第四幕 第十三場
おっぱい王国のお城に付設された厩舎にやってくる一人の男。それは赤い瞳の騎士ベンヤミンだった。ベンヤミンは腹を押さえ、痛みに顔を歪ませながら歩いていた。
「おいフェレナンド!」
ベンヤミンは厩舎に向かって叫んだ。
「いるんだろフェレナンド!」
厩舎からフェレナンドが姿を現した。
「ベンヤミン!」
そう言ってベンヤミンのもとに歩み寄る。
「ようやく帰ってきたのか。遅かったから心配したぞ」
「すまない」
ベンヤミンはその場で膝をつくと、痛みに呻く。
「いろいろあってな」
「おいどうしたベンヤミン?」
フェレナンドがベンヤミンのもとにかがみ込む。
「まさか怪我をしているのか。お前ほどの騎士がいったいどうして?」
「リンクランクのクソジジイ。あいつ悪魔を召還してやがった。おかげでこのざまだ。しかもリンクランクは死んでしまい、悪魔は暴走している。下手したらこの国は滅ぼされちまう」
「なんだって!」
フェレナンドが驚く。
「いったい何がどうなっている? 説明してくれ」
「俺たち貧乳派におだてられたリンクランクは、巨乳姫をさらうために悪魔を召還してたらしい。そいつはリンクランクに大人しく従っている様子だったが、リンクランクが死んでいると知って暴走しやがった。あの悪魔とてつもなく強い」
「おいおいどういうことだよ? どうしてリンクランクは死んだんだよ。あいつにはまだ役に立ってもらわなくちゃ困るのに」
「俺が追っていた賊のヤツがリンクランクの隠れ家に逃げ込み、その拍子に殺しちまいやがったみたいなんだ。最悪な事にその賊、捕まっていた巨乳姫を連れてどこかへ逃げやがった」
「そいつはまずいぞ。巨乳姫が生きていたら困る」
「すまない。後もう少しで始末できたというのに、あの賊が邪魔しやがった。早くこのことをミハエル様に伝えないと。いつ巨乳姫が城にもどってくるかわからねえ」
「わかった後は任せろベンヤミン。お前は兵舎で手当を受けて休んでろ」
フェレナンドは城へ向かって走り去って行く。
「頼んだぞフェレナンド」
そう言うとベンヤミンは地面に手を付け、四つん這いの状態で呻く。
そこへ白馬のファラダがやってきた。
「話はしっかりと聞かせてもらったぜ。騎士さんよ」
ベンヤミンが顔をあげた。
「聞かれちまったか。だったら俺をどうする? 王様に密告でもするのか馬め」
ファラダは首を横に振った。
「俺は馬鹿だからよ。人間どもの派閥争いなんてよくわかんねえ。俺はただ人をのせて運ぶ、ただそれだけさ。さあ乗りな。兵舎まで連れて行ってやるよ」
「馬の分際でカッコつけやがって」
ベンヤミンが微笑する。
「よろしく頼むよ」
「任せときな」
ファラダが力強くうなずいた。




