↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
九環配信の澪 〜誰も帰らない絶景を〜  作者: 妄幽
第五章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

113/147

第九話 星骨竜魚②

ボス戦の続きです。


 水鏡湖は、壊れた夜空のようになっていた。


 半径数百メートルの湖面がすり鉢状に沈み、黒い水は縁からゆっくり流れ落ちている。水面に映っていた星々は歪み、砕け、まるで湖底から空へ向かって降っているように見えた。折れた骨木の枝には灯りがいくつも引っかかり、青や橙の火が、濡れた骨の上で小さく震えている。


 その中央に、澪は立っていた。


 大剣の切っ先を沈んだ湖面へ向けている。白い服はマシロが血を吸って戻しているが、澪の体の内側にはまだ痛みが残っていた。腹、胸、肩、脚。どれも塞がっている。けれど、塞がるまでの遅れが、体の奥に嫌な熱として残っている。


 星骨竜魚は、まだ泳いでいる。


 砕けた硝子骨が湖面から拾い上げられ、星砂の流れで繋がっていく。頭蓋。胴。鰭。尾。さっきより細い。だが、弱ったというより、余計な骨を捨てて軽くなったように見えた。頭蓋の奥には、小さな星がいくつも灯っている。どれも消えていない。


「骨じゃない」


 澪は呟いた。


 骨を砕いても戻る。頭を割っても戻る。湖面に映った骨影も、空中の竜魚も、沈んだ湖底の影も、全部が動く。どれか一つを壊しても終わらない。


 メイの大剣に、薄い水光が走る。


 青白い刃の奥、黒緑の線の隙間に、湖面の星を溶かしたような光が一つ沈んでいた。澪はそれを見る。メイは何も言わない。けれど、さっきより少し、刃が水鏡湖を嫌がっていない。


