十二年間、撮り続けた男
Appearing
― 突然、君からのメッセージ ―
第64話
十二年間、撮り続けた男
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前書き
待つということは、
何もしないことではない。
今日も来なかった。
明日も来ないかもしれない。
それでも、
同じ場所へ行く。
同じ景色を見る。
同じことを確かめる。
そんな日々を、
一年続ければ習慣になる。
十年続ければ、
人生になる。
では、
十二年間。
一人で待ち続けた人間を、
何と呼べばいいのだろう。
⸻
午前十一時二十分。
海鳴町役場。
地下資料室。
古いVHSデッキから、テープがゆっくりと吐き出された。
ウィィィン――
カチャン。
それだけの音に、誰もが一瞬身構えた。
森下拓海は機械から少し離れ、額の汗を袖で拭った。
「……出ました。」
誰もすぐには手を伸ばさなかった。
十二年前の映像。
そこには、今まで写真でしか知らなかった時間が残されていた。
春人が笑っていた。
メアリーが走っていた。
悠がそこにいた。
白石紗季も。
そして秋山透は――
額から血を流しながら、
カメラへ手を伸ばしていた。
『六時十分から先を――見るな』
あの言葉が、まだ悠の耳の奥に残っている。
「相沢さん。」
榊原が言った。
「原本、頼めます?」
「ええ。」
相沢玲子は専用ケースを取り出し、VHSテープを慎重に収めた。
「まず磁気テープの状態を確認します。音声と映像を別々に抽出できれば、聞き取れなかった部分も復元できるかもしれません。」
「どれくらい?」
「状態次第。」
玲子はケースの留め具を閉じた。
「ただ――期待しすぎないでください。」
悠は黙って頷いた。
分かっている。
この数日間、何度もそうだった。
答えが見つかったと思えば、
その奥にまた何かがある。
だが。
今回は少し違う。
新しい謎ではない。
これまで存在していた穴へ、
少しずつピースが戻ってきている。
そんな感覚があった。
榊原が携帯電話を取り出す。
「秋山透の住所。」
宮本が顔を上げる。
「分かっています。」
「行くで。」
悠が反射的に立ち上がった。
「俺も行きます。」
「黒瀬。」
「お願いします。」
榊原はしばらく悠を見る。
やがてため息をついた。
「勝手なことすんなよ。」
「はい。」
「絶対やぞ。」
「……はい。」
「その間はなんや。」
レイが笑った。
「信用されてねぇな。」
「お前もや。」
「俺も!?」
わずかな笑い。
ほんの数秒だけ、
地下資料室の重苦しい空気が和らいだ。
その様子を、
メアリーは少し離れた場所から見ていた。
笑っている。
けれど。
悠には分かった。
無理をしている。
さっき聞いた、
十二年前の自分の声。
『悠……ごめん』
その続きが、
彼女の中で何かを動かし始めている。
「メアリー。」
呼ぶと、
彼女はいつものように笑った。
「なに?」
「……大丈夫か。」
一瞬。
笑顔が止まる。
「うん。」
そして。
「まだ。」
小さく付け足した。
悠はそれ以上聞かなかった。
⸻
海鳴町役場を出る。
外へ出た瞬間、
強烈な夏の日差しが降り注いだ。
蝉の声。
車の音。
自転車のベル。
どこかの店から流れるラジオ。
地下で十二年前の映像を見ていたせいだろうか。
町のすべてが、
異様なほど鮮明に感じられた。
「秋山のアパートまで十五分くらいです。」
宮本が言う。
パトカーではなく、
榊原の覆面車で向かうことになった。
悠とレイは後部座席。
メアリーは当然のように悠の隣。
だが、
他の車から見れば、
悠とレイの間には誰もいない。
車が商店街を抜ける。
途中。
中村写真館の前を通った。
店主が店先に立ち、
空を見ている。
悠たちの車に気付くと、
軽く頭を下げた。
そして。
カメラ屋のショーウィンドウ。
古いフィルムカメラ。
悠はふと、
透の言葉を思い出す。
――これだけは残す。
なぜ、
そこまでして写真を残そうとしたのだろう。
証拠だから。
確かにそう言っていた。
だが、
それだけではない気がした。
秋山透は事件が起きる前から、
町中を撮っていた。
人を。
建物を。
時計を。
弟を。
友達を。
まるで――
いつか全部なくなることを知っていたように。
⸻
海沿いの県道から一本入った住宅街。
古い二階建てアパートが見えてきた。
築四十年は経っているだろう。
白かったはずの外壁は灰色にくすみ、
鉄製の階段には赤錆が浮いている。
建物の横には、小さな月極駐車場。
軽自動車が三台。
植木鉢。
干された洗濯物。
ごく普通の生活の場所だった。
「ここ?」
