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不滅のダンジョンマスター  作者: やみあるい
第四章 迷宮再始動の章

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126.探索者たちの動向

あらすじ


切り札たる黒牙が帰還したことで、私は今まで守りの要としてダンジョン付近に留めていた熊吉と猪丸をある程度自由に動かすことが出来るようになった。そこで猪丸を病魔の森の外にある人間たちの廃集落へ、向かわせることを決める。目的は情報収集と使えそうなアイテムの回収。そして、廃集落の痕跡を完全に破壊し消し去ること。

猪丸を送り出して暫くすると、探索者たちがまたやってきた。しかし、そこには私の知らぬ魔物たちが増えている。種族ごとに分かれた五つの探索者パーティーは、ダンジョン内で三つのグループに分かれると、それぞれに探索を開始した。




 ダンジョンに侵入してきたのは、総勢二十六体の探索者たち。

 その内訳は、最初にやってきたコボルトたちの探索者パーティーであるエムカトラムの猟犬から五体。

 その後輩であり同じくコボルトたちの探索者パーティーである鮮血の牙から六体。

 戦闘に特化したトロールたちで構成された探索者パーティーであるヘッドクラッシャーから四体。

 血気盛んなリザードマンたちで構成された探索者パーティーである子竜の塒から六体。

 何やら一風変わった目的を持っているらしいオークたちで構成された探索者パーティーである大食い同盟から五体。

 なかなかの大所帯だが、ダンジョン内に入ってきた探索者たちは、最初の十字路でこれ幸いと三つのグループに分かれ、そのまま別々の道を進み始めた。どうやら最初から、全員で協力して探索を進めるという気は無かったようだ。

 その中でも未だ共に進んでいるのは、エムカトラムの猟犬と鮮血の牙、それからヘッドクラッシャーの三パーティーだけ。あとに残った子竜の塒と大食い同盟はパーティーごとに分かれて別々の通路を進んでいる。


 ふむ。どのパーティーもそれぞれに特色があり、それぞれに厄介な力を持っているようだから、しっかりと観察しておきたいところだが、どう頑張っても主思考で観察できるのは一か所だけ。

 私は暫し悩んだ末に、最初はこのダンジョンの探索がすでに三度目となるエムカトラムの猟犬と、侵入してきた探索者たちの中で最も戦闘が得意そうなヘッドクラッシャーが同道している三パーティー合同のグループを主思考で追うことにした。

 とはいっても、他のパーティーの監視は一先ず二つの副思考へ任せているし、探索者たちの行動は逐一『記憶』しているので、細かな部分はあとから確認することも出来る。それに、監視を継続している二つの副思考には、いつもより意識を割いているので、そちらで何か異変が起こってもすぐに気づいて、対応が可能だ。二つの副思考を意識下に置くのは、ちょっとまだ慣れないけど、きっと使い続けていれば、いずれは慣れてくるだろう。それまでは、片方の副思考から意識が外れないように、ちょっと注意しておくことにする。

 さて、それでは気合を入れて監視をしていこう。



 合同探索グループ、と私が名付けたエムカトラムの猟犬、鮮血の牙、ヘッドクラッシャーという三パーティーの集団は、エムカトラムの猟犬が持つこのダンジョンの地図に従い、広大な迷路となっている第一階層の最短経路を進んでいた。

 そう言えば、この地図の情報は全てのパーティーで共有しているのだろうか? 地図を辿るとしたら、子竜の塒と大食い同盟も、この道を選ぶと思うのだが。それとも、他の二パーティーには、第二階層を直接目指さない理由があるのだろうか?

 ちょっと気になったので、他のパーティーも覗いてみた所、この探索者たちは各パーティーで地図情報の共有はしていないらしい。つまり、子竜の塒と大食い同盟は、一から探索をしていくようだ。なるほど。そこは経験者の居る合同探索グループの強みということか。

 ただ、合同探索グループも最短経路を進んではいるけれど、それほど急いでいるという訳ではなさそうだ。その証拠に道中を一気に進む訳では無く、途中途中で立ち止まり、エムカトラムの猟犬が鮮血の牙に、罠の見分け方や解除方法、ダンジョンの進み方や地図の描き方などを丁寧に解説している。後輩パーティーへのダンジョン探索指南か。『読心』で読み解いた話の内容的に、元からそちらも探索の目的に入っていたらしい。

 ほうほう。どうやらエムカトラムの猟犬が教えている内容は、探索者の持つダンジョン探索の知識としては基本的なことらしいが、罠を仕掛けたり、迷路を用意する側としても参考になる情報が多い。基本的なダンジョンでの立ち回り方から、ダンジョン探索の初心者が陥りがちな弱点、注意すべき罠やこのダンジョンでよく見かける罠の配置方法など。どれも非常にありがたい情報だ。

 ふむ。病魔の森の常連の為にも第一階層は当分の間、そこまで弄らずにいくとして、この先の階層では第一階層で探索者たちが学んだことを残しつつ、それを逆手にとった罠や迷路に改築してみようか。基本となる探し方があるのなら、うまくそれを逆手にとれば、もっとうまく迷路や罠を構築できるはずである。これはちょっと、楽しみだ。


