防波堤
前書き
懐かしい場所ほど、
人は油断する。
知っている景色。
知っている道。
知っている匂い。
だから気づかない。
その場所にも、
ちゃんと時間が流れていたことに。
今回は、
写真の場所へ行く話だ。
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Appearing
― 突然、君からのメッセージ ―
第29話
防波堤
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午前十時四十五分。
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海鳴町。
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海沿い。
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潮風が強い。
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夏も終わりに近いはずなのに、
日差しはまだ容赦なかった。
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「暑っ……」
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レイが文句を言う。
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「富山涼しいんじゃなかったのかよ」
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「誰が言った」
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「勝手なイメージ」
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「観光パンフレットか」
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レイが笑う。
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少しだけ。
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本当に少しだけ。
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昔みたいだった。
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三人で歩く。
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海沿いの道。
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防波堤へ続く坂。
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高校時代。
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何度も通った道。
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「……」
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悠は立ち止まる。
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目の前。
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海。
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青い空。
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波。
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そして。
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写真の場所。
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「ここや」
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メアリーが小さく呟く。
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「間違いない」
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風が吹く。
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髪が揺れる。
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メアリーは防波堤を見つめていた。
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まるで。
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遠い記憶を探すように。
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三人は防波堤へ座る。
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波の音。
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カモメ。
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漁船のエンジン音。
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平和だった。
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あまりにも。
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「……なぁ」
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レイが海を見る。
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「ここさ」
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「ん?」
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「なんか覚えてる」
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悠が顔を上げる。
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「祭りの日」
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「来た気がする」
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「来てたぞ」
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「やっぱりか」
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レイが少し笑う。
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「最近さ」
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「変な夢見るんだよ」
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風が吹く。
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「どんな」
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「分かんね」
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「でも」
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少し考える。
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「誰か探してる」
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悠の胸がざわつく。
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その時だった。
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メアリーが立ち上がる。
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「……」
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何も言わない。
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ただ。
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海沿いを歩き始める。
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「おい」
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「メアリー」
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聞こえていないみたいだった。
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ゆっくり。
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ゆっくり。
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防波堤の先へ向かう。
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そこには。
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古いフェンスがあった。
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錆びている。
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立入禁止。
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黄色い看板。
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その向こう。
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古い倉庫群。
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写真の奥に写っていた場所。
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「……」
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メアリーが止まる。
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肩が震えていた。
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「ここ」
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小さな声。
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「思い出した」
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悠の心臓が跳ねる。
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「何を」
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返事はない。
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代わりに。
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涙が落ちた。
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「メアリー?」
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「私」
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呼吸が浅い。
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苦しそうだった。
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「ここへ逃げた」
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風が止まる。
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海も。
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空も。
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音が消えたみたいだった。
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「祭りの日」
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「怖くて」
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「走って」
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「ここ来た」
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悠もレイも動けない。
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「それで」
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メアリーはフェンスの向こうを見る。
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古い倉庫。
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誰もいない。
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なのに。
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「誰かおった」
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震える声。
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「誰か」
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「待っとった」
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その瞬間。
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ガンッ!!
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大きな音。
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三人が振り向く。
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倉庫群の奥。
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何かが倒れた音。
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「……っ」
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レイの顔が強張る。
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「今の聞いたよな」
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「……あぁ」
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悠も聞いた。
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確かに。
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誰かいる。
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そんな音だった。
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そして。
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メアリーが青ざめる。
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今までで一番。
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血の気が引いていた。
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「……いや」
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「メアリー?」
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「いや」
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後ずさる。
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震える。
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涙が溢れる。
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「思い出したくない」
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その声が。
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今までで一番怖かった。
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「思い出したらダメ」
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「なんで」
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悠が聞く。
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すると。
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メアリーは泣きながら言った。
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「私」
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呼吸が震える。
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「このあと」
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「会った」
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静寂。
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海風。
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波の音。
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遠くの船。
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そして。
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メアリーは。
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初めて。
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その言葉を口にした。
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「殺した人に」
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空気が凍った。
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後書き
第29話でした。
ここで第1章はいよいよ核心へ入ります。
重要なのは、
メアリーが初めて
「殺された」ではなく
「殺した人に会った」
と言ったこと。
つまり記憶は、
被害者視点から加害者視点へ近づき始めています。
次回、
第30話「倉庫」
三人は立入禁止区域へ足を踏み入れます。
そして第1章最大の真実が、
少しずつ姿を現し始めます。