悠が尋ねる。
宮本が頷く。
「二〇三号室。」
車を降りる。
その時。
一階の部屋から、
一人の女性が顔を出した。
七十代くらい。
花柄のエプロン。
片手にはゴミ袋。
⸻
大橋佳代(72)
アパートの大家。
一階に一人で暮らしている。
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「警察?」
榊原が手帳を見せる。
「二〇三の秋山さんについて少し。」
「ああ……透ちゃん。」
悠は、その呼び方に少し驚いた。
透ちゃん。
監視者でも、
謎の男でもない。
この場所では、
ただの「透ちゃん」なのだ。
「います?」
「さっき出たよ。」
「何時ごろ?」
「十分くらい前かなぁ。」
榊原たちは顔を見合わせた。
「どこへ?」
佳代は首を傾げる。
「カメラ持ってたから。」
そして、
当然のように言った。
「いつものとこちゃう?」
「いつもの?」
「町をぐるぐる歩くの。」
佳代は笑った。
「昔から。」
「毎日?」
宮本が尋ねる。
「ほぼ毎日。」
佳代は少し考える。
「雨でも。」
「雪でも。」
「台風の日はさすがに止めたけど。」
「十二年くらい?」
悠が聞く。
佳代の笑顔が消えた。
「……そうやね。」
「高校出てから。」
「ずっと。」
佳代は階段を見上げる。
「最初は心配したんよ。」
「仕事にも行かんで。」
「毎日カメラ持って町歩いとるから。」
「でも途中から仕事も始めて。」
「写真の仕事?」
「いや。」
佳代は笑った。
「スーパーの品出し。」
悠は意外だった。
「夜勤。」
「夜十時から朝六時。」
「それで昼間は?」
「写真。」
十二年間。
夜働いて。
昼間撮る。
その生活を、
透は続けていた。
「……寝てるんですか。」
レイが呟く。
佳代は苦笑した。
「さぁ。」
「でも。」
「毎年一日だけ。」
「絶対仕事休むんよ。」
榊原の表情が変わる。
「いつ?」
佳代は答えた。
「八月十五日。」
⸻
風が吹いた。
アパートの軒先で、
風鈴が鳴る。
チリン――
悠は何も言えなかった。
毎年。
事件の日。
透は仕事を休む。
そして、
カメラを持って町を歩く。
「十二年間……。」
メアリーが呟く。
その声は、
佳代には聞こえない。
「透くん。」
「ずっと……。」
⸻
「部屋、見せてもらえます?」
榊原が尋ねた。
佳代は困った顔をした。
「勝手にはなぁ。」
「もちろん。」
榊原も無理強いしない。
「本人に連絡します。」
宮本が電話をかける。
数秒。
「……出ません。」
もう一度。
出ない。
榊原が眉を寄せる。
その時。
二階から、
何かが落ちる音がした。
ガタン!
全員が顔を上げる。
二〇三号室。
「秋山!」
榊原が階段を駆け上がる。
宮本も続く。
悠とレイも。
「おい!」
ドアを叩く。
「秋山透!」
返事はない。
だが。
中から、
微かな音。
カシャ。
シャッター。
カシャ。
もう一度。
榊原がドアノブを確認する。
鍵が掛かっている。
「大家さん!」
佳代が慌てて階段を上ってくる。
「合鍵!」
「はいはい!」
震える手で鍵束を取り出す。
ガチャ。
扉が開く。
「秋山!」
榊原が踏み込む。
悠も続こうとして――
止まった。
部屋の中。
壁。
床。
机。
天井近くまで。
写真。
何百枚。
何千枚。
いや。
それ以上。
海鳴町。
時計台。
学校。
神社。
桟橋。
商店街。
人。
人。
人。
同じ場所を、
何年にもわたって撮り続けている。
時計台の写真だけでも、
壁一面を埋め尽くしていた。
春。
夏。
秋。
冬。
晴れ。
雨。
雪。
朝。
昼。
夕方。
そして。
必ず一枚。
時計の針が、
六時十分を指している。
玲子はいない。
だが榊原にも分かった。
これは趣味の写真ではない。
記録だ。
「なんや……これ。」
宮本が呟く。
悠は壁へ近付いた。
一枚。
見覚えのある場所。
桟橋。
その隣。
喫茶店つばめ。
その隣。
写真館。
そして。
写真の下には、
透自身の字で細かなメモが書かれている。
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2017年8月15日
18:10 異常なし。
18:13 時計再始動。
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2018年8月15日
18:10 停止。
18:11 北側窓、人影。
18:14 消失。
⸻
2019年8月15日
18:10 停止。
18:10:32 シャッター音。
18:12 桟橋方面に反応。
⸻
年々。
記録が細かくなっている。