 星骨竜魚が動いた。


 空中の竜魚が左へ流れる。湖面の映りが右へ泳ぐ。沈んだ湖底の骨影が澪の足元へ潜る。三つが同時に別の方向から来た。どれが本物か、目では追えない。


 澪は大剣を振った。

 空が歪む。


 左の竜魚が大剣に潰され、硝子骨が砕け散る。だが右の映りが水面から跳ね上がり、澪の脇腹を裂いた。傷が開く。再生が走る。今度は、肋骨の位置を体が一瞬だけ迷った。


 息が詰まる。

 骨が戻る。遅れる。痛みが跳ねる。


 足元から湖底の骨影が噛みついた。澪は右脚を引こうとして、また一拍遅れた。脚が、踏み方を忘れた。顎が太腿を挟み、骨の歯が肉を貫く。


 血が水鏡湖へ落ちた。

 落ちた血が、水面で澪の影に変わる。

 影の澪が、鎌を構えていた。


「……まね」


 澪は顔をしかめた。


 影の澪が鎌を振る。青白くない、黒い斬撃が飛んだ。澪は大剣で受ける。衝撃は軽い。だが、受けた瞬間、手首がまた止まった。大剣の重さを支える角度が抜ける。手が滑る。


 星骨竜魚の尾骨が胸へ伸びる。

 今度は避けられない。

 骨が胸を貫いた。

 心臓に触れる。潰れる。視界が白く弾けた。


 澪の体は死に損ねる。潰れた心臓が戻ろうとして、止まった。血管が先に繋がり、肉が遅れ、骨が違う形を探す。体が、自分の戻し方を忘れている。


 息ができない。

 考えも途切れる。

 朱音先輩。

 そう思おうとして、名前の先が消える。


 結衣ちゃん。

 甘い匂いだけが浮かび、誰のものか分からなくなる。


 メイ。

 手の中の大きな刃が、ただ重いものに変わる。


 マシロ。

 白い服が、自分の一部なのか、知らない布なのか分からなくなる。


 澪は大剣を落としかけた。

 その瞬間、白い袖が口元の血を拭った。

 やわらかい布。いつも勝手に整う服。汚れを嫌がる白。マシロ。

 鎖が足元を叩く。

 青白い刃の奥から、水光が一度だけ脈打つ。メイ。

 遠くで黒い猫が鳴いた。

 星祭郷。水鏡湖。赤い紙。奥門札。帰るためにいるもの。


 澪は息を吸った。

 胸の奥が戻る。

 心臓が動く。


「……思い出した」


 澪は胸に刺さった尾骨を掴み、力任せに引き抜いた。血が噴く。今度は止まらない。体が戻し方を掴む。肉が塞がり、骨が噛み合い、血管が繋がる。痛みだけが残る。


 澪は大剣を握り直した。

 星骨竜魚が湖面へ潜る。


 逃げたわけではない。湖全体が竜魚になった。沈んだ水鏡湖の底から、何十もの骨影が浮かぶ。細いもの、太いもの、頭だけのもの、尾だけのもの。すべてが澪へ向く。


 ラウ婆たちのいる湖岸まで、水面が震えた。


「下がれ」

 ラウ婆が言った。


 村の狩り手たちが、一斉に後退する。だが視線は外せない。水鏡湖の中央で、白い少女が立っている。何度も貫かれ、裂かれ、血を流し、それでも立っている。彼らが半年見てきた白い子とは、少し違うものに見えた。


 澪は大剣を肩に乗せる。


 足元は悪い。体は痛い。記憶は何度も揺れる。けれど、さっきより竜魚の動きが少し分かる。骨ではなく、水面。水面ではなく、映っている星。もっと奥。湖底のどこかで、星砂が同じ向きへ流れている。


 澪は低く呟いた。


「底」


 大剣が沈む。


 振り上げではない。澪は大剣を湖面へ突き立てた。青白い刃が黒い水へ入り、湖面の夜空がひび割れる。竜魚の骨影たちが一斉に澪へ飛びかかる。顎、尾、鰭、水刃。澪は避けない。


 大剣を押し込む。

 刃の周囲で、空と湖がねじれた。


 黒い水が盛り上がり、星砂が下から噴き上がる。骨影が澪の体へ食いついた。左腕が裂ける。首筋を水刃が切る。腹を尾骨が貫く。再生が乱される。腕の治り方が遅れる。首の傷が塞がりかけて開く。腹の奥が戻らない。


 澪は歯を食いしばった。


 大剣を、さらに押し込む。


 半径数百メートルの湖底が、二度目の音を立てて沈んだ。


 今度は横ではなく、下へ。


 すり鉢状だった水鏡湖の中央が、さらに深く落ちる。黒い水が壁のように立ち上がり、その内側に湖底が見えた。湖底は石ではなかった。透明な骨が層になっている。星砂がその隙間を川のように流れ、中央に小さな欠けた星があった。


 星骨竜魚の頭蓋の奥に灯っていた星と、同じ光。


「そこ」


 澪は大剣を抜いた。


 抜いた瞬間、湖が戻ろうとする。水が落ち、星砂が流れ、骨の層が隠れようとする。星骨竜魚が空中で体を作り直し、澪へ向かってくる。今までで一番速い。澪の視界から、右手の使い方が消えた。


 大剣が重い。

 持ち方が分からない。

 澪は迷わず大剣を捨てた。

 捨てたのではない。ほどいた。

 大剣が崩れ、鎌になる。

 鎌なら分かる。


 手に馴染む。呼吸が合う。鎖が鳴る。澪は青白い鎌を握り、沈みかける湖底へ向けて踏み込んだ。星骨竜魚が横から噛みつく。澪の左肩が砕ける。構わない。再生が遅れる。構わない。水刃が頬を裂く。血が流れ、すぐに白い袖が拭う。


 澪は湖底へ鎖を打ち込んだ。


 メイの鎖が透明な骨層を貫き、欠けた星へ向かって伸びる。星砂が鎖を押し戻そうとする。鎖の表面に水光が走った。最初は弾かれた。二度目は沈んだ。三度目で、鎖が星砂の流れを裂いた。


