思い出したくない
前書き
人は、
思い出したい記憶と、
思い出したくない記憶を、
同じ場所へしまってしまうことがある。
だから怖い。
扉を開けたら、
両方出てきてしまうから。
今回は、
メアリーの話だ。
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Appearing
― 突然、君からのメッセージ ―
第25話
思い出したくない
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午前一時。
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東神奈川。
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公園。
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ブランコ。
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雨上がり。
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街灯。
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静かな夜だった。
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レイは帰った。
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「じゃあな」
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それだけ言って。
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いつもみたいに。
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だが。
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去る直前。
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レイは振り返った。
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「……なぁ悠」
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「ん」
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「その子」
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悠の呼吸が止まる。
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「……」
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「なんか知らんけど」
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レイは頭を掻く。
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「泣かせんなよ」
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それだけ言って。
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バイクで走り去った。
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赤いテールランプ。
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闇の中へ消えていく。
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「……」
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悠は何も言えなかった。
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あいつ。
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本当に少しずつ。
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気づき始めている。
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アパート。
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午前二時。
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部屋へ戻る。
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静かだった。
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だが。
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今日は違った。
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「……」
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ベッドの端。
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白いパーカー。
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金髪。
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メアリーがいた。
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「……おかえり」
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小さな声。
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今までで一番弱々しかった。
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悠は何も言わず。
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隣へ座る。
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「……」
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「……」
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しばらく誰も喋らない。
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雨音だけ。
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遠くの電車。
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エアコンの音。
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いつもの部屋。
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なのに。
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どこか遠い。
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「ごめん」
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メアリーが言った。
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「謝んな」
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「でも」
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「消えた」
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「知ってる」
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「怖かった」
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悠は少し黙る。
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そして。
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初めて聞いた。
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「どこ行ってた」
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メアリーは俯く。
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「……海」
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空気が止まる。
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「海鳴町」
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「……」
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「気づいたらおった」
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震える声。
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「夜で」
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「雨降っとって」
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「誰もおらんくて」
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呼吸が浅くなる。
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「メアリー」
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「ごめん」
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「思い出したくない」
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涙が落ちる。
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初めてだった。
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メアリーが泣いたのは。
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十二年前
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海鳴町
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夏祭りの夜
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花火が終わる。
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人が帰る。
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提灯が消える。
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夜になる。
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高校生のメアリー。
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一人で歩いている。
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浴衣。
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下駄。
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海沿いの道。
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「……」
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誰かと喧嘩した。
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気がする。
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思い出せない。
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でも。
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悲しかった。
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だから。
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一人で歩いていた。
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海の方へ。
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倉庫の方へ。
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立入禁止区域。
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誰もいない場所。
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「……」
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波の音。
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風。
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遠くの祭りの残響。
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そして。
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足音。
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後ろ。
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誰かいる。
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メアリーが振り返る。
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見えない。
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暗い。
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でも。
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誰かいた。
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現在
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「……っ」
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メアリーが頭を押さえる。
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呼吸が乱れる。
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「メアリー!」
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「ごめん」
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「ごめん」
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「思い出せん」
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涙が止まらない。
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「でも」
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「怖かった」
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「すごく」
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悠は何も言わない。
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言えない。
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ただ。
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隣に座る。
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それだけ。
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「……悠ちゃん」
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「ん」
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「私さ」
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涙を拭く。
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「思い出したら」
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静かな声。
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「消えるんかな」
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悠の胸が締め付けられる。
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「……知らねぇ」
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「そっか」
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メアリーは少し笑う。
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でも。
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その笑顔は寂しかった。
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「私」
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「まだおりたい」
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風が吹く。
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カーテンが揺れる。
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「もっと」
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「ゲームしたい」
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「コンビニも行きたい」
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「レイちゃんとも会いたい」
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涙声だった。
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「まだ」
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「終わりたくない」
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悠は俯く。
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そして。
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小さく言った。
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「じゃあ終わらせねぇ」
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メアリーが顔を上げる。
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「え?」
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「思い出すなら」
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「最後までやる」
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静かな声。
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でも。
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今までで一番本気だった。
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「海鳴町行こう」
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部屋が静かになる。
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雨音。
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夜。
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そして。
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メアリーの瞳。
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「……うん」
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小さく頷く。
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その瞬間だった。
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ピロン。
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スマホ。
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知らない番号。
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新着メッセージ。
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悠が画面を見る。
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そして。
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初めて顔色が変わった。
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そこに書かれていたのは。
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『海鳴町へ来るな』
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ではなかった。
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『もう遅い』
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だった。
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後書き
第25話でした。
ここで第1章の核心が見え始めます。
* メアリーは海鳴町へ引っ張られている
* 夏祭りの夜に何かがあった
* 誰かに追われていた
* 本人は思い出したくない
そして悠は初めて、
「真相を知る」
ことを決意します。
次回、
第26話「帰る場所」
海鳴町編への入口です。
そしてここから、
青春ホラーは少しずつ
本格ミステリーへ変わっていきます。




