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【連載版】人手不足で過労の俺、異世界では”要領の良さ”を活かします。  作者: なまこ


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新人冒険者研修を終えて

新人冒険者研修が終わった数日後。

冒険者ギルドの受付は、いつもより賑やかだった。


黒田は書類の束を抱え、リーネの隣で研修の後処理を進めていた。

依頼表の整理、講習記録のまとめ、備品の返却確認――

研修期間中はずっとギルドの裏方として働いてきた。


「黒田さん、これで最後の書類です」

リーネが丁寧に束を揃えて渡す。


黒田は受け取りながら、ほっと息をついた。

「長かったですね……でも、なんとか終わりました」


リーネは微笑んだ。

「本当に助かりました。新人研修の後、新人冒険者も増えていて結果的に大成功です!」


黒田は照れくさそうに笑った。

「色々ありましたが、上手くいって良かったです」


リーネは机の引き出しから小袋を取り出した。

「こちらが、研修期間中のお手伝いの報酬です。ギルドから正式に支給されます」


黒田は受け取って中を確認する。

銀貨が思った以上に入っていた。


黒田は深く頭を下げた。

「ありがとうございます。本当にお世話になりました」


リーネは少し表情を引き締めた。

「黒田さん……その、覚醒した時のこと。もう少し詳しく聞かせてもらえますか?」


黒田は胸の傷に触れ、静かに頷いた。

そして洞窟で起きたこと――

レオンとの戦闘、死の淵での覚醒、黒い紋章の出現、黒い魔弾――

すべてをリーネに話した。


リーネは少し迷ったあと、机の奥から一枚の書類を取り出した。

「黒田さん。よければ……冒険者登録をしませんか?」


黒田はしばらく考え――

やがて静かに頷いた。


「……お願いします。僕も、ちょうど冒険者登録をしたいと思っていたところです」


リーネは嬉しそうに微笑み、登録書類を差し出した。

「では、こちらにお名前をお願いします」


書類に必要事項を記入し冒険者登録を行った。


「これからよろしくお願いします、黒田さん」


「こちらこそ、よろしくお願いします」


ギルドの窓から差し込む光が、黒田の新しい一歩を照らしていた。


夕方。

新人研修を終えた黒田は、ギルドでの手伝いを終えて報酬を受け取り、

その足で“なんでも屋”の拠点へ戻ってきた。


木造の小さな建物。

冒険者ギルドほど立派ではないが、温かい灯りがともり、

どこか帰ってきたくなるような居心地の良さがある。


扉を開けると、アリシェラが腕を組んで待っていた。


「遅かったじゃない。片付けに時間かかったの?」


黒田は苦笑しながら靴を脱ぐ。

「ギルドの書類が多くて……すみません」


アリシェラは肩をすくめた。

「まあいいわ。今日は大事な日なんだから」


その横で、アリサが緊張した面持ちで立っていた。

昼間の講習の時よりも、どこか落ち着かない様子だ。


「黒田さん……その、これからよろしくお願いします」


黒田は優しく笑った。

「こちらこそ。アリサさん、ようこそ“なんでも屋”へ」


アリシェラが手を叩く。

「はい、二人とも座って。歓迎会を始めるわよ」


テーブルの上には、アリシェラが用意した料理が並んでいた。

野菜のスープ、焼きたてのパン、ハーブの香りがする肉料理。


アリサは目を輝かせた。

「すごい……アリシェラさん、料理上手なんですね」


「まあね。冒険者なら当然のスキルね」


食事が進むと、アリサがふと黒田の右腕に視線を落とした。


「黒田さん……その、覚醒した時のこと……もう少し聞いてもいいですか?」


黒田は少し考え、ゆっくりと話し始めた。


炎に包まれた瞬間のこと。

死の淵で聞こえたアリサの声。

胸の奥で渦巻いた黒い魔力。

そして、黒い紋章と黒い魔弾――。


「そういえば、覚醒したんで冒険者登録も済ませてきました」


アリシェラとアリサが驚いたように身を乗り出した。

「えっ、そうなの!?」


黒田は少し照れながら笑った。

「はい。僕も冒険者の方が都合がいいと思って」


その時、アリシェラがグラスを置いた。


「だったら、本格的に魔法を教えてもらいましょう。アリサちゃんもいるし、丁度いいわ」


アリサが首を傾げる。

「教わると言っても……どなたに?」


アリシェラは少し得意げに笑った。

「まあ、私の元相棒ってところかな。腕は確かよ」


その言葉に、黒田とアリサは自然と背筋を伸ばした。


新しい仲間、新しい力、そして新しい師匠――

“なんでも屋”の物語は、ここからさらに広がっていく。

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