 メイが、通り道を覚える。


 澪は鎌を振った。


 青白い斬撃が湖底へ落ちる。骨層を割る。星砂を裂く。欠けた星には届かない。星骨竜魚が身をよじり、湖面の映りを増やす。無数の竜魚が、澪を囲む。


 そのうちの一体が、澪の背中を貫いた。


 肺が潰れる。


 再生が遅れる。


 視界が暗くなる。


 澪は一瞬、自分が何を狙っていたのか分からなくなった。


 水。骨。星。黒い湖。白い服。痛い。なぜ痛い。何をしていた。


 帰る。


 どこへ。


 七瀬家。


 誰がいる。


 朱音先輩。結衣ちゃん。


 手の中は。


 メイ。


 着ているのは。


 マシロ。


 戻った。


 澪は背中の骨を抜かずに、鎌を逆手へ持ち替えた。動かし方を忘れる前に、体ごと回す。背中に刺さった骨が内側を削る。痛みで視界が白くなる。だが、その回転で鎌の刃が湖底へ深く入った。


 刃の色が変わった。

 青白い刃の縁に、湖面のような薄い光がまとわりつく。黒緑の線の奥に、星砂が一粒、二粒と流れる。幻想的というより、冷たい水の底で光る刃だった。

 澪は言った。


「通った」


 刃が、欠けた星へ届いた。

 星骨竜魚が初めて音を出した。


 水と骨を擦り合わせたような、細い悲鳴だった。湖面の竜魚たちが一斉に崩れる。だが、まだ終わらない。欠けた星は半分だけ裂け、残り半分が湖底から逃げようとしていた。星砂が渦を巻き、欠けた星を別の場所へ移そうとする。


 澪は鎖を引いた。


 メイの鎖が欠けた星へ絡む。星砂が鎖を削る。鎖の一部が白く濁った。澪の手に、痛みではない嫌な感覚が来る。握り方がまた抜ける。鎖をどう引くのか、手が分からなくなる。


 澪は鎖を手ではなく、体に巻いた。


 マシロの布が腰と腕を支え、鎖を固定する。白い服が破れないように形を変え、澪の体ごと引く形を作った。澪は足を踏み込む。右脚が遅れる。遅れてもいい。左脚で踏む。骨が軋む。戻る。痛い。


「出て」


 欠けた星が湖底から引きずり出される。

 星骨竜魚が最後の体を作った。

 今までで一番細く、一番美しい竜魚だった。硝子骨は透き通り、骨の隙間には黒い水ではなく、星空そのものが流れている。鰭は薄い月の膜のように広がり、尾を振るたびに水鏡湖の星が揺れた。


 その美しさに、澪は一瞬だけ見とれた。

 見とれた瞬間、鎖を引く理由が薄くなる。

 ここにいてもいい。

 水鏡湖は綺麗だ。

 星祭郷は、もう知らない場所ではない。

 村の茶屋。夜湯。黒い猫。ラウ婆。灰青の子供たち。星灯りの留め具。

 どれも悪くない。


 帰らなくても。


「だめ」


 澪は目を細めた。

 帰る場所がある。

 綺麗だからこそ、危ない。

 鎌の刃が震える。


 星骨竜魚が欠けた星を守るように澪へ巻きついた。硝子骨が体を締める。肋骨が折れる。腕が折れる。首に骨がかかる。息が止まる。再生は遅れる。体は戻り方を忘れかける。


 澪は鎌を手放さない。


 メイの刃が、竜魚の骨の隙間へ滑り込む。最初は浅い。次は深い。三度目で、骨ではなく、骨と星砂を繋いでいる流れを断った。竜魚の体がゆるむ。


 澪は鎌を引いた。

 欠けた星が露出する。

 それは小さかった。手のひらに収まるほどの、欠けた白い星。こんなものが湖を動かし、竜魚を作り、傷の戻りを乱していた。


 澪は鎌を振り下ろした。

 欠けた星が割れた。

 今度は、戻らなかった。


 水鏡湖の夜空が、一瞬だけ本当の空に近づいた。湖面の星が静かに止まり、流れていた星砂がふわりと浮く。星骨竜魚の硝子骨は音もなくほどけ、湖へ落ちる前に細かな光になった。骨木の灯りが一つ、また一つと戻る。沈んだ湖底から、黒い水がゆっくり満ちていった。


