幕間 其の一
「——そんなわけで、巨乳姫は悪魔の小人に連れさらわれてしまったんだよ」
ちょびヒゲを生やしたタキシード姿の男が言った。
「そいつは大変だ」狼が言った。
「いったい何が目的で、悪魔の小人は巨乳姫を連れさらったんだ?」狐が言った。
「おっぱい山に連れて行くと言っていたね」兎が言った。「でもそれはゼムジ山? それともジメリ山? どっちなんだろ?」
男が楽しげに笑う。
「どうやらみなさん、話に食いついて来たようですね。私も話がいがあるってもんですよ」
「それにしても」狼が言った。「おっぱい王国の王様は、どうして巨乳姫をシュヴァンツ王国の王子と結婚させようとしているんだ?」
男が疑問に答える。
「人間の世界には政略結婚というものがありましてね、そのために当人の気持ちを無視し、国のために結婚させられるなんてことはよくある事なんですよ」
「でもどうして、シュヴァンツ王国の第二王子が花婿として、おっぱい王国にやってくるんだろう?」狐が言った。「普通は女の人が男の人に嫁ぐのが、人間たちの常識じゃないの?」
「いい質問ですね。お答えしましょう」男が言った。「おっぱい王国に王族は何人もいるのですが、王様の直系の子供は巨乳姫だけなのです。妹様は亡くなっていますからね。だから王様は自分の娘を嫁に出す事ができなかった。そんなことしてしまえば、いずれ他の王族達に、おっぱい王国国王の座を譲らなくてはなりませんからね」
「なるほどそうだったんだ」兎が言った。「それじゃあ、シュヴァンツ王国が第一王子ではなく、第二王子を花婿としたのも同じような理由なのかな?」
「ええ、そうですよ」男が言った。「第一王子にはシュヴァンツ王国を治めるという大事な仕事がありますからね。だから第二王子にその白羽の矢が立ってのです」
「人間ってのは、めんどくさい社会で生きているんだな」狼が言った。「俺たち動物のように自由に生きればいいのに」
「本当にそうですね」狐が同意する。「あ、でも巨乳姫は連れさらわれたんだから、結婚は白紙になるんじゃないのかな?」
「本当にそうなるのかな?」兎が首を傾げる。「だってこの結婚は政略結婚なんでしょ。そう簡単に白紙にしてしまっていいのかな? 相手のシュヴァンツ王国が怒らない?」
「どうやらみなさん、続きが気になりだしたようですね」
男は満足げな笑みを浮かべる。
「それではお話を再開しましょうか」気を取り直すかのように、咳払いをする。「巨乳姫様がさらわれたことで、次の日城内は大騒ぎに——」




