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父は本当の愛を見つけたらしい  作者: 雷ライ
〜サラ〜
31/33

君はどこで間違ってしまったのだろう

上手くまとめられませんでしたが、一応これでアリアは終わりです。

体当たり女と決着をつけると決めてから、私は改めて彼女のことを調べ直した。


今までは興味がなかったため聞き流していたのだ。


面倒だが、今後絡まれたままとなると兄様や姉様に話がいってしまう。


兄様と姉様たちは心配してくれるだろうし、協力もしてくれるだろう。


だけど、これ以上迷惑をかけるのは嫌だ。



体当たり女の名前はアリア・オトレッメ。


オトレッメ子爵の令嬢で、私と同い年。


外見はオリーブ色のロングストレートの髪に、

薄茶色の瞳。


まぁ、可愛らしい容姿をしているとは思う。


オトレッメ子爵の長女として生まれ、両親に愛されて育った普通の女の子だ。



そう、何の変哲もない、どこにでもいる普通の貴族令嬢だったにも関わらずアリアは私を悪役に仕立て上げようとしている。


何かキッカケがなければそんな無謀なことはしないだろう。


私はそのキッカケを少し前からトムに調べてもらっていた。


そしてトムが持ってきたのは1冊の日記だった。



「トム、窃盗は犯罪よ」


女性の日記を持ってくるなどなんて奴だ。


トムは慌てて手を振り否定し、読んでみろとばかりに私に押し付けてくる。


それを見てカティは顔をしかめるが、トムは気にせず私に日記を読ませようとする。


仕方なしに日記を開き読み始めるが、前半は全く読めなかった。


知らない文字が見たことのない文字が並んでいたからである。


半分を過ぎたぐらいから、私にもわかる文字で日記が書かれていた。


1ページ1ページ、お世辞にも綺麗と言えない幼い子が書いたような字を丁寧に読んでいく。


全て読み終わった私が思ったことはただ一つ。


「トム、これは誰がいつ書いた日記なの?」


こんなことはありえないと混乱する中で、冷静になれと自分に言い聞かせる。


「………アリア嬢が幼少期に書いたものだそうです」


トムは私の目を見ていう。


嘘偽りないと言いたげだ。


「そう」



今の私には何も言えることはなかった。

















夢継病むけいびょう

前世又はそれより前の生の記憶を引き継いることを示す病気。

病気といっても決して悪いだけのものではなく、この世界の発展に強く貢献する者に発病することが多く、上手に付き合えば英雄や賢者と呼ばれる可能性を秘めた病だ。




アリアの日記の中で読むことが可能な部分だけでも、彼女が夢継病であることが証明できるだけのものが揃っていた。


その中で幼い彼女の話に出てくる前世の世界では有名だという物語には、主人公である前世の記憶を持つ女性とその彼女を溺愛する男性たち、彼女に対して強く嫉妬する女性が出てくるそうだ。