 とまあ、そんな寄り道をしながらではあったけど、さすがに経験者が最短経路を進んでいるだけあり、やがて合同探索グループは守護者の待つ第一階層の階段部屋の前までやってきた。掛かった時間はだいたい、半日程だろうか。

 コボルトたちにとっては二度目の守護者戦となる。今回はゴブリンリーダーたちだと、さすがに少し厳しいだろうか。エムカトラムの猟犬や鮮血の牙だけであればまだしも、ヘッドクラッシャーのトロール四体は、どう考えてもゴブリンリーダーたちの手に余る。

 ただ、もしかしたら前回の雪辱を果たすべく、エムカトラムの猟犬が一パーティーで挑んでくるという可能性も無くはない。エムカトラムの猟犬のステータスは、前回の探索時とあまり変化していない。こちらの動きを知られているという欠点はあれど、ゴブリンリーダーたちとて前回と全く同じ戦略で行くことは無いだろう。であれば、彼らだけなら、まだ何とか可能性はある。

 ――と、期待していたのだが、部屋に入って最初に前へ進み出てきたのは、順当に四体のトロールたちで組まれたパーティー、ヘッドクラッシャーだった。

 まあ当然、そうだよな。



 トロールたちの覚えているスキルは、四体全てが完全なる前衛であることを示している。正直、私が感じ取った以上に手ごわそうだ。しかも、熊吉も所持していた『怪力』のスキルに加え、『超再生』なるスキルまで持っていた。

『超再生』か。私は以前、人間のAランク冒険者、イグニスのステータスに『再生』という似たようなスキルを確認していた。尤も、あちらのスキルはレベルの表示がされていなかったので、種族固有のスキルかギフトスキル、ユニークスキルだったのだろう。いや、同じくステータスに表示されていた【コア破壊者】の称号と、魔王レティシアから聞いた話を合わせて考えると、何処かのダンジョンを踏破して、ダンジョンコアを破壊したことにより得られたユニークスキルだった可能性が濃厚か。

 一方で、トロールたちの持つスキル『超再生』には、スキルレベルが存在する。スキルの特殊性から考えて、トロールという種族が持つ種族スキルだろう。


 ちなみに、以前地脈から調べたところによると、レベル表示の無い種族固有スキルとは、種族スキルの一種ということだ。

 種族スキルとは、その種族となった魔物が、自動的に覚えるスキルのことだが、通常の種族スキルは次の種族へ進化、もしくは転化しても、消えることなく存在する。しかし、それが種族固有のスキルだと、進化や転化でその種族でなくなると、スキルから消えてしまうのだ。代表的な例で言うと、Gランクの魔物が持つ『幼体』というスキルだろうか。子供の内は持っているけれど、大人になると消えてしまう、といった感じだ。他にも死霊系統の魔物が持つ『霊体』のスキルも、種族固有のスキルらしい。最もこちらは、死霊系統の魔物なら大抵が持っている種族固有スキルな為、進化先によっては持ち続けることもあるという。

 種族固有のスキルはその限定的な発現の代わりに、総じて有用なスキルであることが多い。私の感覚で言えば、種族として持つ特性が、スキルとして明確化された感じだろうか。

 種族の特性と種族固有スキルの細かな違いに関しては、私の知的好奇心として、副思考に空きが出来次第、引き続き地脈を調べる予定だ。


 と、少し思考が逸れてしまった。今はトロールたちが持つ『超再生』のスキルについてだ。レベル表示のないユニークスキルは、通常のスキルと比べ、強力なスキルであることが多いらしいから、さすがに超という字がついていようとも、トロールたちが持つ『超再生』というスキルは、Aランク冒険者イグニスの覚えていた『再生』というスキルより弱いスキルだとは思うのだが、似た効果を持つスキルである可能性は十分にある。

 あの時は、片腕を切り落とした時点で逃げられてしまったため、はっきりとそのスキルの発動している所を観察することが出来なかっただけに、今回はちょっと期待している。

 果たして、『超再生』とはどれほどの効力を持つスキルなのだろうか。

 それを観察するためにも、ゴブリンリーダーたちにはせめてこの探索者たちへ、傷の一つくらいは負わせてもらいたいところだ。



 一応、第一階層の守護者であるゴブリンリーダーたちには、これからやってくる探索者たちの実力は正確に伝えてある。だが、まあ私から伝えられずとも、その姿を確認した段階で、すでにある程度の予想はついた事だろう。このトロールたちが、ゴブリンリーダーたちよりも、上位の存在であるということを。

 レベルや魔力という外見に現れにくい力が存在するこの世界であっても、その巨体は確かな力を示していた。なにせ、トロールたちの姿は、ゴブリンリーダーたちの三倍以上。ただでさえ、人間の子供並みの大きさしかないゴブリンたちが、トロールの前に立つと、まるで赤子のようだ。

 しかし、たとえ相手が格上であろうとも、ゴブリンリーダーたちはまだ諦めていない。戦意を漲らせ、合同探索グループを相手にしっかりと構えている。

 それでこそ、第一階層の守護者だ。


 正面からまともに打ち合えば、防御に成功しても力で押し切られるは必死。さて、ゴブリンリーダーたちはこの巨体を相手にして、どのように攻めるのだろうか?







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