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不滅のダンジョンマスター  作者: やみあるい
第四章 迷宮再始動の章

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125.黒牙の帰還と新たな客たち

あらすじ


『感覚共有』の性能が向上したことで、いつの間にか複数の配下と繋がれるようになっていた。その上、繋げることのできる感覚にも、嗅覚と触覚が追加されている。ただ、今の私では情報量の多さに辟易してしまう為、当分の間は視界だけを繋げることになりそうだ。

ダンジョンに新たな複製体を追加してから暫くが経ち、それぞれの特性が分かってきた。どの複製体も一長一短こそあるが、様々な形でダンジョンへ貢献してくれている。




 第一階層の守護者を相手に敗走したコボルトの探索者たちが、ダンジョンより撤退していった日から暫くの時が流れ、病魔の森の外へ旅立っていった黒牙がようやくダンジョンへ帰還した。

 そこで私は、早々に黒牙の旅の報告を受ける。『感覚共有』で黒牙の視界は常に『記憶』していたけれど、それ以外の感覚については分からないままだ。それ以外にも黒牙がその場で感じた事や、考えた事など知りたいことは沢山ある。

 しかし、黒牙は私が最も気になっていた疑問へ一通り答えた後、早速とばかりに病魔の森での狩りへと向かってしまった。もっと聞きたいことはあったのだが、仕方がない。どうやら、姿を隠して進む旅路は、今の黒牙にとってよっぽど苦痛を伴う旅路だったようだ。昔はそれが基本だったはずなんだが、別の方向性へ進化したことでその辺りの性格にも影響が出ているのだろうか?

 まあ、向かう先が狩りとあっては、私に黒牙を責めることは出来ない。黒牙が更なる強さを望むことは、私にとっても悪い事ではないのだから。それに黒牙との視覚の共有はまだ続いているから、『記憶』と連携すれば、黒牙が今、病魔の森の何処にいるのかもある程度は絞れるはずだ。いざとなれば、命令を使うという手もある。その時、病魔の森のどの辺りにいようとも、黒牙の速度ならあっという間にダンジョンへ戻って来てくれるはずだから。


 という訳で、黒牙が病魔の森へ帰ってきた事により、ダンジョンの守りについては幾分か余裕が生まれた。その結果として、これからは猪丸と熊吉がダンジョンの守りから解放されることになる。

 今までは猪丸と熊吉の二体によって、いざと言う時のダンジョンの守りを任せていた。しかし、この二体は黒牙と比べると、どうしても劣る点がある。

 まずはその強さだ。最近は育ってきたが、それでもCランクである二体は、Bランクの黒牙と比べるとどうしても弱い。それを補うために、常に二体を揃えておく必要があった。

 また、それに絡んでもう一つ。黒牙と比べると、どうしてもこの二体は速度が遅い。速度自慢の猪丸であっても、遠方まで遠征させてしまえば、命令を送ってもすぐにダンジョンまで帰還することは出来なくなる。熊吉に至っては、言わずもがな。その為、この二体にダンジョンの守りを任せていた間は、狩りに向かわせる時もあまりダンジョンから離れた場所に向かわせることは出来なかった。

 しかし、命令で呼べばその圧倒的な速度で、すぐにダンジョンへ駆けつけてくれるであろう黒牙が帰ってきた以上、この二体の行動の幅も広げていくことが出来る。


 そこで手始めに、私は猪丸を病魔の森の外縁に作られていた人間たちの集落、今では廃墟となった人間たちの元拠点へ向かわせることにした。ここは前回、黒牙の視界を通して軽く確認してはいた場所だ。しかし、あの時は別の任務を優先するために中を全く探索できていなかった。そこで、今回は猪丸の視界を借りて、しっかりと探索してくることにしたのだ。

 ただ、あそこは人間の使っていた集落である。魔獣である猪丸だけでは、細かな部分まで調べるのは難しいだろう。そこで、お供として普段から猪丸の狩りについていっていたゴブリンたちを付けることにした。人と似た体形のゴブリンたちなら、魔獣である猪丸よりは、人間の集落を探索しやすいだろう。