アリアが作り出そうとしている現状はこれに酷似していた。


配役は主人公がアリア。


主人公を溺愛する男性たちがアルフレッド殿下にエリック様とスチュアート様。


主人公に強く嫉妬する女性が私。


これがアリアが理想とする物語なのだろう。



アリア・オトレッメに彼女はなれなかったのだ。


彼女はアリア・オトレッメを演じているのだ。



通りで話が合わないはずだ。


彼女には台本がある。


その通りに物語が進むことが彼女の望む結末を迎えるための最良だと彼女が思っている筋書き。


体当たりにも意味があるのだろう。


しかし、彼女は知らない。


夢継病は英雄や賢者たちの死に際にわかる病なのだ。


彼らはこの病の恐ろしさを知っていた。


世界を変える、歴史を進める病だ。


豊かになった国がある。滅びた王家がある。

数多の屍の上に立ち続けることとなった者もいた。

また、時の権力者に保護という名目で利用され続ける者や悪魔と蔑まされ殺される者や今を生きること出来ず自らを命を絶つ者もいた。


このことが世間にバレたら、彼女にこの先待っているのは国の管理下に置かれる軟禁生活。


私はただ彼女が私に構ってくるのをやめてくれたらいいと、構ってくる理由を突き止め辞めさせようとしただけなのに彼女が抱える秘密は私の手には余るものだ。


彼女には申し訳ないが私は自分と家族が大事だ。



皆様に相談して、できる限り穏やかな幕引きを図るとしましょう。











「サラ様!私をこんなところに呼び出してどういうつもりですか!」


サロンに入ってきていきなり叫ぶアリアは相変わらず煩い。部屋の中にいるのが私だけではないとわかり、驚いたのだろう、目を見開く。


しかし驚くのは当たり前だ。だってこの場にはアルフレッド殿下にエリック様、マリエ様がいる。


スチュアート様がいないのはマリエ様曰くいると話が進まないかららしい。



「今日はアリア様の物語を終わらせるためにお呼びしました」


長くダラダラ話せば彼女に私の言葉は届かないだろう。


簡潔に話を進める。


「物語を終わらせる?何も言っているのか意味がわかりませんよ、サラ様」


挑発的に馬鹿にするかのように言うアリア。


「まずアリア様は夢継病をご存知ですか?」


彼女の態度を無視し、話を続けるのはマリエ様。


無視されたことにはイラついていたが、知らなかったのだろう素直に首を振るアリア。


「そう、知らないのなら仕方ありませんわ。簡単に説明するとあなたと同じように前世の記憶を引き継いでいる人を指す病です」


アリアはマリエ様の説明を受けしばらくポカーンとしているがようやく理解できたのだろう、動揺が顔に現れる。


「前世の記憶?私はそんなのしらないわよ!何を意味のわからないことを言っているの?!アルフレッド様、エリック様この2人おかしいですよ」


アルフレッド殿下とエリック様に助けを求めるアリア。


しかし、アルフレッド殿下は苦笑いするだけ、エリック様は表情に変化は見られない。


「ここの1つの手記があります。アリア様見覚えはございますか?」


私はアリア様に彼女の日記を手渡す。


怪訝な顔しながら受け取るアリアだが、自分の日記だとわかったのだろう私を睨みつけながら問い詰める。


「何故ッ!サラ様がこれを持っているの!これは使用人に捨てさせたはずよ!」


そう、彼女は捨てたのだ。


自身の最大の秘密である日記の所有権を放棄した。


この国では捨てた時点で持ち主の所有権は無くなり、次の所有者がどうしようが問題にならない。


そのため、貴族市民関係なく自分にとって不都合なものは自身の手で焼却する。

そうでもしないと今回のアリアのようなこととなる。


「貴女が捨てたものをうちの者が拾い、私にくれたの」


私の発言がさらに怒りを煽ったようで、アリアの顔はさっきより赤くなる。


「最低!ひとの日記を勝手に読むなんて、貴女本当におかしいわよ!」


私が渡した日記を握りしめ、涙を浮かべるアリア。


「前半のページには貴女の本性が赤裸々に晒してありましたね」


その言葉を発した瞬間、アリアのなかで何かがはじけ飛んだ。


「ハァ?本性?アンタみたいな性悪より全然マシよ!しかもこの日記が読めるってことはアンタだって転生者なんでしょ?!私を貶めようとして墓穴掘ったわね、アンタこそが夢継病でそれを知られたくないから私を身代わりにしようって計画なんでしょ?アルフレッドやエリックまで連れてきてやること本当に最悪ね」


真っ赤な顔のまま、捲したてるアリア。


「墓穴を掘ったのは君だよ、アリア嬢」


アルフレッド殿下がさっきまでの苦笑いを引っ込め無表情で言う。


「まず、サラ嬢はの発言は君の日記の内容ではなく、字について言っている。貴族が字で性格を判断するこはよくあるだろう?そのため皆幼少期から必死に字を習い、練習法の1つとして日記を書かせるがそれは後で焼却しやすくするためだ。次に、君には僕やエリックを敬称なしで呼ぶ権利はない、それは王家とサンデル公爵家に対する不敬だ。

君は何がしたかったんだい?条件がいい男と結婚したかったのかい?国が欲しかったのかい?それとも物語の登場人物になりたかったのかい?」


殿下は一呼吸おいて言う。


「僕らがそんな偽りだらけのモノを愛すると、本気で思っていたのかい?」


瞳を細め、口は弧を描いているにもかかわらず殿下から何も感じ取ることができない。


優しく語りかけているかのようであり、悪を裁いているかのようでもある。


これにはアリアも何も言い返せないのか殿下を見たまま固まってしまっている。


数分ほどの沈黙が続いた。


それを終わらせたのはアリアの金切り声だった。


「アンタのっ、アンタのせいよっ!!!全部全部アンタのせい!アンタが私の思い通りに演じてくれないから、私の夢が台無しになってしまったじゃないっ!