そして、
最後。
今年。
⸻
2026年8月――
そこだけ、
まだ空白だった。
榊原が低く呟く。
「こいつ。」
「調べ続けとったんか。」
「警察より先に。」
宮本の声には、
少し悔しさが混じっていた。
⸻
「悠。」
メアリーが呼んだ。
彼女は部屋の奥。
小さな棚の前に立っている。
そこだけ。
写真ではなく、
封筒が並べられていた。
十二個。
一年に一つ。
2015。
2016。
2017。
……
2025。
そして。
2026。
今年の封筒だけ、
机の中央へ置かれている。
表には、
黒いペン。
『黒瀬 悠へ』
「俺……?」
榊原も気付く。
「触るな。」
写真を撮る。
位置を確認する。
それから手袋をして、
慎重に封筒を開いた。
中から出てきたのは、
一枚の写真。
十二年前。
高校生の悠。
メアリー。
春人。
透。
紗季。
五人が並んでいる。
全員笑っている。
時計台を背に。
その写真を見た瞬間。
悠の胸が締め付けられた。
「……これ。」
知っている。
この日。
撮った。
誰かに頼んで。
五人で。
「誰が撮ったんだ……?」
榊原が写真を裏返す。
文字があった。
透の字。
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『六人目を思い出すな。』
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誰も声を出さなかった。
悠は写真を見つめる。
五人。
来訪者名簿には、
削られた六人目。
では。
この写真を撮ったのが六人目なのか。
それとも――
「黒瀬。」
榊原が言った。
「今は考えんな。」
「でも。」
「秋山本人を見つけるのが先や。」
その通りだった。
⸻
その時。
メアリーが、
机の下へ視線を落とした。
「……何かある。」
悠がしゃがむ。
古いアルバム。
埃を被っている。
表紙には、
ただ一言。
『蓮』
秋山透の弟。
悠はアルバムを開いた。
一ページ目。
野球帽の少年。
笑っている。
二ページ目。
バットを持っている。
三ページ目。
誕生日。
ケーキ。
透と蓮。
母親。
父親。
普通の家族写真。
ページをめくる。
蓮が成長していく。
十四歳。
十五歳。
高校入学。
野球部。
そして。
あるページから、
写真がなくなった。
最後の写真。
日付。
2018年8月15日。
蓮。
十七歳。
時計台の広場。
兄のカメラを持ち、
照れくさそうに笑っている。
その次のページ。
何もない。
悠は嫌な予感を覚えた。
「榊原さん。」
刑事も気付いていた。
宮本がすぐに端末を操作する。
「秋山蓮……。」
検索。
数秒。
宮本の表情が変わった。
「……二〇一八年。」
「八月十五日。」
「海鳴町で行方不明届。」
悠の身体が固まった。
「行方不明?」
「当時十七歳。」
「現在も。」
「未発見です。」
メアリーが口元を押さえる。
「透くんの……弟。」
悠は壁の記録を見る。
⸻
2018年8月15日。
18:10 停止。
18:11 北側窓、人影。
18:14 消失。
⸻
その年。
透の弟が消えた。
「だから……。」
悠はようやく理解した。
透が十二年間、
ただ過去の事件だけを追っていたのではない。
事件は、
終わっていなかった。
四年後。
また誰かが消えた。
しかも、
自分の弟が。
⸻
「秋山は。」
榊原が壁を見つめる。
「メアリーの事件を調べとったんやない。」
ゆっくり。
「次を止めようとしとった。」
その言葉が、
部屋へ重く落ちた。
⸻
同じ頃。
海鳴町。
時計台へ続く坂道。
秋山透は、
一人で歩いていた。
カメラバッグ。
首から一眼レフ。
手には、
一枚のポラロイド。
そこには、
春人。
『悠を時計台に入れるな。』
その言葉を、
透は信じるべきか迷っていた。
十二年間。
何度も声を聞いた。
何度も姿を見た。
メアリー。
春人。
蓮。
でも。
その全部が、
本当に本人だったとは限らない。
それを、
透は誰より知っていた。
坂道の途中。
透が止まる。
道の向こう。
一人の少年が立っていた。
野球帽。
白いTシャツ。
グローブ。
十七歳。
あの日のまま。
「……蓮。」
少年は笑う。
「兄ちゃん。」
透の目から、
涙が落ちた。
「お前……。」
十二年間。
いや。
八年間。
ずっと聞きたかった声。
「どこ行っとったんや。」
蓮は答えない。
ただ、
時計台を指差した。
「もうすぐ。」
「何が。」
「六時十分。」
透の顔から、
表情が消える。
蓮が笑う。
「今年で終わるよ。」
透は一歩後退した。
「……お前。」
少年の笑顔が、