 この探索はただ情報を集めることだけが目的という訳では無い。もちろん、情報の収集も大切だが、ゴブリンたちにはそれとは別に、廃墟から武具や道具など、人間たちの使うアイテムの回収も命じてある。かなり破壊されているとはいえ、黒牙の視界を借りて外から見た感じだと、何もかもが粉々という訳ではなさそうだった。もしもまだ使えそうな物があったら、回収してこちらで再利用する予定だ。

 さらに、それら全てが終わった後は、この廃墟を徹底的に破壊するようにも伝えてある。一応、トレントの植樹により病魔の森に入る道は隠せているはずだが、あの廃墟が残っていては、何かの拍子に見つかってしまうかもしれない。廃墟の徹底的な破壊は、その可能性を潰すためだ。

 まあ、実のところ、破壊こそが本命であり、情報の収集やアイテムの回収は、ちょっとしたおまけという感じである。ついでに色々と手に入れば万々歳といった所だ。だが、興味が無いわけでも無い。そこは、ついていったゴブリンたちの目利きに期待しておこう。



 そうして、猪丸とお供のゴブリンたちを送り出してから、また暫くの時が流れた頃、私は病魔の森の奥からコボルトたちの気配を感じ取った。とりあえず、丁度近場にいた熊吉をダンジョン内に呼んでおく。さらに続けて、帰ってきたばかりで申し訳ないが、黒牙にも命令を送り、ダンジョンへと戻ってきてもらった。前二回と同様であれば、もう熊吉を呼び戻すだけで良かったのだが、今回はどうにも前とは少し様子が違うようだったので。

 案の定、近づいてきた気配は、前の二回とは少しだけ違っていた。おなじみとなりつつあるコボルトたちの気配があるのは変わらないけれど、今回はそこに別の気配が加わっている。

 どうやらコボルトとは違う魔物のようだが、魔力で確認した形状からして亜人系統という所は同じようだ。廃都で確認できた魔王レティシアの配下らしき魔物たちの種族から考えても、恐らく同じエルロンドの探索者たちだろう。

 増えた気配の数はニ十体。そこにコボルトたちを加えると、総勢で二十六体にもなる。かなりの数だ。その中にはコボルトたちと同格らしき者たちもいれば、コボルトたちよりも格下と思わしき者たちもいる。さらに、コボルトたちよりもかなり強そうな気配を放つ者たちもいるようだ。しかし、強いとは言っても、さすがにガルセコルトや魔王レティシアから感じたような隔絶した強さという訳では無い。私の感覚を信じるならば、猪丸と熊吉が二体掛かりで互角。切り札であるDPブーストを使えば、熊吉だけで圧倒も可能だろう。

 しかし、さすがに数が数だから黒牙を呼んでおいたのは正解かな。黒牙であれば、DPブーストを使わずとも、全て蹴散らすことが出来そうだ。



 探索者たちがダンジョン内に足を踏み入れたことで、そのステータスがダンジョンコアの機能で表示できるようになった。

 なるほど。称号からして新規で来た魔物たちのパーティーは四つ。それぞれに同種族で集まってパーティーを組んでいるらしい。とりあえず、参考までに各パーティーに属する魔物たちのステータスを一つずつ抜き出して、確認していこう。


 まずは、新しく来たコボルトたちのパーティーから一体。


 名前:バルト

 種族:コボルトリーダー ランク:E

 年齢:16

 カルマ:±0

 LV:13/30

 スキル:『嗅覚LV3』『筆記LV3』『計算LV3』『体術LV3』『爪牙術LV3』『魔力感知LV1』『生活魔法LV1』『剣術LV3』『盾術LV2』『連携LV3』『採取LV3』『気配察知LV3』『身体強化LV2』『解体LV1』『交渉LV2』『指揮LV1』

