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悪役撤回したいのです

数名の男性が取り囲んでいたのは、麗しの美女。

しかしそれは、けっして愛とか好意によるものではなく。


嫌悪。

いや、憎悪。


「まさか、ここまで愚かな女だったとはな。」

「自分が何をしたか、わかっているのか。」


今になって、私はこの世界がゲームであるという記憶を取り戻していた。

だが、時はすでに遅く。


「彼女に謝れ!」


ほんとにもう、どうして今になって思い出すんだか。

彼らが怒声を浴びせているこの状況で、どうすればいいものかと困惑するばかりだった。

すぐに良い策が思い付くほど、私は器用じゃない。


「そ、そこまで怒らなくても。もう許してあげて。」

「駄目だ。彼女が君にしてきた行為はあまりにも度が過ぎている。見過ごす訳にはいかない。」


はい。十分にわかっております。

今回ばかりは処分を免れないほどの大事件ですものね。知ってます。

だって私が実行犯ですし。


だけどね?責められてるの...主人公ちゃんなんだよ!?


本来あるべき立場、逆なんだよ!


「私は何もしてません!」

「またとぼけるのか。見苦しい。」


いやその子、本当に何もしてないんだよ。


「いやほんと、許してあげてください。」

「何故君は、そんなに優しいんだ!?」


優しいんじゃないよ。

罪悪感に苛まれてるだけだよ。



そう。私はこのゲームの世界でいうところの悪役令嬢。

の、はずだった。

中途半端にゲームの記憶があったせいで、攻略対象へのラブアタックはお手のもの。

周囲への信頼関係を完璧なまでに築き上げ、主人公が苛めてきたという嘘をでっちあげることに大成功してしまったのだ。


こんなルートはゲームに無い。

完全に記憶を取り戻した今となっては、やってしまったことへの重大さに心が折れそうだ。

逆ハーっていうか、略奪逆ハーじゃないのこれ。


とにもかくにも。

私が言うのもアレなんですが。


「お願いですから許してあげて!!」


可哀想だから!主人公があまりに可哀想だから!!


本当は転生ネタにしたくはなかったのですが、ゲームネタとか仕込みたいので一応。

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