表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【連載版】人手不足で過労の俺、異世界では”要領の良さ”を活かします。  作者: なまこ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
4/12

適性検査

冒険者ギルドは、町の中心にそびえる大きな石造りの建物だった。

昼過ぎでも人の出入りは絶えず、依頼票を確認する冒険者たちの声が響いている。


「黒田、ここが冒険者ギルドよ。正式に冒険者になる気がなくても、適性検査だけは受けられるの」

アリシェラが胸を張る。


黒田は少し緊張しながら受付へ向かった。


受付カウンターには、淡い栗色の髪をまとめた女性が座っていた。

落ち着いた雰囲気で、静かな気品がある。


「いらっしゃいませ。冒険者ギルドへようこそ」

柔らかい声で迎えてくれた。


アリシェラが紹介する。

「黒田、この人はギルド受付のリーネさん。適性検査を担当してくれるの」


黒田はうなずいた。

「黒田と申します。本日はよろしくお願いします!」


リーネは微笑んだ。

「ギルド受付のリーネです。適性検査は冒険者登録をしなくても受けられますので、ご安心ください。身体能力、魔力量、属性の簡単な測定になります」


一通り説明が終わり、黒田たちは訓練場に案内された。

そこには、木製の人形が並び、走るためのラインが引かれている。


「では、軽く走ってみてくださいね」

リーネが優しく指示する。


黒田は走り出すが――すぐに息が上がった。

「はぁ……っ、はぁ……っ」


アリシェラが心配そうに駆け寄る。

「黒田、大丈夫!? 思ったより体力ないのね……」


リーネは記録を確認し、少し困ったように笑った。

「身体能力は……平均よりやや低めですね。非戦闘向きの数値です」


黒田は肩をすくめた。

「まあ、デスクワークばかりでしたからね」


次に案内されたのは、魔力測定用の水晶が並ぶ部屋だった。

中央には淡く光る透明な石が置かれている。


「では、この水晶に手を置いてください」

リーネが促す。


黒田が触れた瞬間――


水晶が、眩しいほどに光った。


「えっ……!?」

アリシェラが目を丸くする。


リーネも驚きの声を漏らした。

「こ、これは……魔力量が非常に高いです。上位冒険者並みですよ」


黒田は思わず手を離した。

「そんなに?」


リーネが紙を見ながら言った。

「はい。ただし……黒田さんは無色ですね。魔力は高いのに、属性が覚醒していません」


黒田は思わず聞き返した。

「無職?……ああ、無色ね!」


アリシェラがくすっと笑う。

「黒田、それは違う意味でしょ」


リーネは微笑みながら続けた。

「強い感情や経験で属性が変化することがあります。今は無色ですが、将来的に色がつく可能性があります」


アリシェラが興味津々で黒田を見る。

「黒田、どんな属性になるんだろうね?」


黒田は苦笑した。

「ブラック企業の経験で黒く染まったりして」


「それは嫌でしょ!」

二人は思わず笑った。


リーネは最後に、薄い板状の魔道具を取り出した。

表面には文字らしき模様が浮かんでいる。


「では、学力テストを行います。読み書き、計算、状況判断などが出ます」


アリシェラがすぐに口を挟んだ。

「リーネさん、黒田はまだこの国の文字に慣れていないんだけど……大丈夫?」


リーネは少し驚いたように目を瞬かせたが、すぐに柔らかく微笑んだ。


「そうだったんですね。大丈夫ですよ。問題文は私が読み上げますし、選択肢もゆっくり説明しますから」


黒田は申し訳なさそうに頭を下げた。

「助かります。まだ文字が全然読めなくて……」


「気にしなくていいんですよ」

リーネは優しく言う。

「文字はゆっくり覚えればいいんです。理解力があれば、テストは問題ありません」


その言い方は、どこか“お姉さんの励まし”のようで、黒田の肩の力が少し抜けた。

リーネは黒田の横に立ち、板を持ちながら読み上げる。


「第一問。三つの荷物を最短で届けるには、どの順番が最も効率的でしょうか?」


黒田は即答した。

「北→南→西です」


リーネは小さく笑った。

「ふふっ、早いですね。では次です」


読み上げる声は落ち着いていて、聞いているだけで安心する。


「第二問。三つの数字の合計を求めてください。……これは計算問題ですね」


黒田はすぐに答える。

続いて論理問題、状況判断問題が読み上げられる。


リーネは時折、

「問題文が少し長いのでゆっくり読みますね」

「選択肢は三つです。焦らなくて大丈夫ですよ」

と優しく補助してくれる。


黒田はほとんど迷わず答えていった。


(……仕事の段取りと同じだな)


最後の問題を読み上げるリーネの声は、どこか楽しそうだった。


「では最後の問題です。危険な状況を回避するための最適な行動を選んでください」


黒田は静かに答えた。

「逃げ道を確保してから、味方の位置を調整します」


リーネは板を確認し、目を見開いた。

「……九割正解です。とても優秀ですよ、黒田さん」


アリシェラが驚いて黒田を見る。

「やっぱり黒田って頭いいのね」


黒田は照れくさく笑った。

「仕事で似たようなことばかりしてましたからね」


■結果

・身体能力:B

・魔力量:S

・学力:S

・総合評価:A

・潜在能力は高い。覚醒次第で大きく伸びる可能性あり。


リーネは魔力測定の紙を見直しながら、少し声を落とした。


「……魔力量と学力が非常に高いですね。属性はまだ無色ですが――覚醒次第では、優秀なメイジになれますよ」


アリシェラが目を輝かせる。

「黒田、魔法使いになれるの!? すごいじゃん!」


黒田は苦笑しながら紙を見つめた。


(魔法使い……俺が?)


ブラック勤務で女性と付き合う暇もなく、違う意味での魔法使いだった俺は、

どうやらこっちの世界で、魔法使いになれるかもしれない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