第一幕 第五場
「マレーン」
お城の自室から窓の外を眺め見る、巨乳姫マンスロートがつぶやいた。マンスロートは寝間着姿で部屋に一人佇んでいる。
「あなたがもし生きていたなら私を笑うかしら、王族の務めを果たそうとしない姉を見て。もしお母様が生きていたなら私を叱るかしら、王族の務めを果たそうとしない娘を見て」
マンスロートはため息をつくと、月明かりに照らされる二つの山を物憂げに見つめた。雪が年中積もっているジメリ山に、年中緑が生い茂っているゼムジ山。並び合う二つの山のシルエットは女性の大きな胸を彷彿とさせた。
「なにがおっぱい山よ」
マンスロートが眉根にしわを寄せた。
「どうせどこかのいやらしい男が、本能の赴くままに名付けたに違いないわ。どうして男ってあんなにも下劣なのかしら。どうせ私の結婚相手も変態に決まっている」
「私はかごの中の小鳥」マンスロートが歌いだした。「いつか自由になる事を夢見て歌うの
青空が夕焼けへと移り変わり 闇へと変貌していく
私は眠りに落ち 空を羽ばたく夢を見るの
でも夢から覚めれば 私はいまだかごの中
ピイチク ピイチク 私はなんてかわいそうな小鳥なんでしょう」
そこで鼻歌になり、しばしの間リズムをとる。
「私はかごの中の小鳥」再び歌いだした。「そんな私のかごの扉を開けるのはいったい誰?」
「私ですよ」ぞっとするような声が部屋に響いた。
マンスロートがその声に驚き振り向くと、そこにいたのはピエロの格好をした小人だった。全身真っ黒な肌にぎょろりとした目、大きくさけた口。それはあまりにも醜くく、まるで魔物のようだ。
「だ、誰よあなたは?」
「私ですか?」小人が不気味に笑った。「私は悪魔の小人でございます。今宵はご主人様の命令で、あわれな巨乳姫をここから連れ出すためにやってまいりました」
「何よそれ。どういうことよ?」
「ここから逃げ出したいのでしょ」
小人がゆっくりとマンスロートに歩み寄る。
「その願い叶えてあげますよ巨乳姫。さあ私とともに来てください」
マンスロートは後ずさる。「いや、来ないで」
「おやおやおかしな人だ。ここから逃げ出したいのでしょ。どうして私を拒むのですか?」
マンスロートは怯えだす。「お願い来ないで!」
「さあ行きましょう、おっぱい山へ」
小人はそう言うとマンスロートを連れ去ってしまう。