 澪は立っていた。

 立っているつもりだった。

 次の瞬間、膝が落ちた。


 全身が痛い。治っている。血も止まっている。傷はない。けれど、体の内側が何度も間違えかけたせいで、立つ手順まで重くなっていた。マシロの裾が広がり、澪の膝が直接濡れた湖底につかないよう支える。


 視界の端に、本人にしか見えない文字が浮かぶ。


《レベルが144→153》

《存在進化条件を満たしました》

《存在進化を開始します》


 澪は、瞬きをした。


「ここで?」


 答える者はいない。

 体の奥が、熱くなる。

 痛みではない。けれど、痛みに似ている。骨が伸びるのではない。肉が変わるのでもない。今までの自分の形が、一度ほどけ、もう一度結ばれていく感覚だった。猫耳が震える。耳の内側に、淡い星灯りが走った。


 腰の後ろが、むずむずした。


「……なに」


 マシロの布が腰のあたりで少しだけ形を開ける。

 そこから、白いものが生えた。

 ふわっとした猫の尻尾だった。


 長すぎず、短すぎず、柔らかそうな白い尻尾。先の方だけ、淡い青白い光を帯びている。澪が驚いて振り返ると、尻尾も驚いたように跳ねた。動かしたつもりはない。勝手に動いている。


「……しっぽ」


 黒い猫が、骨木の上から見ていた。

 二本の尾が、ゆっくり揺れる。

 澪の尻尾も、つられるように少し揺れた。


「動く」


 当然のことのように言ってから、澪は眉を寄せた。


「勝手に」


 猫は鳴かない。


 ラウ婆たちが遠くから近づいてくる。だが、澪の周囲にまだ残る星砂と魔力の揺れに足を止めた。村の者たちには、文字は見えない。何が起きたのかも分からない。ただ、白い子の空気が変わったことだけは分かった。


 澪の髪の毛先に、夜色が少し混じっている。


 白い髪の内側で、細かな星砂のような光が淡く瞬いた。猫耳の内側にも小さな星灯りが残り、暗い湖岸で時々、ふわりと光る。瞳は変わりすぎてはいない。ただ、光を受けた時だけ、猫のように細くなる。


 そして尻尾。


 普段は一本。けれど、湖面に映った澪の尻尾の後ろに、薄い二本目の影が一瞬だけ重なって見えた。澪が目を細めると、それはすぐに消える。


 視界の端に、新しい文字が浮かぶ。


《冥刻猫神種》


 澪は少しだけ見て、何も言わなかった。

 種族名を口に出す必要はない。ここにいる者には見えないし、言っても通じない。澪は自分の尻尾をもう一度見た。尻尾は、警戒するように少し膨らんでいる。


「戻って」


 戻らない。


「……邪魔」


 尻尾がしょんぼりしたように下がった。

 澪は黙った。

 マシロの袖が、口元の血の名残を拭う。メイは鎌の形へ戻っていた。青白い刃の奥に、さっきよりはっきりと水光が混じっている。黒緑の線の間を、細かな星砂がゆっくり流れた。刃を振ると、音が少しだけ変わっている。水鏡湖の底で鳴る、薄い鈴のような余韻があった。