私はこの物語の主人公なのよ、誰よりも愛されて誰よりも幸せになれるの。それなのに全部全部アンタが壊していくっ、ねぇ消えてよ!消えなさいよ!私の物語からいなくなったよ!誰もアンタなんて愛してないんだから、生きてる意味ないでしょ?なんのために生きてるのよアンタ。悪役を演じられない、脇役にもなれないなんて本当に使えないっ!!」


今まで見てきた彼女の中で一番醜いと思ってしまう。


「アリア様、私は貴女に微塵も興味がない。

貴女が生きていようが死んでいようがどうでもいい、貴女の夢の出演者になるつもりもないし、消えるつもりもない。私は兄様と姉様のために生きてるし、2人以外に使えないと思われようとどうでもいいの」


だから今日まで野放しにしてきた。

でも、もうお終い。


夢継病は国が最も恐れる病の1つである。


そんな病を発病していることが判明し、尚且つ国にとって不都合な思考を持つことが証明されてしまった彼女の行く末は1つだけ。



「アリア・オトレッメ、貴女は今から夢継病発病者として国が管理する病院で入院してもらうこととなる。この件に関してはオトレッメ子爵にも了承を取っている」


アルフレッド殿下は淡々と決定事項を伝える。


入院と言っているが軟禁だ。


彼女はこの先ずっと国の管理下に置かれる。


「はぁ?お父様がそんなこと許すわけないでしょ、あの人私のこと大好きなんだから‼︎いくらアルフレッドでもその嘘は許せないわよ」


信じられないのだろう。慌てた様子もなく、まるでこちらが意味不明なことを言っているかのように話す。


「君には何回言っても通じないのか、敬称も付けずに名前で呼ぶな」


軽蔑の色を隠した瞳でアルフレッド殿下は言う。

あんな殿下は初めて見る。


エリック様とマリエ様も少しびっくりしている。


殿下が右手を挙げると、部屋の端で待機していた騎士たちが彼女に近づく。


「なんなのあんたたち!触んないでよっ!」


最初は出口に促そうとしていた騎士たちだが、アリアがあまりにも暴れるので彼女は最終的に縛り上げられて部屋を出て行った。






「サラ嬢、この度の情報提供感謝する」


そう言って微笑むアルフレッド殿下。


「いえ、皆様のお力あってこそです」


私はアルフレッド殿下、エリック様、マリエ様に向けて頭を下げる。


「あまりお役に立てた気はしませんが、後は任せて下さいね」


そう言って可愛らしく目配せしてくるマリエ様。


マリエ様の父君であるタランタ侯爵は医務局を統括している医務局総統括責任者である。

今回の診断結果はマリエ様に頼み、予定よりはるかに早く出してもらったし、この後も王都から遠いと言われる代々高貴な方の療養場所として有名な病院に入院させる手はずなども手伝ってもらった。


あそこに入ると二度と出てこれないと言われている。


診断結果を国王陛下の腹心と言われているエリック様の父君であるサンデル公爵に口添えいただきいち早く陛下のお耳に入るようにした。


夢継病は国を滅ぼす病と言われるほど危険な病だ。

あれだけ証拠が揃ってしまっていたら彼女は逃げることができない。

スピーディに解決するというで、エリック様とマリエ様の力添えがあったからこそだ。


今回の件は彼らに感謝しても仕切れない。


私がずっと3人にお礼ばかり言っていると


「では、スチュアートも呼んで5人でディナーにしようか」


アルフレッド殿下が提案し、食堂に向かって歩き出す。


殿下の提案を無視するわけにもいかないので、私たちは顔を見合わせて慌てて着いて行く。


これで1つの問題は解決した。




アリアは演技の才能も人を味方につける能力もサラよりずっと高いはずでした。

しかし、アリアは余りにも物語どうりに幸せになることにこだわりすぎて、破滅していったという感じです。臨機応変に対応していれば、幸せになれたかもしれません。


本当はざまぁを書きたかったのですが、いくら上位の貴族だからといって、サラにアリアを裁く権限はありません。

そのため周りを巻き込み、アリアには退場してもらうしかなかったのです。


オトレッメ子爵はこの時点では特別に裁かれることはありません。それはある意味で夢継病のおかげです。


本当はもっとアリアの能力の高さを出したかったのですが、上手にまとめることが出来ませんでした。



ここまで読んでいただきありがとうございます。


またかなり間隔が開いてしまうと思いますが、ニナとサラのお話も書いていきたい思います。

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