第四幕 第五場
おっぱい王国の城下町の大通りでは、集った人々からシュヴァンツ王国の王子ローラントをほめたたえる言葉が飛び交い、ローラントはそれに対して笑顔で手を振って応えてみせた。
「そんな笑顔を見せても騙されないわよ!」
巨乳姫マンスロートが声音を変えて叫んだ。
「どうせ巨乳姫の名前を聞いてほいほいと結婚しにきたヤツよ。ドスケベの変態に違いないわ!」
その瞬間、大通りに集った人々は凍り付いた。
「無礼者め!」騎士の一人が立ち上がり叫んだ。
「よせ」ローラントがその騎士をなだめる。「ここは私に任せてくれ」
騎士は無言で頭を下げると、再びひざまずく。
「その者よ」
ローラントがマンスロートに向かって言った。
「この私に言いたい事があるよだな。構わぬ。遠慮せずに言っておくれ」
「なによ余裕面しちゃって」
マンスロートは小声でそうぼやくと大声を張り上げる。
「この国に花婿としてやってきたのは、おっぱい王国の巨乳姫マンスロートの胸が目当てなんでしょ!」
ローラントは楽しげに笑う。
「なるほどそういうことか。どうやらそなたはマンスロート姫に近い者と見受ける。私を非難するその言葉は、マンスロート姫を思ってのことだな?」
「……だったらどうだって言うのよ!」
「ならばまずその誤解を解こう」
ローラントはそう言うと、マンスロートに対して軽く頭をさげた。
「私がここにいる理由はシュヴァンツ王国の王子として、おっぱい王国の王女マンスロート姫と結婚し、両国に平和と安定をもたらすためである。断じてマンスロート姫の胸が目当てなどではない。それは誓ってもいい」
その言葉はマンスロートの胸を穿つ。
「そ、そんな戯れ言を信じろと! あなたは見た事もない女と結婚させられてそれで満足なの! これは政略結婚なのよ!」
「構いません。私はシュヴァンツ家の王族として生まれたからには、その責務をまっとうするまで。たとえマンスロート姫様がどんな容姿だろうとも愛してみせます。その性格が歪んでいるのならば、私の愛で正してみせましょう」
「あなたはそれでいいの! 自分を押し殺して、国の犠牲になるのよ!」
「構いません。今回の結婚には長年抱えていたシュヴァンツ王国とおっぱい王国の火種を消す事になります。そうなれば、両国間の民草の笑顔がよりいっそう輝く事でしょう。そう思うと、私もおもわず笑顔になってしまうのです」
ローラントはくったくのない笑顔を見せた。
「私は将来この国をおさめる人間として、結婚するマンスロート姫様とは常に対等でありたいと考えています。そうあなたのように、意見をはっきり述べられるような女性であればとても素敵だと思っていますよ」
そう言うと笑顔のままで軽く頭を下げ、きびすを返し馬車に向かう。
「な、な、な、何を言っているのよあの男は」
マンスロートの顔は真っ赤に染まっていた。
「それではみなさん。またお会いしましょう」
ローラントはそう言って馬車に乗り込んだ。
人々の歓迎の声を受けながら、ローラント王子を乗せた馬車の一団は行ってしまう。




