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 翌日になり私は王都ホックスの宿屋で朝食を取っていた。

 どうやら私が王都に来たら連絡をするようにフラウベルさまが命令を出していたらしく、市壁の正門を守っている警備兵に指定された宿屋なのだけど、清潔で食事も美味しいなかなか良い宿だ。

 さらに今回は宿代食事代ともに無料だったりする。


「女将さん、ごちそうさま。美味しかったよ」


 スープと白パンを食べ終わり、お茶で一息ついたのでそろそろ出発しよう。

 支払いの必要もないので宿の女将さんに挨拶して席を立つ。

 警備兵の人には宿で待っていれば迎えに行くと言われたのだけど、先に済ませておきたい用事があったので向かう時間だけ昨夜の内に連絡してもらい自分で行くことにしたんだよね。


「そりゃあよかった、良ければこれからも贔屓にしておくれ」

「そうだね、これから王都に来ることも増えるだろうし、その時はお願い」


 宿を出るとお城に向けて歩き出す。

 王都ホックスは海辺にあり、お城は海側、街は陸側だ。

 お城を含めた街全体がガッシリとした市壁に囲まれており、お城とその城下町といった雰囲気だね。

 お城は白と灰色がモザイク模様を描く西洋風のお城で、さすがに大きい!

 遠目に見てもなかなかの迫力。

 市壁の正門から城門へと伸びている大通りの左右には様々な店が軒を連ねていて、行き交う人々に活気もある。

 日本の繁華街に比べればそりゃ人は少ないけれど、人口1万人規模の街はこの世界ではかなりの大都市だ。

 昨日はウルスさん行きつけの酒場で食事をした後は宿に向かってしまったので、しっかりと見るのは初めてに近い。

 雰囲気としてはさほど詳しくない私が中世ヨーロッパでイメージする町並み。

 とはいえ建物は石造りでも窓は透明なガラス製だし、上下水道がしっかりしているのでよく聞く汚い臭いということも全くない。

 ちなみに使っている水は井戸水なのだけど海が近い為塩分が強く、浄水器のような働きをする魔道具が全ての井戸に内蔵されていて、真水に変えてから使用しているらしい。


「なんだか旅行気分! ウキウキするね」


 ついローシュに話しかけるつもりで歩きながら後ろを見るけれど、残念ながらそこに角をもつ大型の狼は居なかった。

 ローシュは流石に街に入る許可が下りなかったので門の外で待ってもらっている。

 最近ずっと一緒だったのでなんだか寂しいが仕方ない。

 冒険者組合などへ登録すれば許可も出るらしいけど、冒険者になるつもりはないので何か他の手段を考えないといけないね。

 時折屋台などを覗き、店主と会話したりしている内に目的の建物が見えてきた。

 盾の上で剣と杖が交差している看板が架かっているその建物は冒険者組合。

 3階建てのなかなか立派な建物に入ると広いフロアの左側が食堂になっており、何組かの冒険者が思い思いに過ごしている。

 右側には3ヶ所の受付カウンターが奥にあり、壁は掲示板となっていて多くの依頼の紙が張り出されていた。

 入ってきた私に視線が集まり、食堂にいた厳ついお兄さんが口笛を鳴らす。

 うんうん、いかにもだね。

 とりあえずお兄さんに笑顔で手を振ってから受付カウンターに向かうと座っていた茶髪の受付嬢さんが挨拶してくれた。

 美人の受付嬢さんってのも定番だよね。 


「いらっしゃいませ。ご用件をお伺いします」

「魔石の買い取りをお願いしたいんだけど、ここで良いのかな?」

「素材の買い取りは建物裏手の倉庫で行っておりますが、魔石ならこちらでも買い取り可能ですよ」

「よかった。買い取りだけお願い」


 ゲーム中では魔獣の素材関係は受付カウンターでなんでも売れたんだけど流石に現実では無理なのか。

 まあ考えてみれば生肉だの剥ぎ取ったばかりの革だのをこんなところでやり取り出来るわけないよね。

 後でそっちも見ておこうと思いながら、背負い袋から魔石の入った袋を取り出してカウンターに載せると受付嬢は慣れた手つきで数と質を確認してくれた。

 おおっ、裏にでも持っていって専門の人がいるのかと思ったら受付嬢自身が魔石の査定もしてくれるんだ!


「お待たせしました。1レベル魔石が75個で750エイビス。2レベル魔石が6個で300エイビス。合計で1050エイビスになります。なかなかの量ですね、旅の間に貯めていらしたのですか?」

「違う違う。全部、大森林の魔獣のだよ」

「全部ですか?!」

「そう、ここ1週間の間なんだけど、なんだかどんどん増えてる感じがするね」


 私の話を聞き、受付嬢が少し考える。


「お手数をおかけしますが魔獣と遭遇した大体の場所と種類、数を教えていただけますか? 多少ですが情報量もお出しできますのでお願いします」

「良いよ。私もちょっと聞きたいことがあるしね」


 情報を話し50エイビスの情報量を貰ったので収入は1100エイビスになった。

 エイビス銀貨は大陸全土で使われている通貨で銀と銅の合金を特殊処理した銀色の通貨で50円玉に似ているかな。

 価値は1エイビスでおおよそ100円、他に100エイビス金貨もありこちらは1万円相当になる。

1週間で11万円の収入、冒険者ならこれにゴブリン退治の依頼料が別に入るわけだ。

 まあ、これだけ稼げる冒険者なんて本当に一握りだろうけど。

 ちなみに物価はここに来るまでに覗いた店や屋台からすると、食べ物が安く衣料品や道具類が高い印象だった。

ひとまず用件も済んだし、そろそろ指定された時間も近いので冒険者組合を出る。


「ん、あれだね」


 再びおのぼりさんをしながら歩くこと暫く、お城の正門が見えてきた。

 正門前の警備兵の詰め所に出来ている人の列に並びしばらくすると私の番になったので名前を告げると、少し偉そうな警備兵さんが出てきて丁寧な対応でお城の中へと案内してくれた。

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