現像室
前書き
写真は、
嘘をつかない。
そう言われる。
でも。
写真は、
真実の全部を写しているわけじゃない。
シャッターが切られる、
ほんの少し前。
ほんの少し後。
そこに、
一番大切な瞬間があるのかもしれない。
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Appearing
― 突然、君からのメッセージ ―
第54話
現像室
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午後七時二分。
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中村写真館。
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静まり返った店内。
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救急隊が老人を運び出していく。
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「命に別状はありません!」
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救急隊員の声に、
全員が少しだけ安堵した。
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しかし。
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老人が最後に残した言葉。
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『現像室を開けるな。』
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それだけが、
頭から離れない。
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榊原は二階を見上げた。
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古い木の階段。
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照明は消えたまま。
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暗闇だけが口を開けている。
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「……行く。」
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短く言った。
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宮本が頷く。
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「私が先行します。」
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「いや。」
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榊原は首を振る。
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「二人で行く。」
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悠を見る。
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「黒瀬。」
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「お前らは一階におれ。」
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悠は反論しかけた。
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「でも!」
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「ダボ。」
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榊原が少しだけ笑う。
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「これは警察の仕事や。」
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その一言で、
悠は黙った。
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ギシ……
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ギシ……
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二人は階段を上る。
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築何十年も経った木造。
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一歩進むたび、
床が鳴る。
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レイは下から見上げていた。
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「嫌な音だな……。」
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メアリーは何も言わない。
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ただ、
二階だけを見つめていた。
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午後七時八分。
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二階。
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廊下。
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写真が飾られている。
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赤ん坊。
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運動会。
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卒業式。
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結婚式。
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どれも、
町の人々の笑顔だった。
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その一番奥。
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黒い木の扉。
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プレート。
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現像室
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榊原はドアノブへ手を掛ける。
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冷たい。
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異様なくらい。
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夏とは思えない。
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宮本が静かに言う。
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「開けます。」
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ゆっくり。
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ゆっくり。
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ドアが開く。
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ギィ……
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暗い。
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薬品の匂い。
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赤いセーフライトだけが、
ぼんやり部屋を照らしていた。
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「……。」
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誰もいない。
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机。
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現像液。
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フィルム乾燥機。
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すべて、
十二年前で止まったようだった。
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その時。
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宮本が立ち止まる。
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「刑事さん。」
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「これ。」
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机の上。
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黒い大学ノート。
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表紙には、
日付だけ。
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平成二十六年八月十五日
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祭りの日。
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榊原がゆっくり開く。
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一ページ目。
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写真番号。
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撮影場所。
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時間。
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几帳面な字だった。
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二ページ。
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三ページ。
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全部、
祭りの撮影記録。
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しかし。
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最後のページだけ、
文字が乱れていた。
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午後八時四十七分
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桟橋
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メアリー
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春人
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優斗
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帽子の男
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そして。
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最後の一行。
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「もう一人いた。」
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榊原の表情が変わる。
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「もう一人……。」
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ページをめくる。
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終わり。
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続きはない。
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その時だった。
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カタン。
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部屋の奥。
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古いロッカー。
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ゆっくり、
扉が揺れた。
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宮本が拳銃を構える。
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「誰だ!」
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返事はない。
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静寂。
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榊原が近付く。
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一歩。
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また一歩。
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ロッカーの前。
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呼吸を整える。
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勢いよく開く。
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ガァン!!
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中には、
誰もいなかった。
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ただ。
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大量のフィルムケース。
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そして。
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封筒が一枚。
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表には、
こう書かれていた。
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『秋山透へ』
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宮本が息を呑む。
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「本人宛て……。」
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榊原は封筒を裏返した。
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封は、
一度も開けられていない。
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「つまり。」
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「渡せなかった。」
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その時。
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一階から、
悠の叫び声が響いた。
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「榊原さん!!」
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二人が飛び出す。
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階段を駆け下りる。
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店内。
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悠は入口を指差していた。
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ガラス越し。
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歩道の向こう。
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街灯の下。
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秋山透が立っていた。
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逃げない。
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笑わない。
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ただ、
じっと写真館を見つめている。
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そして。
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悠へ向かって、
ゆっくり首を横に振った。
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「来るな」
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昼間と同じ口の動き。
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しかし今回は、
続きがあった。
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秋山は、
震える唇で、
はっきりと告げた。
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「中にいる。」
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その瞬間。
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写真館の二階から、
ガタン!!
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何か重い物が倒れる音が響いた。
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全員が一斉に、
天井を見上げる。
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二階には、
もう誰もいないはずだった。
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それなのに。
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ギシ……
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ギシ……
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ゆっくりと、
誰かが歩く足音だけが、
現像室の中を歩き続けていた。
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――続く。
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次回の見どころ
ここで物語はさらに一段階進みます。
次回は第55話「現像されなかった一枚」。
現像室に残されたフィルムの中から、「撮られたはずなのに誰も見たことがない写真」が見つかります。
そして秋山透は、初めて悠たちの前で「敵ではない」ことを行動で示し始めます。ここから「監視者」の本当の役割が少しずつ明らかになっていきます。




