あとがき
ここまで『Appearing ― 突然、君からのメッセージ ―』を読んでくださり、本当にありがとうございました。
第1話から続いてきた物語は、これで完結です。
この物語を書き始めたとき、中心にあったのは、
「もし、十二年前にいなくなった人から、突然メッセージが届いたら?」
という、ひとつの発想でした。
そこから。
メアリー。
悠。
圭介。
春人。
紗季。
透。
そして、海鳴町で時間を止めてしまった人たち。
物語を書いていくうちに、これは単に「消えた少女の謎を追う話」ではなくなっていきました。
過去に何があったのか。
なぜ、あの日から前へ進めなくなったのか。
忘れることと、覚えていること。
そして。
過去を忘れずに、それでも明日へ進むこと。
それが、この物語の一番大きなテーマになったように思います。
メアリーは帰ってきました。
でも、それは失われた十二年間を取り戻すためではありません。
海へ行く。
学校へ行く。
家へ帰る。
友達と写真を撮る。
好きだった人に、好きだったと伝える。
十二年前にはできなかったことを、一つずつ終わらせて。
最後に悠へ残したのは、
「私を忘れないで」
ではなく、
「明日のことを考えてね」
という言葉でした。
だから、この物語の最後で悠のスマートフォンに、メアリーから新しいメッセージは届きません。
時計も止まりません。
怪異も起こりません。
ただ時間が進み、みんなが普通に祭りを楽しんでいる。
それが『Appearing』という物語にとって、一番ふさわしい終わりだと思っています。
そして。
第1話では「突然届いたメッセージ」から始まった物語が、
最後には、
もうメッセージが届かなくても、悠は歩いていける。
そこまで辿り着くことができました。
長い物語に最後まで付き合ってくださった皆さま。
本当にありがとうございました。
悠たちの時間は、もう止まりません。
彼らがこの先どんな人生を歩くのか。
それはきっと。
物語の外側で。
これからも続いていきます。
それでは。
また明日。
⸻
これ、かなり『Appearing』らしい後書きになると思います。
そして番外編「一年後の夏祭り」もあるので、なろう掲載ではこの後書きの最後に一文だけ、
※本編はこれにて完結となります。
このあと、番外編「一年後の夏祭り」を掲載予定です。