 澪はメイを見た。


「綺麗になった」


 メイは鳴った。

 そこで、湖底に赤い玉が落ちていることに気づいた。

 村の依頼報酬ではない。ラウ婆たちには、それが何なのか分からないだろう。澪には分かる。何度か見たことがある。ボスを倒した時に現れるもの。

 澪が拾うと、本人にしか見えない文字が浮かんだ。


《スキルオーブを獲得しました》

《洗濯 NEW Lv1》


 澪は、しばらく黙った。


「……洗濯」


 マシロの袖が、わずかに揺れた。

 喜んでいるようにも見えた。

 澪は赤い玉が消えた手のひらを見つめる。


「いらない」


 マシロの襟元が、少しだけきっちり整った。


「いる?」


 白い服は答えない。ただ、湖の水と血と星砂で汚れたはずの裾が、いつもより少し丁寧に白へ戻っていく。澪はそれを見て、微妙な顔をした。


「……まあ、いい」


 ラウ婆がようやく近づいてきた。


 湖岸は大きく形を変えている。水鏡湖の一部は沈み、湖畔の骨木は何本も折れていた。だが、湖そのものは死んでいない。黒い水は少しずつ戻り、星もまた映り始めている。恐ろしいほど壊されても、ここは美しいままだった。


 ラウ婆は澪を見た。

 最初に顔を見る。次に猫耳を見る。耳の内側で時々光る星灯りを見る。それから、腰の後ろの白い尻尾を見た。


「ミオ」

「なに」

「増えた」

「うん」

「尾」

「うん」

「困るか」

「まだ分からない」


 尻尾がラウ婆の視線から逃げるように、澪の足の後ろへ回った。


 ラウ婆は目を細める。


「かわいい」

「……かわいくない」

「かわいい」

「違う」


 尻尾が少しだけ揺れた。


 黒い猫が、骨木から降りてきた。二本の尾で澪の新しい尻尾を軽く叩こうとして、マシロの裾に阻まれる。猫は不満そうに目を細めた。澪は尻尾を手で押さえようとして、届かず、少し回った。


「動かしにくい」

「慣れる」

 ラウ婆が言った。

「たぶん」

「たぶん」

「白い子は、半年でここの紙を読んだ。尾もそのうち読む」


 意味はよく分からない。


 けれど、ラウ婆の言葉には、もう少しだけ慣れている。


 澪は息を吐いた。


「報酬」

「渡す。奥門札、夜湯器の芯、湖底星砂」

「うん」

「だが今日は戻る。寝る。体、まだ戻りきっていない」

「治ってる」

「治っている顔ではない」

「顔?」

「尾も、疲れておる」


 澪は尻尾を見た。

 確かに、さっきより少し下がっている。


「……寝る」


 ラウ婆は頷いた。

 村の者たちは、遠巻きに澪を見ていた。怖がっている者もいる。助かったと分かっている者もいる。子供たちは、澪の尻尾を見て明らかにそわそわしている。近づきたい。でもメイが怖い。マシロも止めそう。黒い猫もいる。だから、誰もすぐには来ない。


 澪は水鏡湖を振り返った。

 湖は静かだった。

 さっきまであれほど暴れた星骨竜魚の気配はない。湖面にはまた夜空が映り始めている。星々は少しだけ欠け、でも美しい。綺麗なものほどよく取る、とラウ婆は言った。確かに、取られかけた。


 戻る形。

 持つ手。

 帰る理由。

 澪は、それらを順に口の中で確かめる。


「朱音先輩。結衣ちゃん。メイ。マシロ。帰る」


 尻尾が、小さく揺れた。

 メイの鎌が青白く光る。

 白い服は、星砂の最後の一粒まで払う。

 澪は、村へ戻る道を歩き出した。

 星祭郷の夜は、まだ長い。

 赤い紙は、あと五枚残っている。




《Tips》

星骨竜魚の倒し方。

澪を連れていく。

以上。

星骨竜魚無事討伐。

猫耳に続いてしっぽとか……神。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
まあ不老不死だし猫だし神くらいにはなるか 九環神聖王国とか呼ばれるんだろうか
冥刻!? 猫神!? 尻尾が2つ!?
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。