ぜんぶ私が悪いんです
私の必死の説得も空しく、主人公は罪人として連行されてしまった。
「あぁ、どうしたら。」
「君が悲しむことはない。」
慰めないでください心が痛いです。
心が悪役令嬢のままだったのなら、今頃心の中で高笑いをしていたことだろう。
だけど今では演技だった涙でさえ本物である。
「一人にしてください。」
とりあえず頭を整理するために引きこもることにした。
泣いてる乙女を一人にできない、なんて言う人もいたけれど他の男子のおかげもあって何とかなった。
「はぁ、困った。」
本当は私が悪いんです。
と、正直に言えたら良かったんだけれども。
いや無理無理無理!!罪人に仕立て上げたくせに全部嘘でしたー!なんて言えないって!!
今更謝っても許してもらえないレベルの大罪やっちゃってるのに!
というか慎重に練った計画だから、実は実行犯は私じゃない。取り巻きの子だ。
はっきりは言ってないけど、脅迫したようなもんだし。その子たち巻き込むのも気が引ける。
足がつかないように自分の手は汚さないなんて、なんと悪質!まさに悪役令嬢!!
「そもそも令嬢ですらないんだっけ。本当は。」
幼いころ、とある金持ちに拾われた子。それが私である。
だけど本当に選ばれるべきだったのは主人公でして、欲にくらんだ私が立場を横取りしたという訳だ。
根っからの悪である。
「全ては私が処罰されてから判明して、晴れて主人公は真の令嬢として歓迎されるはずだったのに。」
これからどうするよ。
証拠は完璧に消してきたし、言っても信じてくれないだろうなぁ。
言う勇気もないけどね!
「こうなったら、全力で主人公を庇うしかないか。」
幸いなことに、私への人望は厚い。(計画通りなんだけど)
仲良くなった男子のほとんどが身分高いし。(本当は主人公の攻略対象だったんだけど。)
嘘でも何でも(本当のことだけど)、私が多少なりとも罪を被ればいけるはず。
たぶんいける。ってかやるしかない。
「悪役令嬢として攻略対象を全員落とした私だもの!やってみせる!!」
なんだったら逃亡の手助け援助頑張るから!
悲しいけれど、悪事に手を出すのには慣れっこなんだから!
...とはいえど。
その攻略対象たちに今後悩まされることになろうとは。
私は思いもしなかった。




