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ハーレム、撤回したいのです

攻略キャラ全員となんて恋愛するもんじゃない。

特に、乙女ゲームに関しては。



いや創作ならまだしも現実じゃありえないからね!?

一人に絞れよ贅沢ものめ!


と、記憶を取り戻す前の私に文句を言ってもしょうがない。

悪役令嬢だもんね。

そりゃあ狙っちゃうよね。


でもきっと、未来の展開をちゃんと知ってたら悪役令嬢だってそんなことしなかったと思う。



「病院から連絡が!」

「借金取りとかいう輩が家に!」

「服がズタズタに!」



あれよあれよと、問題が舞い込んできてから悟った。



「やばい...攻略キャラ全員分のイベントがどっさり来てる。」



私のプレイしてきた乙女ゲームではよくあることだった。

そう、攻略キャラとの間には、何かしらの事件が起こるもの。



そりゃあ恋愛ものにはドラマチックな展開が必要かもしれませんけど?

そんな試練は一つで充分なんですよぉおおおおお!!



「お、お嬢様?」

「あっ...あら、失礼。」



おっと口に出してたか。




とにもかくにも。

このゲームにおいても、悪役令嬢とのいざこざは前半戦。後半はそういった試練を乗り越えてのハッピーエンドを目指すことになるという訳である。

別名カウンセリングゲームって言われてた気もする。

もっと早く気づいておきたかった。



「えーっと、まずは何から片付ければいいのかしら?」



一人は交通事故で記憶喪失。家族がいない彼は頼れる相手がいない...という設定だから電話が来ているようなんだけれども。

とりあえず彼は誰か別の人に任せるかな。

一人だと危なっかしいタイプなので放っておく訳にはいかないが構ってる余裕もない。ごめん。


二人目は親のせいで借金を背負うことになって貧乏に転落。

借金取りは逃げた親の分を関係者から搾り取ろうとしている訳だ。つまり将来結婚する予定の私がその有力候補なのである。

令嬢なら払える額だろうか?

とすればこっちもとりあえず放置で!ごめんね!


三人目は元婚約者がやってきて問題に巻き込まれることになる。

私の服をズタズタにしたのも元婚約者に違いない。この間、転校してきた。

家柄も良いし美人で、再び婚約するためにしつこく迫っているわけだ。

彼女は相当なワガママで、学校でも自由奔放にやらかしてくれる...一応ちゃんとした理由はあるんだけど。

そんな彼女を放っておけないというのもあってか、案の定なことに当人も未練ありまくりだったり。

彼を諦めさせるか、復縁させれば落ち着くはずだけれど、うまくいくだろうか。

こっちも、とりあえず放置。



とまぁ、こんな事情を抱える攻略相手を何人も抱えている。

辛い。

...なんでどれも放置かって、もっと大事があるからですよ?

下手したら世界が滅亡するかもしれない。マジで。



「ところでさ、姉さん。」



奮闘しながらの数日後、弟に声をかけられた。



「なんか姉さんが疫病神だって噂が流れてるみたいなんだけど。」


「私もずっと前からそう思ってたよ!!!」



どうして攻略キャラってルートに入った途端に不幸が起きるんだろうね!

他のルートだと起こらないのに!

とんだ疫病神だよね!!!






こうして、この悪役令嬢は

攻略キャラクター全員のイベントをこなすのに奮闘していくことになるのです。


だけど所詮は悪役令嬢なので…


「いつまた記憶がバグって悪役に戻るかわかったもんじゃない!」


ということ気づいてしまい、保険に保険を重ねていくはめになるのでした。

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