第四幕 第十五場
夜の帳が下りたおっぱい王国のお城では、シュヴァンツ王国第二王子ローラントを交えた食事会が始まっていた。食堂にある長テーブルのへりに座るのは王様で、その右手には手前から巨乳姫マンスロートに変装した鵞鳥番のリーゼル、貧乳姫マレーンと並び、その後にはおっぱい王国の王侯貴族達がずらりと並ぶ。そして左手手前にはローラントがリーゼルと向き合うようにして座り、その後にはシュヴァンツ王国の関係者が並んでいる。
王様は居並ぶ面々に顔を向けるとローラントに顔を向けた。
「どうかねローラント王子よ。我が国の料理は?」
ローラントはにっこりと笑う。
「まるで料理人達が熱きバトルを繰り広げ、勝ち残ったかのような絶品の品々。とてもおいしゅうございます。そしてなによりも」
そこで言葉を切るとリーゼルに顔を向ける。
「マンスロート姫様と一緒に食べる食事はなによりも格別です」
リーゼルは頬を赤らめ、となりに座るマレーンは少しばかりむっとする。
ローラントはマレーンに顔を向ける。
「もちろんマレーン姫様のお顔を見ながら食事をしているというのも、この料理の品々をとてもおいしく感じる理由の一つですよ」
「な、な、何を言っているのよ」
不意をつかれマレーンは狼狽する。
「おいしい料理はそれだけでおいしいのよ。わ、私がいるからって、料理の味が変わるはずがないでしょ」
「変わりますよ。こうして美人姉妹の姫樣方に囲まれていることが最高のスパイスですから」
マレーンは顔を真っ赤にさせる。
「ば、馬鹿じゃないの。カッコつけてさ」
リーゼルも顔を真っ赤にさせ恥じらう。
「ローラント様ったら、お褒めの言葉が過ぎますわ。美人だなんて言われたら照れてしまい、ローラント様のお顔が見れないではありませんか」
「お、お姉様?」
マレーンは意外だという表情をリーゼルに向ける。
「もしかしてこの食事会を嫌々ではなく、楽しんでいらっしゃるの?」
「何を言っているのだマレーン」王様が言った。「花婿とともに食事をするのだ。楽しいに決まっているではないか。しかもこんな目もくらむような美青年なのだぞ。楽しめないはずがないではないか」
そこでリーゼルに顔を向ける。
「そうだろマンスロートよ」
「もうお父様ったらそんな恥ずかしい事、本人の目の前で言わないでくださいよ」
リーゼルは伏し目がちにローラントを見る。
「わたくしも最初はどんな殿方が来るのか心配でしたけど、こんなやさしそうで素敵な人だったので、とても嬉しく思っています」
「……そうなんだ」
マレーンの表情に暗い影が差す。
「お姉様は気に入ったんだ、ローラント王子様のこと。だったら……この結婚も安心だね」
「浮かない顔をされていますが、どうかされましたか?」
ローラントがマレーンに訊いた。
「……別になんでもないわよ」
マレーンはさみしげな笑みを浮かべた。
「気にしないで」




