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【連載版】人手不足で過労の俺、異世界では”要領の良さ”を活かします。  作者: なまこ


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S級ランク魔法使い

新人研修が終わって数日。

“なんでも屋”の拠点には、いつもより静かな空気が流れていた。


そんな中、突然、扉が静かにノックされた。

アリシェラは立ち上がり、扉へ向かう。


「来たわね」


扉がゆっくりと開く。


そこに立っていたのは、金髪のポニーテールを揺らし、

薄い青の瞳を持つ、落ち着いた大人の女性だった。


アリシェラとどこか雰囲気が似ており、

その佇まいは静かで上品だった。


「……久しぶりね、アリシェラ」


アリシェラは微笑む。


「ライラ。来てくれてありがとう」


短く挨拶を交わすと、アリシェラは黒田とアリサへ向き直る。


「紹介するわ。こちらはライラ。S級ランクの魔法使いよ。

今日からあなたたちの師匠になってもらうわ」


ライラは柔らかく微笑み、静かに頭を下げた。


「私はライラ。よろしくね。

アリシェラとはA級時代、“疾風迅雷”という名でパーティを組んでいたの」


アリサは震える声で叫んだ。


「疾風迅雷って……あの伝説の!?アリシェラさん、そういう大事なことはもっと早く言ってくださいよ!」


アリシェラは少し照れたように肩をすくめる。


「そういえば、言ってなかったかしら」


どうやら“疾風迅雷”とは、当時A級が最高ランクだった頃、

A級冒険者が二人しかいなかった時代に存在した伝説のコンビらしい。


二人とも双剣を携え、アリシェラは風属性の魔法、

ライラは雷属性の魔法を自在に操る。


二人の無駄のない動きはまさに疾風迅雷だったそうだ。


今ではアリシェラが"なんでも屋"を本業とし、

ライラはS級冒険者パーティのメイジとして活動しているという。


アリサは姿勢を正し、深く頭を下げた。


「アリサです。まだまだ新人ですが、よろしくお願いします!」


続いて黒田も丁寧に挨拶する。


「黒田と申します。こんなすごい方に教えていただけるなんて……光栄です」


ライラは二人に向けて、落ち着いた笑みを浮かべた。


「こちらこそ、よろしくね」


その声は静かで柔らかく、

“師匠”としての風格を自然と感じさせるものだった。


一通り挨拶が終わると、黒田たちは“なんでも屋”の外へ出た。

簡易的な的が並び、魔法訓練には十分なスペースがある。


ライラは二人を見渡し、静かに言った。


「まずは、あなたたちの魔弾を見せてもらえるかしら」


黒田とアリサは頷き、的に向かって魔弾を放つ。

火球が赤く弾け、黒い魔弾が重い音を立てて地面に転がった。


ライラはその様子を見て、わずかに目を細める。


「……なるほど」


アリシェラが横から口を挟む。


「すごいでしょ、彼。私もあんな魔弾は見たことないわ」


ライラは足元に転がった黒田の魔弾を拾い上げ、手のひらで軽く転がした。


「見たところ、アリサちゃんは炎属性。そして黒田は……黒属性、とでも言うべきかしらね」


黒田は自信なさげに苦笑する。


「ゴムボールみたいですよね。

あまり強そうには見えないと思います」


ライラは首を横に振った。


「確かに今はただのゴムボールよ。でも――黒田、あなたの魔弾は“素材”がいい。本人の努力次第で、相当な可能性を秘めているわ」


黒田は思わず息を呑んだ。

アリサも驚いたように黒田を見る。


ライラは黒い魔弾をそっと地面に置き、柔らかく微笑んだ。


「焦らなくていいわ。これから一緒に、魔弾の扱い方を学んでいきましょう」


こうして、黒田とアリサの魔法訓練は本格的に開始した。

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