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【連載版】人手不足で過労の俺、異世界では”要領の良さ”を活かします。  作者: なまこ


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魔法訓練

黒田とアリサは真剣な表情でライラの話を聞いていた。


「高度な魔法を扱うには、”魔法の三原則”である“集中”“拡散”“制御”を覚える必要があるわ」


聞き慣れない単語が並び、黒田が横目でアリサを見ると、

アリサも同じように首をかしげていた。


ライラは小さく頷き、説明を続ける。


「まずは集中。魔弾を一点に集めて密度を上げることね。私の雷の魔弾を集中させると――こうなるわ」


ライラの手のひらで、雷の魔弾が小さく収束する。

そのまま的へ向けて放つと、小さな光が弾けただけなのに、的は大きく抉れた。


「見た目は小さくても、威力はそのまま。これが集中よ」


黒田とアリサは思わず息を呑む。


ライラは次の魔弾を生成し、ゆっくりと広げて見せた。


「次に拡散。魔弾を大きくして、当てやすくする技術ね。訓練すれば、横に伸ばして防御に使うこともできるわ」


雷の魔弾が横方向に広がり、薄い雷のカーテンのような膜が張られる。


幻想的だが、触れたくはないな。


「最後に制御。魔弾の性質そのものをコントロールする技術よ。黒田、この魔弾に触ってみて」


黒田は即座に後ずさった。


「嫌ですよ。感電死はごめんです」


ライラは苦笑しながら黒田の手を軽く引いた。


「大丈夫。電力は下げてあるから」


黒田の指先が魔弾に触れた瞬間――


「イテッ」


静電気のような軽い痛みが走っただけだった。


ライラは魔弾を消しながら説明する。


「今のは電力を下げた状態ね。基本的には電力を上げて使うことが多いわ。炎属性なら温度を上げたり、逆に下げたりもできる」


黒田とアリサは、魔法の奥深さに圧倒されていた。


「魔法の三原則を覚えることで魔法を自在に操ることが出来るのよ」


今思えば、レオンのヘルフレアも

拡散と制御を自在に扱ったものなのか……


ライラの説明が終わると、黒田とアリサは緊張した面持ちで魔弾を構えた。

ライラは二人の前に立ち、静かに手を組む。


「じゃあ、まずは集中からやってみましょうか。魔弾を小さく、密度を高く――それだけでいいわ」


アリサは素直に頷き、炎の魔弾を生成する。

黒田も魔弾を手のひらに浮かべた。


ライラは二人の魔弾を見比べ、柔らかく微笑む。


「焦らなくていいわ。魔力を“集める”イメージだけで十分よ」


アリサは目を閉じ、魔弾に意識を集中させた。

炎がゆっくりと収束し、少しずつ小さくなっていく。


「……できてるわよ、アリサちゃん」


ライラの声にアリサは目を開ける。

火球は、さっきより一回り小さくなっていた。


「ほんとだ……!黒田さん、見てください!」


黒田は感心したように頷く。


「すごいな……ちゃんと小さくなってる」


アリサは嬉しそうに笑った。


一方、黒田は苦戦していた。


黒田の魔弾は重く、魔力の流れが複雑だ。

集中しようとしても、魔弾はほとんど形を変えない。


「……うまくいかないですね」


ライラは黒田の横に立ち、そっと肩に手を置いた。


「黒田の魔弾は“密度が高い”の。だから、最初は動きが鈍いのよ。魔力を押し込むんじゃなくて――

“中心に寄せる”イメージを持ってみて」


黒田は深呼吸し、もう一度魔弾に意識を向けた。


すると――魔弾が、ほんのわずかだが小さくなった。


「……あ、少しだけ……!」


ライラは満足そうに頷く。


「ええ。最初はそれで十分よ。黒田の魔弾は扱いが難しいけれど、伸びしろは大きいわ」


黒田は少し照れたように笑った。


ライラは二人の魔弾を見て、次の段階へ進めた。


「次は拡散ね。魔弾を大きくして、面として扱うようにやってみて」


アリサは火球を広げようとするが、

炎が一瞬だけ大きくなったあと、すぐに元の大きさに戻ってしまう。


「む、難しい……!」


黒田も拡散を試みるが、魔弾が重くてほとんど形が変わらない。


ライラは二人の様子を見て、静かに説明した。


「拡散は魔力の密度を下げて、外側へ流すイメージよ」


アリサはもう一度試す。

火球がふわりと広がり、少しだけ大きくなった。


「できた……!」


黒田も同じように意識を緩めると、

魔弾がわずかに膨らんだ。


「おお……!」


ライラは二人に向けて柔らかく微笑む。


「いいわね。集中と拡散は魔法の基礎。これができれば、制御にも必ず繋がるわ」


ライラは二人の魔弾を見て、次の段階へ進めた。

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