの数は、一つが無難だろう。ただし、そのパーティーにも、安全第一な行動を徹底して貰い、とにかく生きて帰還することを最優先として、慎重にダンジョンの探索を行ってもらうこととする。


 最後に具体的な配下の選定だが、今のところ、まずぱっと候補として思いつくのはCランクのゴブリンたち三体だ。参考にしているのが人間と亜人系統の魔物というだけあって、この選定からはどうしても思考の傾きを感じてしまうが、考えれば考える程に、この三体がダンジョン探索において有能に思えてしまう。


 罠と地形に精通した弓で戦う後衛のゴブリンシューター。

 塔盾による鉄壁の防御で高い生存能力を誇る前衛のゴブリンフォートレス。

 重い戦槌による強力な攻撃を放つ前衛のゴブリンデストロイヤー。


 元より、群れで生きるゴブリンという種族の特徴からして、この者たちなら複数で戦う際に必須と言えるスキル『連携』だってすぐに覚えてくれるだろう。それに他の魔物たちと違い、器用な手を持つゴブリンたちは、回復に使うポーションをそれぞれが持ち、それを即座に使うことも可能である。能力的にもうまくばらけているし、配下たちの中でダンジョン探索び為のパーティーを組むのであれば、かなり理想的な魔物たちなのでは無いだろうか。

 そんなわけで、まだ確定ではないけれど、今のところ、この三体を骨子として、探索用のパーティーを組んでいくことになりそうだ。

 この三体に問題があるとすれば、圧倒的な強さを持っている訳では無いという点だろうか。ゴブリンたちは持ち前の器用さと好奇心で、様々なことに挑戦し、ゴブリンという種族の持つ可能性を広げているが、そのせいか他のCランクの魔物たちと比べて、突出した強さというものが少ない気がする。この三体のゴブリンたちにしても、単独での狩りを続けることで、自身の持ち味を磨いてはいるが、種族的に突出した強さを持つ他の配下たちに比べると、どうしても一歩劣ってしまう。まあ、その辺りは『連携』で補えばいい。


 では、戦力という点に重きを置いて考えるとどうだろう。そういう視点で言えば、Cランクの中でも圧倒的な破壊力を持つ魔熊ストロングベアの熊吉や、切れ味の鋭い刃による一撃必殺の攻撃を得意とする魔蟷螂ブラッディーマンティス辺りも悪くない。まあ、ダンジョンまでの旅路を考えると、普段の移動が遅い熊吉は少し不利ではあるけれど。

 移動速度という意味で言えば、十二体の中では魔猪ジェットボアの猪丸が今のところ、最速だ。工作班のゴブリンたちが現在、試行錯誤している魔獣たちの為の荷運び方法のこともあるので、荷物持ち役にいいかもしれない。勿論、戦力としてだって悪くはないだろう。


 ふむ。戦力か。

 思えば、私は個々の配下たちの実力を正確に把握出来ていない。配下たちからの定期報告で大まかな強さは理解しているが、配下たちはダンジョンから離れた場所で狩りを行っているため、実際の戦闘を私自身が知覚している訳では無いのだ。その為、細かな部分では分かってないことも多いだろう。

 そうだな、最近はどの配下たちも森での狩りではレベルが上がり辛くなり、個々の実力も安定してきている。せっかくの機会だ。四天王候補の配下たちを集めて、ダンジョン内で力試しでもしてもらおう。配下たち同士で戦って強さを競うのだ。候補たちの現状の力関係を知るという意味でも、悪くない試みだろう。

 ダンジョン内で戦うのならば、配下たちへ一時的にダンジョンコアからの魔力供給を行うことで回復能力を高め、死ににくくすることが出来るし、最悪の場合でも回復の泉があればどんな致命傷であっても瞬時に癒すことが出来る。一撃で命を失うような攻撃にさえ気を付ければ、そうそう死ぬことは無いだろう。

 まあ、魔物たちによっては環境による違いや、相性の良し悪しもあるから、それが絶対的な強さの基準となる訳では無いけれど、少なくともあのダンジョンへ探索に行かせる際の判断材料にはなるはずだ。


 力試しを行う配下たちは全部で十二体。

 魔獣系統からは、魔猪ジェットボアの猪丸。魔熊ストロングベア。魔狼ホーンウルフ。魔鹿ビッグホーンディアー。

 魔蟲系統からは、魔蟷螂ブラッディーマンティス。魔蜘蛛トラッパースパイダー。魔蜂ナイトビー。魔蝶ヴェノムバタフライ。

 魔植物系統から魔茸イビルファンガス。

 邪妖系統からゴブリンデストロイヤー。ゴブリンフォートレス。ゴブリンシューター。

 これらの配下たちが参戦することになるだろう。全てが四天王候補のCランクの魔物たちだ。


 では、ルールを考えてみよう。

 これは殺し合いでは無く、あくまで配下たち同士の力試しが目的の大会である。だというのに、そんな大会で配下たちが減ってしまえば、本末転倒だ。それを防ぐためにも、ルールはしっかりと守ってもらう。


 一つ目。力試し大会では不公平が無いよう毎回、直前に回復の泉で傷を癒した状態で行う。

 二つ目。種族や戦い方による相性の差も考慮して、一対一の総当たり制で最終的な勝率を結果とする。

 三つ目。武具は普段使っている物を使用し、戦いはある程度の距離を保った状態から開始する。

 四つ目。殺すような攻撃は極力無しで、相手が行動不能となった時点で決着とする。


 とりあえず、大きくルールとして定めたのはこの四つだ。配下たちの種族の多様性や、戦い方の違いを考慮すれば、もっとルールを増やした方が公平にはなるだろうが、今回はあくまでダンジョン探索を行う上での強さの確認が主軸。その為、あえてその辺りには手を付けず、ありのままを見ることにした。また、これ以外で問題が起こった場合は、審判として私がその都度、判定を下す。

 とりあえず、ルールはこんな所だ。


 次に力試し大会を行う場所だが、これはダンジョン内の中部屋を使用することにした。その為、狭いということは無いと思うが、どうしても正面からの戦いになりやすいので、遠距離戦主体の者や不意打ちを狙う者は不利となる。そこもまたルールと同じで、ダンジョン探索での戦いを想定した結果だ。不利となる者たちには、仕方がないと割り切って貰おう。


 さて、一体どんな戦いが繰り広げられるのか。非常に楽しみだ。








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