↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
PR
5/16

4

「貯蔵魔力は残り46かあ。必要とはいえローシュのポイントはやっぱり大きいね」


 そう呟くと足元で寝そべっていたユニコーンウルフのローシュが「呼んだ?」とばかりに振り向いたけど、違う違うと手を振ると納得したのか再び目を閉じた。

 マイク達に会った翌日、来客の予定がある昼頃まで私は居間でオペレーションボードを開き色々と確認をしていた。

 ダンジョンの貯蔵魔素量であるダンジョンポイントは開始時点で1000ポイント。

 準備期間の1ヶ月で720ポイントが追加され、1720ポイント。

 そしてこの半日で6ポイント追加して合計1726ポイント。

 続いて使用ポイントは開始からの1ヶ月間で1680ポイント、内訳は


居間作成:50ポイント

寝室作成:50ポイント

保管庫作成:100ポイント

3レベル魔獣 リレイバード:270ポイント

4レベル魔獣 ユニコーンウルフ:810ポイント

地上部分ダンジョン支配域化 直径100メートル:300ポイント

下級生命力ポーション 5本:100ポイント


 うん、シンプルだ。

 ダンジョン作ってないじゃんとかそういうことは横に置いておくとして、現状の戦力は魔獣2体と私自身だけ。

 レベルは大雑把な強さや能力の目安として人族にも使われている。


1レベル:駆け出し

2レベル:一般

3レベル:熟練

4レベル:一流

5レベル:超一流

6レベル:達人

7レベル:英雄


 これは特殊能力も含めてなので、リレイバードのチッチの戦力は2レベル相当だったりする。

 昨日、ローシュが屈服させて群れのボスになったフォレストウルフが2レベルなので決して弱くはないんだけれど、単体での戦闘力には不安がある。

 ユニコーンウルフのローシュはぶっちゃけ強い、初期のダンジョンなら十分にボスとして運用出来る強さ。

 4レベルの人族なんてゴロゴロいるものじゃないし、冒険者なら十分に経験を積んだ3レベルが5~6人のバランス良いチームで五分五分というところかな。


グルルッ……。


 低い鳴き声に目を向けるとローシュが顔を上げ扉を見ていた。

 お、どうやらお客さんが来たみたい?

 オペレーションボードの地上階マップを確認すると侵入者2人がこちらに向かっている……んー、やっぱり侵入警報を付けたいな、だけどあれ高いんだよね。

 ローシュの頭を一撫でしてからお茶の用意をしていると程なく扉がノックされたので、のぞき窓から外に昨日の青年マイクとその後ろの1人が居ることを確認して扉を開けた。


「こんにちは、待ってたよ。わざわざ来てもらってありがとうね」

「いや、こっちから言ったことだから」

「それで、後ろの人がホックス王国の役人さんかな?」

「ああ、この人が……」

「こんにちは、魔術師さん。ホックス王国軍のベルです。今日はご協力お願いします!」

「…………」

「魔術師さん、どうかしましたか?」

「いや、ベルさんがずいぶん若い人なのでビックリしちゃって」


 うん、ビックリだ。

 ていうか本当ビックリだよ。

 大事なことなんで2回言っちゃうよ。

 ベルことフラウベルさまはこの国の王女さまだ。

 肩で切り揃えた金色の髪が特徴的でボーイッシュな17歳の女の子なんだけど、ベルと名乗って王国軍の将校として活動しているんだよね。

 やはり現実になると顔の印象がちょっと変わるので一目では分からなかったけど、よく見れば面影はある。

 塩採りは国営の産業だし役人がくると思っていたけど、よりによってフラウベルさまが来るとは。

 偶然にしては出来過ぎだけど、良いのか悪いのか難しいところ。

 ローシュに驚いていたけれど室内に招き座ってもらってお茶を入れ、私も座ってから改めて互いに挨拶と自己紹介をする。

 そのわずかの間に少し心を落ち着けた。


「なるほど、この狼が皆さんの言っていた……」

「ユニコーンウルフのローシュだよ。ローシュ、挨拶してあげて」


 大人しく座っていた大型の狼が私のいうとおりにぺこりと頭を下げたのを見てもマイクは未だに落ち着かない様子でローシュを気にしているけれど、フラウベルさまは感心したように頷いていた。


