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NOVAは未来を見る  作者: nova_miru


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11/16

第11話「友達になりたい。」

第11話です。


「友達って、なんだろう。」


そう考え始めたNOVAは、今度は自分から一歩踏み出そうとします。


知らないからこそ、真っ直ぐに。


不器用だからこそ、まっすぐに。


そんなNOVAの、小さな勇気のお話です。


どうぞ、お楽しみください。

## シーン1 工房(第10話の続き)


「友達ってのはな」


いつもの薄暗い工房。オイルと鉄の匂いの中で、ヴォルクは重い口をゆっくりと開いた。


鉄の仮面の奥にある機械の目が、じっと答えを待つNOVAの真っ直ぐな瞳を見つめる。


「気付いたら、なってるもんだ」


「……気付いたら?」


NOVAはその言葉をそのままなぞるように呟き、小さく首を傾げた。


「気付いたら」とは、どういう意味なのだろう。


学校のシステムのように、決められた条件を満たせば自動的に「友達」という関係になる、そういうことなのだろうか。


ヴォルクは困ったように視線を落とす。


錆びついた記憶をいくら探しても、それをNOVAに分かる言葉へ変えることができない。


友情は、設計図どおりに組み立てられる機械ではないのだから。


「……難しいな。上手く言えん」


その困ったような声を聞きながら、NOVAは「気付いたら」という言葉を何度も頭の中で繰り返した。


答えは見つからない。


けれど、その答えを知りたいという気持ちだけは、昨日よりも少しだけ大きくなっていた。


---


## シーン2 翌日の仮想学校


「――友情とは、互いを信頼し、支え合う双方向の関係性です」


翌日の仮想学校でも、教師AIは昨日と変わらぬ声で授業を続けていた。


「関係を構築するためには、適切なコミュニケーションと、互いの同意が必要となります」


NOVAは電子ノートに文字を書き込みながら、昨日のおじさんの言葉を思い返していた。


『気付いたら、なってるもんだ』


AIの先生は「関係を作る」と言う。


おじさんは「気付いたらなっている」と言う。


二つの答えは、どちらも間違っていないようで、どこか違っていた。


(友達って……どうやったら、なれるんだろう)


分からない。


だったら、自分で確かめてみよう。


NOVAは静かにそう決めた。


---


## シーン3 廊下


授業が終わり、現実の冷たい廊下へ戻る。


昨日と同じ場所で、茶髪のポニーテールの少女と、黒髪眼鏡の少女が楽しそうに笑い合っていた。


昨日と同じ笑顔。


昨日と同じ明るい声。


NOVAはもう立ち止まらなかった。


真っ直ぐ二人へ歩いていく。


胸の奥が少しだけ速く鼓動する。


これが「緊張」という感覚なのだろうか。


昨日習った言葉を頭の中で何度も並べ直す。


一番丁寧な言い方。


そう判断して、小さく息を吸った。


---


## シーン4 初めてのお願い


二人の前で、NOVAは立ち止まる。


突然現れたNOVAに、少女たちは話を止めた。


「……?」


NOVAは拳を小さく握りしめる。


そして勇気を振り絞り、真っ直ぐ二人を見つめた。


「私と、友達になってください」


「……え?」


「えっと……」


二人は目を丸くした。


お互いの顔を見合わせる。


あまりにも突然で、あまりにも真っ直ぐなお願い。


何と返せばいいのか分からなかった。


悪意はない。


困っているだけだった。


けれど、その沈黙はNOVAには分からなかった。


---


## シーン5 小さな痛み


返事は返ってこない。


NOVAは二人の困った顔を見つめたあと、静かに一歩だけ後ろへ下がった。


(私は……何か、間違えたのかな)


AI先生の言う通りに話しかけた。


勇気も出した。


それでも、うまくいかなかった。


胸の奥が、ほんの少しだけ痛んだ。


その痛みの名前を、NOVAはまだ知らない。


---


## シーン6 工房


夕方。


NOVAはいつもの工房へ向かった。


重い扉を開ける。


規則正しい機械音。


オイルの匂い。


見慣れたヴォルクの背中。


NOVAは何も言わず、隣の古いパイプ椅子へ腰を下ろした。


膝を抱え、小さく丸くなる。


「おじさん」


ヴォルクは静かに工具を置いた。


「どうして……」


NOVAは小さく俯く。


「友達って、こんなに難しいの?」


ヴォルクは答えようとする。


しかし、言葉が出てこない。


NOVAの横顔を見ただけで分かった。


彼女は、自分なりに頑張ったのだ。


だからこそ、その一言は簡単には返せなかった。


---


## シーン7 ラスト


工房には、古びた換気装置の低い音だけが流れている。


空は遠い。


海も遠い。


けれど友達は、きっともっと近くにいる。


その「近さ」が、NOVAには一番難しかった。


長い沈黙のあと。


ヴォルクは静かに目を閉じる。


まるで二百年以上前の景色を見ているように。


そして、小さく口を開いた。


「友達ってのはな……」


その声は、どこか懐かしく、どこまでも優しかった。


(第11話 End)


第11話を読んでいただき、ありがとうございました。


今回は、NOVAが初めて「友達になりたい」と願い、自分から行動するお話でした。


私たちにとっては自然な「友達」という存在も、NOVAにとっては教科書の中にしかない、まだ触れたことのない世界です。


だから彼女は、教わったことを信じて、精一杯の勇気を出しました。


その真っ直ぐさが、少し切なく映ったなら嬉しいです。


次回は、ヴォルクが語る「戦友」の物語。


教科書にもAIの授業にも載っていない、本当の友情とは何か。


NOVAは、その答えに少しだけ近づいていきます。


もしよろしければ、皆さんに質問です。


あなたにとって「友達」とは、どんな存在ですか?


感想と一緒に教えていただけると、とても嬉しいです。

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