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不滅のダンジョンマスター  作者: やみあるい
第四章 迷宮再始動の章

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128.第二階層の探索

あらすじ


前回と同じく策を巡らせる守護者に対して、トロールの探索者たちは回避も防御も忘れ、ただひたすらに猛攻を繰り出し続けてきた。【闇夜の射手】の一撃によりトロールの片目を潰すことに成功した守護者だったが、痛みを怒りに変えたような更なる猛攻の前に、守護者たちは一体、また一体と倒れていく。

全ての守護者を倒しきったトロールは、その目を貫いた矢を抜くと、そこに魔力を集中させ、あっという間に傷を癒してしまった。スキル『超再生』。これこそが、トロールたちの超攻撃的な戦法の要のようだ。




 コボルトたちのパーティーであるエムカトラムの猟犬、同じくコボルトたちのパーティーである鮮血の牙、そしてトロールたちのパーティーであるヘッドクラッシャーという三パーティーによる合同探索グループは、第一階層の階段を守る守護者を突破して、第二階層へと進んだ。

 第一階層を突破した合同探索グループが第二階層で苦戦することは無いだろう。恐らく、第二階層も突破してくるはずだ。とはいえ、第二階層もなかなかに広い。地図も無い新たな階層を突破するには、それなりに時間が必要となるはずだ。


 ふむ。ところで他の侵入者たちは今、どうなっているのだろうか? 合同探索グループとは別の道を行ったリザードマンたちのパーティーである子竜の塒と、オークたちのパーティーである大食い同盟。この二つのパーティーの監視とその行動の『記憶』は、二つの副思考で行っている。一応、この二つの副思考のことは半ば意識的に動かしているので、異常がないということくらいは分かっているのだが、細かな部分は『記憶』を思い返してみないといまいち曖昧だ。

 もっと『並列思考』の扱い方に精通していけば、いずれは全てを主思考と同じくらい意識的に他の副思考も動かせるようになったりするのだろうか? こうして、『並列思考』の扱い方に少しずつ慣れてくると、そんな未来もありうるのではないかと思えてくる。もし、それが出来るようになれば、もっと複雑な動作も同時に行うことが出来るようになるだろう。それは非常に助かる。そのためにも今は、しっかりと『並列思考』を使いこなしていかないとな。


 さて、短時間の間、合同探索グループの監視を副思考の一つで行いつつ、ざっと記憶を思い返してみる。すると、子竜の塒と大食い同盟の動きが分かってきた。

 この二つの探索者パーティーは、今もまだ第一階層を彷徨っているようだ。どちらも戦闘や罠で困るようなことにはなっていない。ただ、進む速度はまちまちだ。オークたち大食い同盟は比較的ゆっくりと進んでおり、リザードマンたち子竜の塒は少し急ぎ足程度で進んでいる。とはいえ、その探索速度は前回のエムカトラムの猟犬を上回るほどでは無かった。どうやら、こと探索という分野に限って言えば、やってきた探索者たちの中で最も熟達しているのはエムカトラムの猟犬に属するコボルトたちのようだ。

 このペースで探索を続けるとしたら、子竜の塒はあと三日程で、大食い同盟はあと五日程で第一階層の最奥、守護者の待つ階段部屋に辿り着くことだろう。まあ、道を選ぶ運によっては、もう少し早くなったり、遅くなったりするかもしれないが、この侵入者たちもやっぱり、続けてダンジョンに潜り続けるつもりなのだろうか?

 DPが永続的に得られるので、そこまで嫌という訳では無いが、その間はちょっと気が抜けそうにない。熊吉と黒牙には申し訳ないが、もう暫くダンジョンに待機していてもらう必要がありそうだ。


 さて、子竜の塒と大食い同盟の方は、あまり変わり映えのしない状況が続いている。ならば、子竜の塒と大食い同盟の監視はまた副思考に戻し、主思考では引き続き、第二階層を探索する合同探索グループの観察をしよう。



 第二階層の探索では再度、エムカトラムの猟犬がグループの先頭に立ち、地図を作成しながら通路を進んでいる。初めての階層だからか、その姿からは第一階層の時よりも多少の緊張が伺えた。先ほどまではことあるごとに教えを受けていた鮮血の牙も、今はおとなしくエムカトラムの猟犬の跡に続いている。初心者探索講習が無くなってしまったな。ちょっと残念に思う。


 そんなことを考えていると丁度、合同探索グループが第二階層を徘徊する複製体と出会ったようだ。

 第二階層の複製体は記録から複製したレッサーウルフとファングウルフ。それに加えて今は、前回、第一階層に新しい複製体を追加した時から、こちらにも魔物図鑑より新しい複製体を追加している。

 それが、このチェイスウルフとハイドウルフだ。


 種族:チェイスウルフ ランク:F スキル:『聴覚』『嗅覚』『遠吠え』『追跡』

 魔獣族魔狼系の亜種チェイスウルフ。獲物を追跡することに特化した魔狼の亜種。少ない痕跡から獲物を追跡し、獲物を発見すると今度は何処までも追い続ける執念深い魔狼。その為、走力と持久力も相応に鍛えられているが、反面、戦う力はそれほど高くない。