「ローシュは私の使い魔なんで安心してね」

「これだけの魔獣を使い魔にしているということは、マイナさんはかなり高位の魔術師なんですね。やはりアミュージアのご出身ですか?」

「この辺りだとやっぱり魔術師というとアミュージアなんだ。残念だけど私はそんな有名なところの出身じゃないよ。そもそも統合魔術じゃなく真語魔術が専門だしね」

「真語魔術ですか、それはまた珍しい」


 魔術国家アミュージアはその名の通り魔術が盛んな国で、この辺りで本格的に魔術を習うのならばアミュージアの魔術学院に通うのが一般的。

 そしてアミュージアは細かい流派に別れ使い勝手も悪かった真語魔術を再編し、今の時代の主流となっている統合魔術を作り上げたことでも有名なんだよね。


「それで今日お伺いしたのは、大森林の中とはいえ我が国の領土に引っ越してこられた方の確認をさせていただきたいと思いまして。不躾な質問で申し訳ないのですが、出身地となぜこんな人里離れた場所に住もうと思うのか、教えていただけますか? 色々とご不便だと思うのですが」


 挨拶の流れでゆっくりと話を聞かれるかと思っていたけれど、こうやってはっきりと目的を聞いてくれるとありがたいね。

 まあマイクにもこの辺りに住むならホックスの役人に届け出をしてほしいと言われているし、その為にこうして来てもらったわけだから当然かもしれないけど。

 出身地に関してはもちろん考えてある。

 私の容姿が馴染んで、なおかつ簡単に確認できない遠方の国だ。


「出身は東方の蓮花国(れんかこく)だよ、もっとも親ももういないし山奥で師匠のお世話をしていたんだけどね。そこで色々な勉強をしていたけど師匠も亡くなったので旅に出て、ふらりふらりとここまでやって来たんだ」

「東方の方でしたか。しかし旅をしていたのなら何故ここで居を構えようと? どうやらしばらくはこちらに住まわれるようですが」


 すこし部屋の中を見回すフラウベルさま。

 壁面も滑らかで明らかに自然の洞窟の様子ではないし、家具もいろいろと揃っているのだから労力を考えてもここに本気で住むつもりなのは察してくれたらしい。

 ま、実際にはダンジョンの能力で簡単に設置できたわけだけど。

 しかし、フラウベルさまが来てちょっと動揺したけれど、こうしてみると良かったかもしれない。

 ここはしっかりと連絡を取れる状態を作っておくべきだね。


「実はこのレッドアン大森林、どうも魔素の動きが奇妙なんだ」

「魔素の動き、ですか?」

「そう。大規模な森や山は奥に行けば行くほど魔素が濃くなっていくんだけど、ここは昔からそれほど魔素が多くない地域だからか、濃厚な魔素を好む強力な魔獣なんかも少ないはずだよね?」

「そうですね、大森林の奥にある火山の辺りまで行けば別ですが、この規模の森にしては驚くほど安全だと他国の方から言われます」

「だけど昨日はフォレストウルフがこの付近まで出てきてたよね?」


 私とフラウベルさまの会話を無言で眺めていたマイクに話を振る。

 マイクは多少驚いたみたいだけど「確かに珍しいな」と答えてくれた。

 だが、フラウベルさまは納得いかなかったようだ。


「それはマイナさんの使い魔が追い立てたからなのでは?」

「そう思うのもわからなくはないけど、フォレストウルフと遭遇したのはこの洞窟のすぐ近くなんだよね」

「つまり昨日フォレストウルフが森の奥から出てきたということですか?」

「うん、そういうことだね。多分、本来の棲息域から追い出されてきたんだと思う」


 相変わらずフラウベルさまの顔には疑問が浮かんでいるが、この際それは無視して話をすすめさせてもらう。


「私はその理由がこのレッドアン大森林の魔素が増えていることと関係があると思っているんだ。しばらく前に森の変化に気付いてから観察してきたけど、明らかに魔獣の動きが活発化してるからね。この森でなにかが起こると思ったから、それを見定める為にここに住むことにしたんだよ」


 よし、前フリはこんなものかな。

 難しい顔をしているフラウベルさまとあまり良くわかっていないマイクを見ながら、少し冷めてきたお茶を煎れ直す。

 簡単に信じてくれるとは思わないけど、それはこれからおこる事態が後押しをしてくれるはず。

 出来るだけ協力して私を味方にしておけば便利だと思ってもらうくらいが、とりあえずの目標かな。

ポイントはなんとなくそんなものなんだ程度に思っておいてください。

次は12時に。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。