少しだけ歪んだ。
「兄ちゃん?」
透はカメラを構えた。
ファインダー越しに、
弟を見る。
そして。
シャッターを切る。
カシャ。
カメラの液晶を確認する。
そこには。
誰も写っていなかった。
道路だけ。
透はゆっくり顔を上げる。
少年はまだいる。
笑っている。
「やっぱり。」
透は涙を拭った。
「お前。」
低い声。
「蓮やないな。」
少年の笑顔が消えた。
風が止まる。
蝉の声まで、
突然途切れた。
そして。
少年の口から、
別人の声がした。
男とも。
女とも。
子どもとも。
老人ともつかない声。
「思い出した?」
透は動かない。
「六人目。」
その言葉に、
透の顔が強張った。
「黙れ。」
「悠も。」
「黙れ。」
「もうすぐ思い出す。」
「黙れ!!」
透が叫ぶ。
その瞬間。
蝉が一斉に鳴き始めた。
少年はいない。
道路には、
誰もいない。
透だけが、
一人立っている。
荒い息。
震える手。
それでも。
時計台を見る。
「……今度こそ。」
カメラを握り直す。
「誰も連れていかせん。」
透は歩き始める。
一歩。
また一歩。
十二年前から止まったままの場所へ。
⸻
その頃。
透の部屋。
悠はまだ、
弟・蓮のアルバムを見ていた。
最後のページ。
空白。
しかし。
メアリーが、
突然言った。
「悠。」
「ここ。」
指差す。
写真を剥がした跡。
一枚だけ、
誰かが抜き取っている。
榊原が慎重にページをめくる。
裏側に、
薄く筆圧の跡が残っていた。
宮本が横から光を当てる。
文字が浮かぶ。
透が書いたものではない。
幼い字。
蓮だろうか。
⸻
『兄ちゃんへ』
『もし僕がいなくなったら、時計台じゃなくて――』
⸻
その先。
ページが破られている。
榊原が目を細める。
「続きがある。」
悠は顔を上げた。
「どこに?」
その時。
玄関から、
佳代の声がした。
「あのぉ。」
「そういえば。」
全員が振り返る。
大家の佳代は、
何かを思い出したような顔をしていた。
「透ちゃん。」
「昔から。」
「大事なもんは全部。」
「写真屋さんに預けとったよ。」
悠と榊原の目が合う。
中村写真館。
また。
そこへ戻る。
だが今度は違う。
最初に写真館へ行った時、
彼らは何も知らなかった。
今は。
探すものがある。
蓮が残した続きを。
そして。
透が十二年間、
誰にも見せなかったものを。
悠は立ち上がった。
「行きましょう。」
榊原が頷く。
その時。
壁の時計が鳴った。
カチ。
十一時五十九分。
カチ。
正午。
何事もない。
時計は動いている。
だが。
壁一面に貼られた、
十二年間の時計台の写真。
その中で。
一枚だけ。
悠は違和感に気付いた。
「……待って。」
近付く。
2022年8月15日。
午後六時十分。
時計台。
窓。
そこに。
人影が写っている。
拡大された写真。
顔は小さい。
しかし。
服装だけは分かる。
制服。
長い黒髪。
悠の頭に、
名前が浮かぶ。
「白石……。」
メアリーが、
隣で呟いた。
「紗季。」
透の記録には、
その写真の下へ、
一行だけ書かれていた。
⸻
『八年ぶりに確認。紗季は歳を取っていない。』
⸻
悠は言葉を失った。
白石紗季。
十二年前、
十七歳。
そして。
八年前に消えた秋山蓮。
二人。
別々の失踪。
同じ時計台。
同じ八月十五日。
同じ六時十分。
そして、
歳を取らない姿。
事件は、
十二年前だけに起きたものではなかった。
ただし。
榊原は写真を見つめながら、
静かに言った。
「違う。」
悠を見る。
「これは新しい事件やない。」
「同じ事件が。」
「まだ終わってへんだけや。」
海鳴町のどこかで、
時計の針が、
静かに進んでいた。
六時十分へ向かって。
⸻
――第64話・完――
後書き
ここから本格的に回収へ入ります。
今回分かった重要なことは、秋山透が十二年間「メアリーの死の真相」だけを調べていたのではないことです。
2018年8月15日、弟の秋山蓮まで失踪していました。
そして透は、それ以降さらに執拗に六時十分を記録するようになった。
一方、白石紗季らしき人物は2022年の写真にも、十二年前と変わらない姿で写っている。
ただし、ここから「実は失踪者が何十人もいました」という方向には広げません。
残り22話。
焦点はあくまで、
悠、メアリー、春人、透、紗季、蓮。
そして十二年前の六時十分。
次回第65話では再び中村写真館へ戻ります。
そこで蓮が兄へ残した文章の続きと、透が写真館へ預けていた「開けなかった箱」が見つかります。
そしてそろそろ――
黒い帽子の男を、“怪しい影”のままにはしておきません。




