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【連載版】人手不足で過労の俺、異世界では”要領の良さ”を活かします。  作者: なまこ


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9/12

偽りの講師

ジョブ別講習を終えた新人たちは草原の端で弁当を広げ、思い思いに休んでいた。


黒田は昼食のパンを食べ終え、立ち上がった。

(午後の講習まで少し時間があるし……レオンさんの話を聞きに行こう)


魔法の基礎を学ぶため、レオンのもとへ向かう。

しかし、レオンの姿はどこにも見当たらない。


近くにいた新人に声をかける。

「レオンさん、どこに行ったか知りませんか?」


新人は首をかしげた。

「さっき、赤髪の女の子と一緒に洞窟の方へ向かってましたよ。もしかして、パーティーの勧誘かな?」


黒田の胸がざわついた。

(洞窟……?新人を連れていくには危険すぎる)


Aランクのレオンが近くにいるとはいえ、洞窟は魔物が潜んでいる可能性がある。

新人を連れていくのは明らかに不自然だった。


黒田はろくに装備も整えず、洞窟へと走り出した。


洞窟の入口は薄暗く、冷たい空気が流れている。

黒田は慎重に足を踏み入れた。


奥へ進むと、微かな声が聞こえた。

少女の震えた声。そして、男の低い声。


黒田は息を呑み、足を速めた。


洞窟の少し奥。

そこには、岩壁に背を押しつけられたアリサがいた。


両腕は縄で拘束され、動けない。

目には恐怖が浮かんでいる。


その前に立つのは――レオンだった。


講習で見せていた爽やかな笑顔はどこにもない。

瞳は冷たく、異常な光を宿していた。


黒田は叫んだ。

「レオンさん!あなた一体、何をしているんですか!」


レオンがゆっくり振り返る。

その目は、獲物を見つけた捕食者のようだった。


「……あーあ、見つかっちゃった。それも黒田さんに……」


アリサが震える声で黒田を呼ぶ。

「く、黒田さん……助けて……」


黒田は力強く、レオンを睨んだ。

「今すぐ彼女から離れてください!」


レオンは肩をすくめ、笑った。

「弱い人の言うことは聞けないよ。それに、どうせ君もすぐ死ぬから」


黒田は背筋が凍るのを感じた。

(こいつ……本気で言ってる)


黒田はポケットに入っていた爆破のポーションをレオンに投げつけた。


しかしポーションはレオンの目の前で爆破し、防がれてしまった。


「悪いけど、ポーションじゃ本物には勝てないよ」


レオンは反撃の火球を黒田に向かって放つ。


「黒田さん。これが魔弾ですよ。覚えて帰ってくださいね」


黒田は火球を避けるが、爆散した岩片が体を切り裂き、負傷してしまう。


黒田は火球を避けながら、ポーションを投げ交戦する。

しかし、すぐにポーションの底は尽きた。


ついには洞窟の壁際に追い詰められる。

背中に冷たい岩の感触が伝わり、逃げ場がないことを悟る。


「最後にいいことを教えてあげるよ」


レオンは杖を黒田に向けて、淡々と語り始めた。


「最近、若い女性の焼死体が見つかっているって話、聞いたよね?あれ、全部僕がやったんだ」


黒田は息を呑んだ。

「……お前が、犯人……?」


レオンは楽しそうに笑った。

「壊したあと、炎で焼くとね……顔も分からなくなる。それがたまらなく美しいんだよ」


黒田は追い詰められているにも関わらず、怒りで手が震えるのを感じた。

「……最低だ。人間のすることじゃない」


レオンは黒田を鼻で笑った。

「どうせ君たちもボクの作品になるんだ……」


「まずは黒田さんを消し炭にして……そのあとは、アリサちゃんを堪能しようかな」

レオンは軽く握っていた杖を力強く握りしめた。


杖に赤い光が集まり、洞窟を照らす。

「真紅の炎よ、焼き尽くせ――ヘルフレア!」


同時に少女の悲鳴が洞窟に響きわたる。

「黒田さん!」


炎の奔流は黒田へ向かって放たれ、黒田の全身を覆い尽くした。

黒田は、視界が赤く染まり、意識が遠のいていくのを感じた。

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