 種族:ハイドウルフ ランク:F スキル:『聴覚』『嗅覚』『遠吠え』『隠伏』

 魔獣族魔狼系の亜種ハイドウルフ。隠れることに特化した魔狼の亜種。自らの気配を弱めることで周囲へ溶け込み、狙う獲物を欺く。ただその代償として、通常の魔狼より全体的な能力は低い為、狩りの際は自身の力で確実に仕留められる隙が出来るのをひたすら待たねばならない。


 こちらも第一階層に追加した複製体と同様の亜種たち。魔物図鑑に記された内容通りなら、獲物を追跡することに特化した魔狼と隠れることに特化した魔狼。少し面白いのは、同じ隠れることに特化した魔物であっても、ゴブリンハイダーが敵から姿を隠すことに重点を置いていると記されているのに対して、ハイドウルフは獲物を狙う為にその身を隠していると記されている所だ。恐らくそれが、ゴブリンという種族と魔狼という種族の違いなのだろう。


 とまあ、新しく追加した複製体のことを思い出してはみたけれど、今回、合同探索グループが出会った複製体は第二階層の記録から複製されたファングウルフ。それが三体だ。

 そんな複製体ファングウルフに対処するのは、一同の中でも先頭を歩くエムカトラムの猟犬のコボルトたち。コボルトたちは襲い来る複製体ファングウルフたちを前に、各々の武器を構えると、慎重な動きで返り討ちにしていく。やはり、問題は無いようだ。しかし、心なしか第一階層にいた複製体を相手にした時よりも苦戦していたようにも感じる。

 やはり、比較的単純な戦闘しか出来ない複製体には、戦略を駆使するゴブリンよりも、身体的能力が高い魔狼の方が向いているのかもしれない。まあ、エムカトラムの猟犬が魔狼との戦いに慣れていないだけという可能性もあるけれど。

 それにしても、Fランクの魔狼の中で特に戦闘を得意とするファングウルフでこうなのか。やはり、この階層でも、合同探索グループが戦いに関して苦労することは無さそうだ。


 と、最初の戦闘を観察した私はそう思ったのだが、その後、この合同探索グループは思わぬところで苦戦を経験することになった。



 エムカトラムの猟犬は、あれからも問題無く複製体の魔狼たちに対処している。その後に続く鮮血の牙は、少し苦戦することもあるようだが、その都度、エムカトラムの猟犬が手を貸すことで、何とかなっていた。そう、ここまでは大した問題はない。つまり、問題となるのは残る一つのパーティー。やってきた探索者たちの中で、最も戦闘という分野に長けていると思われていたヘッドクラッシャーたちだ。

 基本、この探索中に現れる魔物の相手は、エムカトラムの猟犬と鮮血の牙が行っていた。しかし、ここは敵がそこかしこに潜むダンジョンの中。どうしても、突発的な状況下で、ヘッドクラッシャーたちが戦わざるを得ない時もある。

 そこで明らかになったのが、トロールたちの弱点だ。いや、実際の所、第一階層の守護者たちとの戦いでも片鱗は見えていた。

 ヘッドクラッシャーに属するトロールたちの戦い方は、基本的に強固な毛皮と『超再生』というスキルを頼りに、ひたすら『怪力』による猛攻を繰り出し続けるというのが持ち味だ。

 しかし、それに対して第二階層の複製体である魔狼たちは、素早い動きで敵をかく乱しつつ、攻撃からの離脱を繰り返す。トロールたちの射程に殆ど止まらないその戦い方で、決してトロールたちの得意とする土俵に留まらない。その結果、トロールたちは複製体の魔狼たちにひたすら翻弄され続けていた。

 ただ、だからと言って、必ずしもトロールたちが速度で複製体の魔狼たちに負けているという訳ではない。魔狼が幾ら素早い魔物であっても、ここにいるのは所詮、Fランクの複製体だ。事実、トロールたちよりも遥かに弱いコボルトたちでも対処は出来ている。

 それではなぜ、トロールたちは複製体の魔狼たちの動きに翻弄されてしまうのか。それはトロールたちが単体で戦っているからだ。

 エムカトラムの猟犬や鮮血の牙のコボルトたちは、常に連携を駆使して、複製体の魔狼たちの動きを抑え、確実に倒している。

 一方でトロールたちは、一応パーティー単位で動いているとはいえ、お世辞にも連携が出来ているとは言い難い。まあ、ステータスに『連携』のスキルが存在しない時点で、その辺りは推して知るべし。それぞれが別々に魔狼たちを狙うせいで、素早く動く複製体の魔狼たちに翻弄され、全く攻撃が当たっていない。どれだけ力が強かろうと、どれだけ鋭い攻撃だろうと、距離を置かれてしまえば、攻撃は当たらないのだ。

 惜しむらくは、複製体の魔狼たちの攻撃もトロールたちに効いていないという点か。そのせいで、戦いは延々と終わらない。しかし、時間が経てば経つほど、それはこちらの利となる。複製体の魔狼たちの体力も削れていくが、トロールたちの体力だって削れているはず。


 ただ、ここで戦っているのはトロールたちだけではない。そうこうしている間にも、戦いを終えたコボルトたちが、トロールたちを攻撃する複製体の魔狼たちを引き受けて、戦いはようやく終わった。


 しかし、これはもしかしたら、第二階層の守護者には、少し期待ができるかもしれない。












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