 称号:【新生エルロンド王国の民】【Eランク探索者】【Eランク探索者パーティー:鮮血の牙所属】


 次は最近、黒牙の視界を借りて廃都で見た魔物であり、以前はゴブ太の村へ行商にやってきた魔物とも同種であるリザードマンたちのパーティーから一体。


 名前:シシェータス

 種族:リザードマンリーダー ランク:D

 年齢:21

 カルマ:±0

 LV:25/45

 スキル:『火耐性LV3』『硬鱗LV5』『体術LV5』『魔力感知LV3』『生活魔法LV3』『計算LV3』『筆記LV2』『気配察知LV3』『採取LV3』『剣術LV5』『身体強化LV5』『連携LV2』『解体LV3』『威嚇LV3』

 称号:【新生エルロンド王国の民】【Dランク探索者】【Dランク探索者パーティー:子竜の塒所属】


 さらに、以前はこの病魔の森にもいたらしく、魔物図鑑に少しだけ載っていた魔物であるオークのパーティーから一体。


 名前:ビオクテス

 種族:オーク ランク:D

 年齢:16

 カルマ:±0

 LV:17/45

 スキル:『嗅覚LV6』『大食LV7』『毒耐性LV3』『体術LV5』『筆記LV3』『計算LV3』『魔力感知LV1』『生活魔法LV1』『気配察知LV5』『採取LV7』『鈍器術LV5』『身体強化LV5』『解体LV7』

 称号:【新生エルロンド王国の民】【悪食】【Eランク探索者】【Eランク探索者パーティー:大食い同盟所属】


 最後は、この世界では初めて確認した種族の魔物であるトロールのパーティーから一体。


 名前:グルドゥオーラ

 種族:トロール ランク:C

 年齢:

 カルマ:±0

 LV:38/60

 スキル:『超再生LV5』『怪力LV5』『変身LV1』『森歩き』『採取LV7』『体術LV7』『斧術LV7』『解体LV5』『身体強化LV3』『威嚇LV5』『咆哮LV5』『魔力感知LV1』『生活魔法LV1』『気配察知LV2』『筆記LV1』『計算LV1』

 称号:【新生エルロンド王国の民】【Cランク探索者】【Cランク探索者パーティー:ヘッドクラッシャー所属】


 ステータスだけで、情報の山だな。

 四種族のステータスを比べるだけでも、色々と面白いことが分かってくる。

 例えばそれは、スキルの種類から確認できるエルロンドの教育水準。

 例えばそれは、亜人系統の種族名の規則性とランクの関係。

 例えばそれは、パーティー単位では種族が統一されていること。

 例えばそれは、探索者としてのランクやパーティーとしてのランクと、魔物としてのランクの違い。


 思いついたことは色々とあるが、今の私にとって何よりも重要なのはその強さだ。果たして、私が感じた強さと、ステータスから確認できる強さは、実際に戦った時の強さにどれだけ迫っているのか。

 それはきっと、これから分かることだろう。



 ダンジョンに侵入してきた二十六体の探索者たちは、最初の分かれ道で立ち止まると、パーティーの代表同士で少し話し合った末に、その場で三つのグループに分かれて、それぞれの通路へと入っていった。

 最初にダンジョンへやってきたコボルトたちのパーティーであるエムカトラムの猟犬ともう一つのコボルトパーティーである鮮血の牙、そしてトロールたちのパーティーであるヘッドクラッシャーが同じ通路を行き、あとのリザードマンたちのパーティーである子竜の塒と、オークたちのパーティーである大食い同盟がそれぞれに別々の通路を進んでいる。

 私が『読心』で読み取った探索者たちの話し合いを要約すると子竜の塒と大食い同盟はダンジョンの探索に自信があるらしく、個々のパーティーだけで進むそうだ。一方で、鮮血の牙はエムカトラムの猟犬の後輩であり、親しくしている為、その流れからエムカトラムの猟犬についていく。そして、ヘッドクラッシャーはダンジョン探索に慣れていないため、探索が得意でこのダンジョンの経験者でもあるエムカトラムの猟犬についていく、といった感じらしい。そんなわけで、戦闘面で言えば、探索者たちの中で一番強いのはヘッドクラッシャーなようだが、この探索において三パーティーの中心となっているのは、エムカトラムの猟犬のようだ。


 さて、『並列思考』で分けた副思考を使い、三つのグループ全てを監視するのは当然として、主思考ではどのグループを観察することにしようか?












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