第四幕 第八場
おっぱい王国にあるお城の城門前に、シュヴァンツ王国の馬車の一団がやってきた。その光景をとある部屋の窓から眺め見るのは、黒いドレスを着た貧乳姫マレーンだった。その様子を従者のキュルトヘンが戸口の前に立って静かに監視している。
「ようやくついたようね」
マレーンはとげとげしい口調で言った。
「シュヴァンツ王国第二王子のローラント様。とてもとても楽しみだわ」
そこで振り返るとキュルトヘンに歪んだ笑みを見せる。
「そう思わないキュルトヘン?」
キュルトヘンは首を横に振った。
「だめですよマレーン姫様」
マレーンはうんざりといった様子でため息をつく。
「まだ何も言っていないでしょうが。そうやってすぐにダメだと否定するはやめてちょうだい」
「玉座の間では王様とマンスロート姫様をはじめとするおっぱい王国の王族達が、シュヴァンツ王国の王子ローラント様との初顔合わせが行われます。ですのでマレーン姫様は王様の命令通り、ここで大人しく待機しておいてください」
「さっきも聞いたけどその命令おかしいわよね。だって私はおっぱい王国第二王女よ」
「たしかにマレーン姫様は王族です。ですが王様の命令は絶対ですのでご理解ください」
「ねえキュルトヘン」
そう言うとマレーンは舌を出して唇をなめた。
「キスしてあげるから、そこを通してくれないかしら?」
キュルトヘンは両手を広げた。
「ダメですよマレーン姫様」
「ねえキュルトヘン。私の胸さわらせてあげるから、そこを通してくれないかしら?」
「ダメです」
「もうキュルトヘンったら」
マレーンはほほをぷくっと膨らませると、自分の小さな胸に手を当てておどけてみせた。
「私が貧乳だからって不服なんでしょ。子供のくせにえげつないわね」
「そういう意味じゃありません。ダメなものはダメなんです」
「それじゃあキュルトヘン。この前、一緒にお風呂は入りそびれたでしょ。だから今夜一緒に入ってあげるわ。だからそこを通して、お・ね・が・い」マレーンはかわいくウインクする。
「マレーン姫様。残念ですがどんなことがあろうとも、ここは通せません」
マレーンは真顔になるとため息をつく。
「あっそう。だったら力づくで通るわよ」
キュルトヘンの顔が険しくなる。
「使っていいわよ」マレーンが言った。「その服の下に武器を隠していわよね。そしてお姉様の従者として護衛役も兼ねて、いろいろと格闘術やらなんやら仕込まれているんでしょ」
キュルトヘンが広げた両腕を下げると、服の袖からナイフが滑り落ちるようにして現れた。
「死ぬ気でかかってきなさいキュルトヘン。そうじゃないと私は止められないわよ」




