↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
Appearing ― 突然、君からのメッセージ ―  作者: 和泉發仙


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
42/90

六人目

前書き


人は、


暗闇が怖いんじゃない。


「誰かがいるかもしれない」


そう思うから怖い。


そして。


一番怖いのは、


隣にいた人が、


気づいたらいなくなっていることだ。


⸻



Appearing


― 突然、君からのメッセージ ―


第42話


六人目


⸻


午前十一時四十分。


⸻


旅館「松風荘」。


⸻


ロビー。


⸻


誰も喋らない。


⸻


固定電話。


⸻


『鏡を見ちゃだめ……』


⸻


その言葉だけが、


全員の頭から離れなかった。


⸻


榊原美咲は腕を組む。


⸻


「……宮本。」


⸻


「はい。」


⸻


「旅館から誰も出すな。」


⸻


「了解。」


⸻


宮本は無線へ手を伸ばす。


⸻


富山県警。


⸻


パトカー。


⸻


鑑識。


⸻


静かだった旅館が、


一気に慌ただしくなる。


⸻


だが。


⸻


榊原だけは動かなかった。


⸻


ひび割れた鏡を見ている。


⸻


「……。」


⸻


悠が近づく。


⸻


「何か見えますか?」


⸻


榊原は小さく頷いた。


⸻


「見えた。」


⸻


静かな声。


⸻


「六人おった。」


⸻


部屋にいるのは五人。


⸻


悠。


⸻


レイ。


⸻


メアリー。


⸻


榊原。


⸻


宮本。


⸻


五人だけ。


⸻


「もう一人。」


⸻


「誰や。」


⸻


誰も答えられない。


⸻


⸻


午後零時十分。


⸻


警察は旅館中を調べ始めた。


⸻


倉庫。


⸻


屋根裏。


⸻


床下。


⸻


非常階段。


⸻


異常なし。


⸻


「……。」


⸻


レイは廊下の窓から外を見る。


⸻


「なんか。」


⸻


「落ち着かねぇ。」


⸻


悠も同じだった。


⸻


誰かに見られている。


⸻


ずっと。


⸻


そんな感覚が消えない。


⸻


その時だった。


⸻


「黒瀬さん。」


⸻


宮本が呼ぶ。


⸻


「優斗さんの荷物を確認したいので。」


⸻


「少し手伝ってもらえますか。」


⸻


「分かりました。」


⸻


悠は宮本について行く。


⸻


レイはロビー。


⸻


榊原は女将へ聞き込み。


⸻


メアリーだけが、


静かに廊下へ残った。


⸻


⸻


廊下。


⸻


誰もいない。


⸻


古い柱時計。


⸻


チク……


⸻


タク……


⸻


チク……


⸻


タク……


⸻


メアリーは、


ゆっくり歩き始める。


⸻


「……。」


⸻


何かに呼ばれるように。


⸻


旅館の一番奥。


⸻


普段使われていない客室。


⸻


札には、


「使用禁止」


⸻


と書かれていた。


⸻


「ここ……。」


⸻


震える。


⸻


胸が苦しい。


⸻


扉の前へ立つ。


⸻


コン……


⸻


中から音。


⸻


小さく。


⸻


誰かがノックした。


⸻


「……。」


⸻


メアリーは息を呑む。


⸻


「誰?」


⸻


返事はない。


⸻


コン……


⸻


もう一度。


⸻


「優斗君?」


⸻


静寂。


⸻


ゆっくり。


⸻


障子へ手を伸ばす。


⸻


あと少し。


⸻


あと数センチ。


⸻


その瞬間。


⸻


「メアリー!!」


⸻


悠の声。


⸻


ハッと振り向く。


⸻


悠が廊下を走ってくる。


⸻


「何してる!」


⸻


「え……?」


⸻


メアリーが振り返る。


⸻


使用禁止の部屋。


⸻


そこには。


⸻


扉すらなかった。


⸻


「……。」


⸻


壁。


⸻


古い壁紙。


⸻


それだけ。


⸻


「え?」


⸻


メアリーが固まる。


⸻


「部屋……。」


⸻


「ここに。」


⸻


「あった。」


⸻


悠も壁を見る。


⸻


完全な壁だった。


⸻


「そんなはず……。」


⸻


レイも駆けつける。


⸻


「何騒いで……。」


⸻


三人とも、


言葉を失う。


⸻


その壁だけ。


⸻


新しかった。


⸻


周りは古い木造。


⸻


なのに。


⸻


そこだけ。


⸻


後から塞いだような、


白いクロス。


⸻


榊原も来る。


⸻


壁を叩く。


⸻


コン……


⸻


コン……


⸻


音が違う。


⸻


「……空洞や。」


⸻


宮本も頷く。


⸻


「中があります。」


⸻


旅館の女将が青ざめた。


⸻


「そんな……。」


⸻


「そこは昔……。」


⸻


言葉が止まる。


⸻


「昔?」


⸻


榊原が聞く。


⸻


女将は震える声で答えた。


⸻


「十二年前まで。」


⸻


「客室やった。」


⸻


全員が息を呑む。


⸻


「祭りのあと。」


⸻


「急に閉鎖した。」


⸻


「理由は?」


⸻


女将は目を伏せた。


⸻


「……女の子が。」


⸻


「一人。」


⸻


「いなくなったから。」


⸻


部屋の空気が凍りつく。


⸻


メアリーは壁を見つめたまま、


小さく呟く。


⸻


「……私。」


⸻


その瞬間。


⸻


壁の向こうから。


⸻


ドンッ!!


⸻


何かが、


思い切り叩いた音が響いた。


⸻


全員が飛び退く。


⸻


榊原が叫ぶ。


⸻


「壁壊せ!!」


⸻


宮本が工具を取りに走る。


⸻


悠はメアリーを抱き寄せる。


⸻


そして。


⸻


壁の向こうから。


⸻


かすかに。


⸻


男の声が聞こえた。


⸻


「……助けて。」


⸻


悠と榊原の目が合う。


⸻


その声は。


⸻


田島優斗だった。


⸻


― 続く ―


⸻


ここで次回へ。


ここからは完全に


* ホラー

* クローズドサークル

* 刑事サスペンス


が融合します。


そして次回は、第43話「封じられた部屋」。


壁を壊した先に、本当に優斗はいるのか。


それとも、十二年前から封じられていた別の真実なのか。


ここから一気に物語を加速させていきます。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。