第五幕 第六場
おっぱい王国の城下町の大通りを進む馬車の列。それを見ようと大通りの端を陣取るたくさんの人々。その人だかりの中にはローブを羽織った巨乳姫マンスロートに魔女ホレ、そして青い瞳の騎士ゲオルクも混ざっていた。
「どうやら本日行われる演劇を見るために、王侯貴族そろって馬車で劇場へと移動しているようですね」ゲオルクが言った。
ホレは馬車の列を見渡す。
「そいつは都合がいいね。今ならお城にいる人も少ないだろう。こっそり帰るにはいいあんばいだよ」
マンスロートは白馬のファラダが引く先頭の馬車に目を向ける。
「あそこにローラント王子様と、私の身代わりをしてくれているリーゼルって子が乗っているのね」
「気になるのかい?」ホレが訊いた。
「はいお母様。私のせいで身代わりをさせられているのです。リーゼルという子には多大な迷惑を掛けてしまいました。後でお礼を言わなければ」
マンスロートをはじめとする多くの人々に見送られる馬車の一団。その中の一つに王様が乗っており、そこにはキュルトヘンが同乗していた。
王様は浮かない顔でそわそわしていた。
「ああ、心配だ心配だ」
「王様」キュルトヘンが言った。「やはり、お城に残られたマレーン姫様がご心配ですか?」
「もちろんだとも。お前も知っての通りマレーンは魔女だが、それでも悪魔と対決すると考えただけで、心配で心配でこの胸が張り裂けそうになってしまう」
「大丈夫ですよ王様」
キュルトヘンは無邪気な笑顔を見せる。
「マレーン姫様はとてもお強い。この僕が指一本触れられずにやられてしまうほどですから。きっとマレーン姫様なら簡単に悪魔をやっつけてくれますよ。僕はそうなるとマレーン姫様を信じております」
「キュルトヘンよ」
王様はキュルトヘンの笑顔を不思議そうに見つめる。
「お前はマレーンが怖くはないのか。魔女なのだぞ」
「マレーン姫様が魔女だから怖いなんて、考えた事もありませんよ王様。それにマレーン姫様は普段つっけんどんな性格をしているのでわかりづらいですが、とても繊細で相手の気持ちを思いやる事の出来るやさしい人間です」
王様は感慨深げにため息をついた。
「そうか。そう言ってくれるとありがたいよ。すべての国民がお前のような考えであったならば、マレーンを地下に監禁せずともよかったのにな」
そこで一呼吸間を置く。
「だからキュルトヘン。もし悪魔退治後、マレーンが魔女としてこの国を追われるような事になってしまったら、あの子をお前に託したい。守ってやってくれ」
キュルトヘンは静かにうなずく。
「わかりました王様」




